13.熱帯
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適当なものを買って、少し髪を濡らしながら帰ると、アカギは出て行った時と同じような格好で寝ていた。
……寝顔を見るのは後にしよう。
私は、買ってきた治療用品を使って素人なりにアカギの傷を癒そうとした。
酷い状態だけど、アカギならなんとかなるだろう。病院に連れて行くほどではないと思う。
「ん……」
「あ、起こしちゃった? 寝てて」
アカギは私の声には反応せず、自分の服のボタンをプチプチと外し、広げた。
あまりの色気にくらっときて目まいを起こしそうになるが、つまりアカギは、暑がっているのだ。
顔に浮かんだ汗を拭き取って、私は手を額 に付けた。
「ひどい熱!」
さっきまでの変な言動は、熱があったからか。
良い匂いだとか、早く帰ってきて欲しいとか言ったのも、全部熱のせいってわけね。
私はタオルを洗って、ぎゅううと絞ってから、アカギの額に乗せてみた。こうすると良いって昔から聞くから。看病が正しいのかは分からないけれど。
それにしても、アカギも熱を出したりするんだな。彼も人間なんだった。あまりに神がかったギャンブルをするものだから、ついただの人間だということを忘れてしまう。
まあ、“ただ”の人間ではないかもしれないけれど。
傷を負って、雨に打たれれば熱も出すか。
私はアカギの汗ばんだ身体を拭いたが、どこまで触って良いのか分からなくて、目に見える表面的な部分だけに留めておいた。
そして、じっとアカギを見守る。
突然、アカギがぱちりと目を開ける。
そして、あろうことか、起き上がろうとした。
「ちょっと! 寝ててよ」
私はアカギの背中に手を回し、ゆっくり押し倒すようにして横にした。
アカギは額のタオルに手をやった。
「……これ、あんたが?」
「そう。熱が出てるみたいだから。何か欲しいなら、私に言って」
アカギの息は荒く、やはり辛そうだ。
掠れた声で、アカギが言った。
「みず」
私は台所に立ち、水を汲んで戻ってきた。
「はい。飲める?」
「ん」
アカギはこくこくと喉を潤した。口の端から水が流れ出ている。アカギはそれを手の甲でぐいと拭い、空になったコップを私に渡した。
「他に食べたいものでもある? えっと、お粥とか作りましょうか」
誰かの看病なんてしたことがない私は、どこかで得た知識を駆使するしかない。
「今はいい」
アカギが言った。
「何もいらない」
頼ってくれないのが少し悲しいけれど、私は、「そう」と言うしかない。
アカギは続けた。
「何もいらないから、そこにいてよ。舞美」
……寝顔を見るのは後にしよう。
私は、買ってきた治療用品を使って素人なりにアカギの傷を癒そうとした。
酷い状態だけど、アカギならなんとかなるだろう。病院に連れて行くほどではないと思う。
「ん……」
「あ、起こしちゃった? 寝てて」
アカギは私の声には反応せず、自分の服のボタンをプチプチと外し、広げた。
あまりの色気にくらっときて目まいを起こしそうになるが、つまりアカギは、暑がっているのだ。
顔に浮かんだ汗を拭き取って、私は手を
「ひどい熱!」
さっきまでの変な言動は、熱があったからか。
良い匂いだとか、早く帰ってきて欲しいとか言ったのも、全部熱のせいってわけね。
私はタオルを洗って、ぎゅううと絞ってから、アカギの額に乗せてみた。こうすると良いって昔から聞くから。看病が正しいのかは分からないけれど。
それにしても、アカギも熱を出したりするんだな。彼も人間なんだった。あまりに神がかったギャンブルをするものだから、ついただの人間だということを忘れてしまう。
まあ、“ただ”の人間ではないかもしれないけれど。
傷を負って、雨に打たれれば熱も出すか。
私はアカギの汗ばんだ身体を拭いたが、どこまで触って良いのか分からなくて、目に見える表面的な部分だけに留めておいた。
そして、じっとアカギを見守る。
突然、アカギがぱちりと目を開ける。
そして、あろうことか、起き上がろうとした。
「ちょっと! 寝ててよ」
私はアカギの背中に手を回し、ゆっくり押し倒すようにして横にした。
アカギは額のタオルに手をやった。
「……これ、あんたが?」
「そう。熱が出てるみたいだから。何か欲しいなら、私に言って」
アカギの息は荒く、やはり辛そうだ。
掠れた声で、アカギが言った。
「みず」
私は台所に立ち、水を汲んで戻ってきた。
「はい。飲める?」
「ん」
アカギはこくこくと喉を潤した。口の端から水が流れ出ている。アカギはそれを手の甲でぐいと拭い、空になったコップを私に渡した。
「他に食べたいものでもある? えっと、お粥とか作りましょうか」
誰かの看病なんてしたことがない私は、どこかで得た知識を駆使するしかない。
「今はいい」
アカギが言った。
「何もいらない」
頼ってくれないのが少し悲しいけれど、私は、「そう」と言うしかない。
アカギは続けた。
「何もいらないから、そこにいてよ。舞美」