隣席の亥清くんと友達になりました
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「――で、久しぶりに登校したら好きな子の隣の席になっていた感想は?」
「はっ!?」
それは課題を提出する為に学校に来ていたオレ達が偶然にも職員室で居合わせ、その流れのまま三人並んで帰路に着いた時のこと。
途中道端で見つけた自販機で買った水を信号待ちしている時に飲んでいると、サラッと和泉からとんでもない言葉が聞こえてきて吹き出しそうになる。慌てて口に入っていた水を飲み込んで咽せると、隣にいた四葉が「うおっ」と驚いていたことなど全く気が付かなかった程には動揺した。
「ゲホッ――だから好きじゃないって言ってんだろ!?」
「焦りながら言っても説得力無いですよ」
「うるさい!」
ああ言えばこう言う。
和泉の表情はいつも通り澄ました表情で、特にオレを揶揄おうという意思は窺えない。しかし、やられっぱなしというのはそれはそれで腹が立つ。どう言い返すかを一瞬考えようとするも、相手が賢い分何を言ったってこちらの旗色が悪いのは分かっているから結局こんな反論しか出てこなかった。
「以前、亥清さんが朝倉さんと歩いているところを見たことがあったので何か進展があったのかと思っていたんですが、本当に無いんですか?」
和泉の言葉に一瞬心臓が跳ねた。
いつのことを言っているのだろうか。朝倉と帰ったのは一度や二度ではない。寧ろ学校外で顔を合わせること――どれも偶然出先で鉢合わせているだけだが――の方が多い。心当たりがあり過ぎて、早々に考えるのをやめた。
「な――い、わけじゃ……」
「えっ、付き合ってんの?」
「それはない!」
もうこのままひとりで突っ走って帰ってやろうか。
やっと信号が青に変わり、この居心地の悪い空間から逃げてしまおうかという気持ちが頭を過ぎるが思い止まった。何故だか和泉と四葉の間で、オレと朝倉との関係が誇張されてしまっているのを感じ取ったのだ。正直あまり話を広げたくはないが、違うことは違うと訂正を入れておかなければいけない。同業者である以上グループ同士で仕事で現場が重なることも多いから、変に捻じ曲げられた話が何かしらの形でŹOOĻのメンバーの耳に入ったりしたら――恐ろしくて考えたくない。ふたりはメンバー達と特別仲が良いわけではないようだが、念のためである。
四葉が、「俺ら、今めっちゃ高校生っぽい会話してね?」とどこか楽しげに話を聞いている様子を横目にため息をついた。
「まぁ、どちらでもいいですが、気を付けるに越したことはないんじゃないですか。スキャンダルにでもなれば大変でしょうし」
「それは――そうだな」
一瞬メンバーのひとりの顔が頭をよぎったが、わざわざ話が広がりそうなことを言うのもいかがなものかと思い口にするのはやめておいた。
和泉の言う通り、多方面に迷惑を掛けないように警戒はするべきだ。彼女とは恋人どころか、つい最近友達になった、まだお互いのことを殆ど知らないただのクラスメイトである。誰にどこで見られているか分からない以上、そういう意識を持っておくのは大切なのかもしれない。
――いろんなことに気を配らなきゃいけないのは大変だな。
今しがた朝倉から送られてきた、『英語のテストの点数上がったよ!』というラビチャを見ながら、まるで他人事のような感想を抱いた。
「というか、四葉じゃなくて和泉がこういう話に首突っ込んでくるのって意外だよな」
「いおりん、好きな人でもできたん?」
「実は近々恋愛ドラマの撮影が始まるんですよ。参考までに聞いておこうと思いまして」
「オレを材料にしようとすんなよ!」
「はっ!?」
それは課題を提出する為に学校に来ていたオレ達が偶然にも職員室で居合わせ、その流れのまま三人並んで帰路に着いた時のこと。
途中道端で見つけた自販機で買った水を信号待ちしている時に飲んでいると、サラッと和泉からとんでもない言葉が聞こえてきて吹き出しそうになる。慌てて口に入っていた水を飲み込んで咽せると、隣にいた四葉が「うおっ」と驚いていたことなど全く気が付かなかった程には動揺した。
「ゲホッ――だから好きじゃないって言ってんだろ!?」
「焦りながら言っても説得力無いですよ」
「うるさい!」
ああ言えばこう言う。
和泉の表情はいつも通り澄ました表情で、特にオレを揶揄おうという意思は窺えない。しかし、やられっぱなしというのはそれはそれで腹が立つ。どう言い返すかを一瞬考えようとするも、相手が賢い分何を言ったってこちらの旗色が悪いのは分かっているから結局こんな反論しか出てこなかった。
「以前、亥清さんが朝倉さんと歩いているところを見たことがあったので何か進展があったのかと思っていたんですが、本当に無いんですか?」
和泉の言葉に一瞬心臓が跳ねた。
いつのことを言っているのだろうか。朝倉と帰ったのは一度や二度ではない。寧ろ学校外で顔を合わせること――どれも偶然出先で鉢合わせているだけだが――の方が多い。心当たりがあり過ぎて、早々に考えるのをやめた。
「な――い、わけじゃ……」
「えっ、付き合ってんの?」
「それはない!」
もうこのままひとりで突っ走って帰ってやろうか。
やっと信号が青に変わり、この居心地の悪い空間から逃げてしまおうかという気持ちが頭を過ぎるが思い止まった。何故だか和泉と四葉の間で、オレと朝倉との関係が誇張されてしまっているのを感じ取ったのだ。正直あまり話を広げたくはないが、違うことは違うと訂正を入れておかなければいけない。同業者である以上グループ同士で仕事で現場が重なることも多いから、変に捻じ曲げられた話が何かしらの形でŹOOĻのメンバーの耳に入ったりしたら――恐ろしくて考えたくない。ふたりはメンバー達と特別仲が良いわけではないようだが、念のためである。
四葉が、「俺ら、今めっちゃ高校生っぽい会話してね?」とどこか楽しげに話を聞いている様子を横目にため息をついた。
「まぁ、どちらでもいいですが、気を付けるに越したことはないんじゃないですか。スキャンダルにでもなれば大変でしょうし」
「それは――そうだな」
一瞬メンバーのひとりの顔が頭をよぎったが、わざわざ話が広がりそうなことを言うのもいかがなものかと思い口にするのはやめておいた。
和泉の言う通り、多方面に迷惑を掛けないように警戒はするべきだ。彼女とは恋人どころか、つい最近友達になった、まだお互いのことを殆ど知らないただのクラスメイトである。誰にどこで見られているか分からない以上、そういう意識を持っておくのは大切なのかもしれない。
――いろんなことに気を配らなきゃいけないのは大変だな。
今しがた朝倉から送られてきた、『英語のテストの点数上がったよ!』というラビチャを見ながら、まるで他人事のような感想を抱いた。
「というか、四葉じゃなくて和泉がこういう話に首突っ込んでくるのって意外だよな」
「いおりん、好きな人でもできたん?」
「実は近々恋愛ドラマの撮影が始まるんですよ。参考までに聞いておこうと思いまして」
「オレを材料にしようとすんなよ!」