隣席の亥清くんと友達になりました
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放課後の教室でひとり自分の席に座り意味もなくスマホを見る。少し前に今日の授業が一通り終わって各々が教室を出て行ってしまい、今教室には私ひとりしかいなかった。
気付けば運動場や廊下からの話し声や足音は疎らになっていて、スマホに夢中になり過ぎたかと顔を上げる。窓から夕日が差し込み、電気がついていない空っぽなこの教室はオレンジ色に染まっていた。
「……遅い」
机に預けていた上半身を少し起こして教室の前方の壁に掛けられた時計を見る。今丁度十七時を回ったところで、そろそろかと廊下から聞こえる音を探すが相変わらず静まり返っていた。
何故ひとりで待ちぼうけをくらっているのかというと、部活動の顧問を探しに行った友人を待っているからだった。今日は部活がないらしいのだが、先生に用事があると放課後になった瞬間に教室を飛び出して行ってしまったのだ。すぐに終わると言っていたから一緒に帰ろうと友人が戻るのをこうして待っているのだが――中々帰って来ない。
「先生が見つからなくて――いや、きっと捕まってるんだろうな」
光景が目に浮かんできて思わず苦笑する。
友人が探しに行った先生はお喋り好きだと有名だった。演台に立っている時間は校長先生に引けを取らないくらいには長いし、今日の授業だって中々話に区切りがつかなくて授業の終了時間を超過していた。友人は教室を出ていく際に「先に帰ってもいいからね!」と言い残していったのだ。完全に捕まる前提で話していたのには笑ってしまった。
このまま待っていてもどれだけ待つのか分からない。友人が言っていたように先に帰った方がいいのだろう。
「……いや」
一度席を立つも、思い直して腰を下ろした。
早く帰っても用事は無いし、帰ったって両親は仕事中だから家には誰もいないのだ。誰もいなくてシーンとしている家よりも、静かだけど人の気配を感じられる学校の方が何だか落ち着くような気がした。
「暇だし、やるか」
勉強、と自分で言ったことなのにどこか嫌そうなため息混じりな声が出てしまう。
とはいえ、友人がいつ戻ってくるかが分からない以上手持ち無沙汰なまま待っていてもこの暇な時間が長く感じるだけだと思い、どうせなら次の試験に備えるかと思い立った。
実はまだ試験まで時間の猶予はあるのだ。ここ最近亥清くんに会う度に授業の進行状況や試験についての話をすることが多いせいなのか、最近はいつもより勉強面を気にすることが多くなったように思う。これは良いことなのだろう。
机に置いてあった鞄から適当に教科書を抜き取り、鞄を床に下ろす。試験範囲であるページを開いて軽快に問題を解いていった。因みに教科書は英語だった。
――なのだが。
「ダメだ……」
細々と並ぶ英文に早々に根を上げ、持っていたシャープペンを机に転がして手放した。よりによって苦手な英語の教科書を引き当てて、まあいいかとそのまま勉強を始めたのは間違っていたのかもしれない。試験が近づけばやることになるのだから、いつやっても同じなのだが。
二年生に上がってからかなり難易度が上がっているのは頂けない。今も問題を解く度に分からない単語や文法を調べてながらやっているが、苦手な教科ということもあって全て頭に入っているのかと問われれば微妙なところである。
と、こんな調子なので毎回試験前になると友人に泣きつきにいくのだが、今回も同じ道を辿ることになるかもしれない。いつも「また?」と言われつつも、なんだかんだ言いつつ教えてくれる友人には感謝している。
「やめやめ」
一度集中力が切れると最初から無かったやる気が更に削がれてしまいノートを閉じようとした。――その時、教室の扉がガラガラと音を立てたと思えば、誰かが教室に入ってきた。
「――何やってんの?」
「救世主だ……!」
そこには、今まで補習を受けていたであろう亥清くんが扉に手を掛けながら突っ立っていた。
気付けば運動場や廊下からの話し声や足音は疎らになっていて、スマホに夢中になり過ぎたかと顔を上げる。窓から夕日が差し込み、電気がついていない空っぽなこの教室はオレンジ色に染まっていた。
「……遅い」
机に預けていた上半身を少し起こして教室の前方の壁に掛けられた時計を見る。今丁度十七時を回ったところで、そろそろかと廊下から聞こえる音を探すが相変わらず静まり返っていた。
何故ひとりで待ちぼうけをくらっているのかというと、部活動の顧問を探しに行った友人を待っているからだった。今日は部活がないらしいのだが、先生に用事があると放課後になった瞬間に教室を飛び出して行ってしまったのだ。すぐに終わると言っていたから一緒に帰ろうと友人が戻るのをこうして待っているのだが――中々帰って来ない。
「先生が見つからなくて――いや、きっと捕まってるんだろうな」
光景が目に浮かんできて思わず苦笑する。
友人が探しに行った先生はお喋り好きだと有名だった。演台に立っている時間は校長先生に引けを取らないくらいには長いし、今日の授業だって中々話に区切りがつかなくて授業の終了時間を超過していた。友人は教室を出ていく際に「先に帰ってもいいからね!」と言い残していったのだ。完全に捕まる前提で話していたのには笑ってしまった。
このまま待っていてもどれだけ待つのか分からない。友人が言っていたように先に帰った方がいいのだろう。
「……いや」
一度席を立つも、思い直して腰を下ろした。
早く帰っても用事は無いし、帰ったって両親は仕事中だから家には誰もいないのだ。誰もいなくてシーンとしている家よりも、静かだけど人の気配を感じられる学校の方が何だか落ち着くような気がした。
「暇だし、やるか」
勉強、と自分で言ったことなのにどこか嫌そうなため息混じりな声が出てしまう。
とはいえ、友人がいつ戻ってくるかが分からない以上手持ち無沙汰なまま待っていてもこの暇な時間が長く感じるだけだと思い、どうせなら次の試験に備えるかと思い立った。
実はまだ試験まで時間の猶予はあるのだ。ここ最近亥清くんに会う度に授業の進行状況や試験についての話をすることが多いせいなのか、最近はいつもより勉強面を気にすることが多くなったように思う。これは良いことなのだろう。
机に置いてあった鞄から適当に教科書を抜き取り、鞄を床に下ろす。試験範囲であるページを開いて軽快に問題を解いていった。因みに教科書は英語だった。
――なのだが。
「ダメだ……」
細々と並ぶ英文に早々に根を上げ、持っていたシャープペンを机に転がして手放した。よりによって苦手な英語の教科書を引き当てて、まあいいかとそのまま勉強を始めたのは間違っていたのかもしれない。試験が近づけばやることになるのだから、いつやっても同じなのだが。
二年生に上がってからかなり難易度が上がっているのは頂けない。今も問題を解く度に分からない単語や文法を調べてながらやっているが、苦手な教科ということもあって全て頭に入っているのかと問われれば微妙なところである。
と、こんな調子なので毎回試験前になると友人に泣きつきにいくのだが、今回も同じ道を辿ることになるかもしれない。いつも「また?」と言われつつも、なんだかんだ言いつつ教えてくれる友人には感謝している。
「やめやめ」
一度集中力が切れると最初から無かったやる気が更に削がれてしまいノートを閉じようとした。――その時、教室の扉がガラガラと音を立てたと思えば、誰かが教室に入ってきた。
「――何やってんの?」
「救世主だ……!」
そこには、今まで補習を受けていたであろう亥清くんが扉に手を掛けながら突っ立っていた。