12.孤月*
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はっと目を覚ますと、まだ夜は明けていないようだった。目が覚めてしまった、という方が正しいか。
私は一糸まとわぬ状態で布団の中に入っていた。というのも、しっかりと服を着る前に倒れてしまったからだった。
酒が入った状態で抱かれたから、流石の私も睡魔に負けちまったってわけ。
でも、アカギが掛けてくれたのか、用意されていた宿の服が私の身体に乗せられており、肌は隠れている。
隣にはアカギがいて、仰向けになって寝ている。私に腕枕をしたり、そういうことは一切ない。
一応、私は好きでもないのに抱かれた、という設定で、アカギは……私のことをなんとも思っていない、その可能性が高い。
それは、昨日私がキスを拒まれた時にわかった。アカギは他の女を抱けないんだから、私で性欲を処理するしかないってことだよね。
私が望んだことなのに、結構苦しい。
挙げ句の果てに、中に出されてしまって。
嬉しいような、悲しいような。
でも、とってもよかったのも事実。
「アカギ——」
思わず、呟いた。
すると、
「ん……呼んだか」
アカギが顔をこちらに向けて、目を開けた。
まさか返事が返ってくると思っていなかった私は、あたふたしながらアカギを見た。
「ね、寝てたんじゃ?」
暗くてアカギの表情が読めないが、私はアカギが少し微笑んだ気がした。
「あんたの声が、したから」
「え、」
私は目を見開いた。
しかし、アカギは「ねむ……」と言いつつ、また目を閉じてしまった。
何、今の。どういうこと?
アカギ、寝ぼけてた?
彼に限って、そんなことある?
しかも、私の方を見たまま寝ちゃってるし。
じっとアカギを見ると、アカギはのそりと動いて、私の身体に布団を掛けた。
どうしてこんなに優しいの。
した後は、煙草吸ってるだけだったのに。
すると突然、
「東雲」
目を閉じたまま、アカギが私を呼んだ。
「おやすみ……」
アカギはそう言うと、私の頭をぽんぽんと叩き、その手をその場に落とした。
「お、おやすみなさい」
アカギはもう眠っていた。
やっぱり、私の方を見たままで。
私は少しだけ彼に近づき、すり寄った。
しあわせ——。
もう少しだけ、こうしててもいいよね……。
12.孤月 —もの寂しく見える月
私は一糸まとわぬ状態で布団の中に入っていた。というのも、しっかりと服を着る前に倒れてしまったからだった。
酒が入った状態で抱かれたから、流石の私も睡魔に負けちまったってわけ。
でも、アカギが掛けてくれたのか、用意されていた宿の服が私の身体に乗せられており、肌は隠れている。
隣にはアカギがいて、仰向けになって寝ている。私に腕枕をしたり、そういうことは一切ない。
一応、私は好きでもないのに抱かれた、という設定で、アカギは……私のことをなんとも思っていない、その可能性が高い。
それは、昨日私がキスを拒まれた時にわかった。アカギは他の女を抱けないんだから、私で性欲を処理するしかないってことだよね。
私が望んだことなのに、結構苦しい。
挙げ句の果てに、中に出されてしまって。
嬉しいような、悲しいような。
でも、とってもよかったのも事実。
「アカギ——」
思わず、呟いた。
すると、
「ん……呼んだか」
アカギが顔をこちらに向けて、目を開けた。
まさか返事が返ってくると思っていなかった私は、あたふたしながらアカギを見た。
「ね、寝てたんじゃ?」
暗くてアカギの表情が読めないが、私はアカギが少し微笑んだ気がした。
「あんたの声が、したから」
「え、」
私は目を見開いた。
しかし、アカギは「ねむ……」と言いつつ、また目を閉じてしまった。
何、今の。どういうこと?
アカギ、寝ぼけてた?
彼に限って、そんなことある?
しかも、私の方を見たまま寝ちゃってるし。
じっとアカギを見ると、アカギはのそりと動いて、私の身体に布団を掛けた。
どうしてこんなに優しいの。
した後は、煙草吸ってるだけだったのに。
すると突然、
「東雲」
目を閉じたまま、アカギが私を呼んだ。
「おやすみ……」
アカギはそう言うと、私の頭をぽんぽんと叩き、その手をその場に落とした。
「お、おやすみなさい」
アカギはもう眠っていた。
やっぱり、私の方を見たままで。
私は少しだけ彼に近づき、すり寄った。
しあわせ——。
もう少しだけ、こうしててもいいよね……。
12.