【eitr】短編まとめ
「何見てるんだ?」
仕事帰りに買ってきたチョコレートを食べながら動画を見ているといきなり耳からイヤホンが抜かれて顔を上げる。そこには、私の顔を覗き込むスーツ姿の生行がいた。気付かない間に持っていた合鍵で入って来たようだ。
「生行か…びっくりした…」
「驚かせたか」
仕事終わり次第来ると訊いていたからこうして家で待っていたのだが、どうやら動画に夢中になり過ぎてしまったらしい。家に入って来たことにも気が付かなかった。
「――夏焼さんのdazzle?」
「うん。千弥くんが新しいダンス動画上げてたから見てたの」
手元のスマホ画面を覗き込んでそう訊いてきた生行に、私は頷いて千弥くんの動画を見せた。
今流行しているファッションや音楽、スイーツなど――。インフルエンサーである千弥くんの投稿や配信はいつも面白い。その中でも偶に投稿されるダンス動画は私のお気に入りだ。
生行はEv3nsのマネージャーを務めているからそのほとんどを把握しているだろうに、毎度私の話に付き合ってくれるのだから優しい。
「あ、そうだ。これ生行も食べる?」
話や動画がひと段落して、さっきまで動画を見ながら食べていたチョコレートの存在を思い出し、机に置いてあった個包装されているチョコレートを手に取って差し出した。
すると生行は少し考えるそぶりを見せた後小さく頷き、こちらに手を伸ばす。しかし――。
「ん」
「ん……っ!?」
その手が私の後頭部に回ってガッシリと固定され、そのまま口を塞がれた。そして、柔らかいもの口内に差し込まれて、思わず大きく肩を揺らす。
「……甘いな」
暫くされるがままにされ、やっとのことで解放された自分の口から乱れた呼吸が漏れた。そんな私とは裏腹に余裕そうに指先で口元を拭う生行に、ひとつ文句を言ってやりたいのに上手く言葉にならず、口をパクパクさせる。
そんな私の様子を見た生行はフッと笑って、
「そんなに顔真っ赤にしてどうした?」
したり顔でそう言った。
――誰のせいだと言ってやりたい。
あまりの恥ずかしさに顔を両手で覆う。私の手を退けて顔を覗き込んでくる生行は、楽しそうに口元を緩めていた。
仕事帰りに買ってきたチョコレートを食べながら動画を見ているといきなり耳からイヤホンが抜かれて顔を上げる。そこには、私の顔を覗き込むスーツ姿の生行がいた。気付かない間に持っていた合鍵で入って来たようだ。
「生行か…びっくりした…」
「驚かせたか」
仕事終わり次第来ると訊いていたからこうして家で待っていたのだが、どうやら動画に夢中になり過ぎてしまったらしい。家に入って来たことにも気が付かなかった。
「――夏焼さんのdazzle?」
「うん。千弥くんが新しいダンス動画上げてたから見てたの」
手元のスマホ画面を覗き込んでそう訊いてきた生行に、私は頷いて千弥くんの動画を見せた。
今流行しているファッションや音楽、スイーツなど――。インフルエンサーである千弥くんの投稿や配信はいつも面白い。その中でも偶に投稿されるダンス動画は私のお気に入りだ。
生行はEv3nsのマネージャーを務めているからそのほとんどを把握しているだろうに、毎度私の話に付き合ってくれるのだから優しい。
「あ、そうだ。これ生行も食べる?」
話や動画がひと段落して、さっきまで動画を見ながら食べていたチョコレートの存在を思い出し、机に置いてあった個包装されているチョコレートを手に取って差し出した。
すると生行は少し考えるそぶりを見せた後小さく頷き、こちらに手を伸ばす。しかし――。
「ん」
「ん……っ!?」
その手が私の後頭部に回ってガッシリと固定され、そのまま口を塞がれた。そして、柔らかいもの口内に差し込まれて、思わず大きく肩を揺らす。
「……甘いな」
暫くされるがままにされ、やっとのことで解放された自分の口から乱れた呼吸が漏れた。そんな私とは裏腹に余裕そうに指先で口元を拭う生行に、ひとつ文句を言ってやりたいのに上手く言葉にならず、口をパクパクさせる。
そんな私の様子を見た生行はフッと笑って、
「そんなに顔真っ赤にしてどうした?」
したり顔でそう言った。
――誰のせいだと言ってやりたい。
あまりの恥ずかしさに顔を両手で覆う。私の手を退けて顔を覗き込んでくる生行は、楽しそうに口元を緩めていた。
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