隣席の亥清くんと友達になりました
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「今日、人多いなぁ……」
「こんなもんじゃない?」
前回の買い物から数日経ち、そろそろ冷蔵庫の中を満たさなければいけないといつもの如くスーパーに買い物に来ていた。
今日は日曜日ということもあり、平日よりもかなり混んでいて普段以上にガヤガヤと騒がしい。若干疲労を感じつつもお目当ての物を効率よく手に取ってはカゴに入れていく。
いつもはひとりで来ている為、私が放った独り言は誰の耳にも入ることなく騒音にかき消されるのだが、今日は肯定が返ってきた。
「今日は休日なんだし」
そう言うのは、隣を歩いている亥清くんである。
亥清くんとは先程店内で鉢合わせて、一言二言言葉を交わす流れで一緒に買い物をすることになったのだ。初めてここで鉢合わせてから何度かこうして店内を回っているが、初めて話した時とは打って変わって気まずさや居心地の悪さは一切感じない。恐らく、あの日を境に学校で顔を合わせれば挨拶を交わす程度には仲良くなったおかげだろうか。
まさか学校の外でこんなにも亥清くんと遭遇するとは不思議なこともあるものだ。もしかしたら、今までも気付かなかっただけで同じ時にスーパーに訪れていたこともあるかもしれない。亥清くんによれば、おばあさんの代わりに頻繁にこのスーパーを訪れていると聞いたからだ。
「そうなんだけど――あ、ここに豆腐あるよ」
「さんきゅ。うどん買うならこっちの方が安いよ」
「気付かなかった。ありがとう」
「ん」
主婦もびっくりするような会話を繰り広げながらレジを通る。お互いエコバッグに買った物を詰め終えてスーパーを出ようとした時、出入口に密集している買い物客の人波にのまれそうになった私の腕を引っ張って外に出てくれた。
「亥清くんは今日も車?」
「そう」
亥清くんは返事をしながら駐車場をキョロキョロと見渡す。前回ここで会った時もお迎えが来ていると言っていたから聞けば、どうやら今回もそうらしい。
その時聞いたが、仕事終わりに時間があるとこうやって寄り道に付き合ってくれるのだそうだ。
「じゃあ、私歩きで来てるから」
またね、と空いている方の手を上げて亥清くんに背を向ける。が、視線を逸らし前を向いた瞬間、中途半端に上がっている手を掴まれて足が止まった。
「えっ、どうしたの」
突然なことに驚いていると、亥清くんは俯いて目を逸らしたまま動かない。試しに掴まれている腕を軽く振ったがその手が外れることはなかった。意外と力が強い。
「……オレ、最近ずっと仕事であんまり学校に行けてないだろ? 何なら暫くこの状態が続くらしくてさ」
戸惑いながらもそのままボソボソと話し始める亥清くんに耳を傾ける。ここは駐車場が隣接しており車がひっきりなしに出入りしている場所だから車のエンジン音が鳴り響いているせいで所々聞き取りづらい。
「和泉も四葉も学校にいないことも多いし、かと言って他のクラスメイトの連絡先知らないし――」
何か言いたいことがあるのだろうか。察しの悪い私は亥清くんが話し終えるのを待つことしか出来ない。そんな私の様子を見てハッキリ言わないと分かってもらえないと気付いたのか、「だから!」と一際大きな声でやっつけのように続けた。
「あんたの連絡先教えろって言ってんの!」
「――えっ」
「こんなもんじゃない?」
前回の買い物から数日経ち、そろそろ冷蔵庫の中を満たさなければいけないといつもの如くスーパーに買い物に来ていた。
今日は日曜日ということもあり、平日よりもかなり混んでいて普段以上にガヤガヤと騒がしい。若干疲労を感じつつもお目当ての物を効率よく手に取ってはカゴに入れていく。
いつもはひとりで来ている為、私が放った独り言は誰の耳にも入ることなく騒音にかき消されるのだが、今日は肯定が返ってきた。
「今日は休日なんだし」
そう言うのは、隣を歩いている亥清くんである。
亥清くんとは先程店内で鉢合わせて、一言二言言葉を交わす流れで一緒に買い物をすることになったのだ。初めてここで鉢合わせてから何度かこうして店内を回っているが、初めて話した時とは打って変わって気まずさや居心地の悪さは一切感じない。恐らく、あの日を境に学校で顔を合わせれば挨拶を交わす程度には仲良くなったおかげだろうか。
まさか学校の外でこんなにも亥清くんと遭遇するとは不思議なこともあるものだ。もしかしたら、今までも気付かなかっただけで同じ時にスーパーに訪れていたこともあるかもしれない。亥清くんによれば、おばあさんの代わりに頻繁にこのスーパーを訪れていると聞いたからだ。
「そうなんだけど――あ、ここに豆腐あるよ」
「さんきゅ。うどん買うならこっちの方が安いよ」
「気付かなかった。ありがとう」
「ん」
主婦もびっくりするような会話を繰り広げながらレジを通る。お互いエコバッグに買った物を詰め終えてスーパーを出ようとした時、出入口に密集している買い物客の人波にのまれそうになった私の腕を引っ張って外に出てくれた。
「亥清くんは今日も車?」
「そう」
亥清くんは返事をしながら駐車場をキョロキョロと見渡す。前回ここで会った時もお迎えが来ていると言っていたから聞けば、どうやら今回もそうらしい。
その時聞いたが、仕事終わりに時間があるとこうやって寄り道に付き合ってくれるのだそうだ。
「じゃあ、私歩きで来てるから」
またね、と空いている方の手を上げて亥清くんに背を向ける。が、視線を逸らし前を向いた瞬間、中途半端に上がっている手を掴まれて足が止まった。
「えっ、どうしたの」
突然なことに驚いていると、亥清くんは俯いて目を逸らしたまま動かない。試しに掴まれている腕を軽く振ったがその手が外れることはなかった。意外と力が強い。
「……オレ、最近ずっと仕事であんまり学校に行けてないだろ? 何なら暫くこの状態が続くらしくてさ」
戸惑いながらもそのままボソボソと話し始める亥清くんに耳を傾ける。ここは駐車場が隣接しており車がひっきりなしに出入りしている場所だから車のエンジン音が鳴り響いているせいで所々聞き取りづらい。
「和泉も四葉も学校にいないことも多いし、かと言って他のクラスメイトの連絡先知らないし――」
何か言いたいことがあるのだろうか。察しの悪い私は亥清くんが話し終えるのを待つことしか出来ない。そんな私の様子を見てハッキリ言わないと分かってもらえないと気付いたのか、「だから!」と一際大きな声でやっつけのように続けた。
「あんたの連絡先教えろって言ってんの!」
「――えっ」