隣席の亥清くんと友達になりました
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四葉くん、和泉くんと別れて数分。ふたりから「この道を通って行った」と教えてもらった為、このまま急げば追いつけるかもしれないと期待したのも束の間。早くも諦めかけていた。
「……もう明日にしようかな」
足を止めて、ため息をつく。
気付けば悠くんの家の近くまできてしまっていた。ここまでの道中で会えなかったということは、きっと追いつけなかったのだろう。かといって、いきなり家まで押しかけてしまえば悠くんのおばあさんにまで迷惑がかかる。
とはいえ明日悠くんが登校してくるかが分からない為、一応ラビチャでその旨を伝えておこうとスマホを取り出した。正直、返事は期待していない。
「――えっ?」
テテッ、とアスファルトを踏みしめる音が聞こえてきたのは丁度打ち込む文章を悶々と考えている時だった。
顔を上げると、見覚えしかない猫が目の前に佇んでいる。そういえば、今私がいる所はこの猫がいつも塀の上でお昼寝をしている場所に近い。
寝ふけているところしか見たことがなかったから、こうして歩いている姿を目にするのは新鮮だった。
その珍しさに暫くの間様子を眺めていると、あろうことか私の顔を見るや否や背を向けて歩き出してしまった。そして、そのまま曲がり角を曲がる手前で立ち止まり、私の顔をジッと見ながら尻尾を数回振って姿を消した。
「……もしかして、ついてこいって言ってる?」
あの猫を最後に見たのは二週間程前だったが、未だに私に懐く気配がない。それなのに、そんな都合よく解釈してもいいのだろうか。
そう思いながらも、私は猫の後を小走りで追いかけた。
* * *
悶々としながらいつもの通学路をひとりで歩く。
何故だか今日は、席が離れているにも関わらずやけに蒼と目が合った。その度にお互い目を逸らしただけで、話すこともできなかったが。
表情から何か言いたげな様子だったことには気付いていた。だけど、逃げるように返ってきてしまった。
ため息をついていると、ブレザーのポケットに入れていたスマホが震えたことに気付いて立ち止まる。
「四葉から?」
そういえば、さっき四葉と和泉とすれ違った。特に声を掛けられることもなかったから――何か言っていたかもしれないけど、俺が考え事をしながら歩いていたせいで気付かなかったのかもしれないが――横を通り抜けてきてしまったが、何か用があったのだろうか。
「『今どこ?』って……」
家にはばあちゃんもいるし、このムシャクシャした気持ちのまま帰るのもよくないと思い、少し遠回りして行こうと四葉達とすれ違ったあと通学路から外れた道を通っていたのだ。
四葉に返信をすると、間を置かず『そこでまってて』『すぐ追いつく』と立て続けに送られてきた。別にラビチャで用件を言ってくれればいいのに、と怪訝に思ったが、そう訊いても一向に既読にならなかったため諦めて道の端に寄ることにした。
「えっ、――うわっ!?」
遠くから何かが走ってくる音がして振り向いた瞬間、オレに向かって飛びついてきたそれをすんでのところでキャッチした。
結構重いしデカイ――衝撃で肩に掛けていた鞄を落としてしまったが、そんなことも吹っ飛んでしまうくらい、飛び込んできたものの正体に気付くと声を上げて驚いてしまった。
「あんた――」
数ヶ月前から通学路でよく見かける、あの猫だった。こいつが寝ている場所に近くはあるが、ここまで走ってきたのだろうか。というか、こんなにも動いている姿を初めて見たかもしれない。
いきなりのことに目を白黒させていると、また足音が聞こえてきて近くで立ち止まったのが分かった。
「あ、……」
「――悠くん、いた……!」
顔を上げると、そこにいたのは息を切らした蒼だった。
「……もう明日にしようかな」
足を止めて、ため息をつく。
気付けば悠くんの家の近くまできてしまっていた。ここまでの道中で会えなかったということは、きっと追いつけなかったのだろう。かといって、いきなり家まで押しかけてしまえば悠くんのおばあさんにまで迷惑がかかる。
とはいえ明日悠くんが登校してくるかが分からない為、一応ラビチャでその旨を伝えておこうとスマホを取り出した。正直、返事は期待していない。
「――えっ?」
テテッ、とアスファルトを踏みしめる音が聞こえてきたのは丁度打ち込む文章を悶々と考えている時だった。
顔を上げると、見覚えしかない猫が目の前に佇んでいる。そういえば、今私がいる所はこの猫がいつも塀の上でお昼寝をしている場所に近い。
寝ふけているところしか見たことがなかったから、こうして歩いている姿を目にするのは新鮮だった。
その珍しさに暫くの間様子を眺めていると、あろうことか私の顔を見るや否や背を向けて歩き出してしまった。そして、そのまま曲がり角を曲がる手前で立ち止まり、私の顔をジッと見ながら尻尾を数回振って姿を消した。
「……もしかして、ついてこいって言ってる?」
あの猫を最後に見たのは二週間程前だったが、未だに私に懐く気配がない。それなのに、そんな都合よく解釈してもいいのだろうか。
そう思いながらも、私は猫の後を小走りで追いかけた。
* * *
悶々としながらいつもの通学路をひとりで歩く。
何故だか今日は、席が離れているにも関わらずやけに蒼と目が合った。その度にお互い目を逸らしただけで、話すこともできなかったが。
表情から何か言いたげな様子だったことには気付いていた。だけど、逃げるように返ってきてしまった。
ため息をついていると、ブレザーのポケットに入れていたスマホが震えたことに気付いて立ち止まる。
「四葉から?」
そういえば、さっき四葉と和泉とすれ違った。特に声を掛けられることもなかったから――何か言っていたかもしれないけど、俺が考え事をしながら歩いていたせいで気付かなかったのかもしれないが――横を通り抜けてきてしまったが、何か用があったのだろうか。
「『今どこ?』って……」
家にはばあちゃんもいるし、このムシャクシャした気持ちのまま帰るのもよくないと思い、少し遠回りして行こうと四葉達とすれ違ったあと通学路から外れた道を通っていたのだ。
四葉に返信をすると、間を置かず『そこでまってて』『すぐ追いつく』と立て続けに送られてきた。別にラビチャで用件を言ってくれればいいのに、と怪訝に思ったが、そう訊いても一向に既読にならなかったため諦めて道の端に寄ることにした。
「えっ、――うわっ!?」
遠くから何かが走ってくる音がして振り向いた瞬間、オレに向かって飛びついてきたそれをすんでのところでキャッチした。
結構重いしデカイ――衝撃で肩に掛けていた鞄を落としてしまったが、そんなことも吹っ飛んでしまうくらい、飛び込んできたものの正体に気付くと声を上げて驚いてしまった。
「あんた――」
数ヶ月前から通学路でよく見かける、あの猫だった。こいつが寝ている場所に近くはあるが、ここまで走ってきたのだろうか。というか、こんなにも動いている姿を初めて見たかもしれない。
いきなりのことに目を白黒させていると、また足音が聞こえてきて近くで立ち止まったのが分かった。
「あ、……」
「――悠くん、いた……!」
顔を上げると、そこにいたのは息を切らした蒼だった。
