隣席の亥清くんと友達になりました
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……来ないなぁ」
スマホをブレザーのポケットにしまう。何の変哲のない、見慣れたロック画面に落胆するのは今日で何回目だろうか。
さっきは通知音が鳴って即時確認したが、送られてきたのはただの広告で、思わず独り言が口から漏れてしまったのは仕方ないだろう。
隣に友人がいたら「さっきから何やってんの?」と怪訝そうにツッコミを入れてきそうだが、生憎この場には私以外誰もいなかった。
待っているのは、言わずもがな悠くんからのラビチャだ。
あんなことがあった後も一応連絡は取り合っているのだが、以前よりやりとりの回数が減ってしまったのは間違いないだろう。ただ、どんなに遅くなろうと返信は返してくれるし、忙しいだろうからと送る頻度を減らしても結局相手から送られてくる為、話したくないと思われているわけではなさそうである。
そういった類のことを考え過ぎて、むしろ今までの距離感がおかしかったのではと思い始めている。
――これでいいのかなぁ。なんて無理矢理納得しようとするも、やはり腑に落ちない。どうしようもなく欲張りだ。
今日はこれからアルバイトが控えているから、できるだけ早く帰らなければいけない。早足で自身の教室を目指す。
教室に近付いていっても一切話し声は聞こえない上に電気も付いていないようだったから、もうクラスメイトは全員帰ったのだろうか。
「あーっ! やっと帰ってきた!」
「わっ、何!?」
てっきり誰もいないものだと思って教室に入ったらいきなり大きい声を向けられたことに驚き、大きく肩を揺らした。声の主は友人だ。まだ帰っていなかったらしい。そういえば昼休みにも同じようなことがあったな、と思いながら波打つ心臓を抑える。
そんな私の様子が見えていないのか否か、いつになくハイテンションな友人に手招きされ、彼女が座っていた隣の席の椅子を引いた。そこは偶然にも悠くんの席だった。
「ねえ、さっきからどうしたの?」
「どうしたもこうしたもないよ!」
内心ドギマギしながら席に座ると、待ってましたと言わんばかりに詰め寄られた。その勢いに圧倒され、友人から逃げるように背中を仰け反らせる。
「告白してきたって、本当?」
どこか楽しそうにニヤッと笑いながら言う友人に、今度は目を瞬かせた。――今なんて言った?
「……誰が?」
「蒼に決まってるでしょ?」
一体どこから湧いて出た話だろうか。
首を傾げながら考えていると、それだけで友人は真偽を悟ったようで、途端に「面白くない」とでも言うかのように頬杖をついて大きなため息をついた。
自分の知らない所で変な噂が立っているようだ。
友人によれば、つい先程教室の前を通った他クラスの生徒が話していた内容がたまたま耳に入り、その会話の中で私の名前が出てきたとのことだった。
彼女は本気にしているわけでないようだが、面白そうだからという理由で私を冷やかすついでに真意を確かめようとしたらしい。ついで、は余計だと肘でつついておいた。
「相手は誰だって?」
「サッカー部のエースだよ。ほら、三年の」
「あぁ……」
思わず頭を抱えた。
こんなインパクトのある噂、学校中に広まるのも時間の問題である。
ふと、悠くんの顔が浮かんだ。
最近はとても忙しそうにしていて、学校で姿を見ることは少ないから、運が良ければ知られずに済むかもしれない。
悠くんが例えこの噂を聞いたところで何も思わなくても、何となく彼の耳には入ってほしくないと思ってしまった。
「――じゃあ、先輩が手紙を持ってたって言ってたのは何だったんだろう?」
先程までの出来事を簡単に説明し終えると、友人がそう言った。何か返すか迷い、結局苦笑いで誤魔化したのだった。
スマホをブレザーのポケットにしまう。何の変哲のない、見慣れたロック画面に落胆するのは今日で何回目だろうか。
さっきは通知音が鳴って即時確認したが、送られてきたのはただの広告で、思わず独り言が口から漏れてしまったのは仕方ないだろう。
隣に友人がいたら「さっきから何やってんの?」と怪訝そうにツッコミを入れてきそうだが、生憎この場には私以外誰もいなかった。
待っているのは、言わずもがな悠くんからのラビチャだ。
あんなことがあった後も一応連絡は取り合っているのだが、以前よりやりとりの回数が減ってしまったのは間違いないだろう。ただ、どんなに遅くなろうと返信は返してくれるし、忙しいだろうからと送る頻度を減らしても結局相手から送られてくる為、話したくないと思われているわけではなさそうである。
そういった類のことを考え過ぎて、むしろ今までの距離感がおかしかったのではと思い始めている。
――これでいいのかなぁ。なんて無理矢理納得しようとするも、やはり腑に落ちない。どうしようもなく欲張りだ。
今日はこれからアルバイトが控えているから、できるだけ早く帰らなければいけない。早足で自身の教室を目指す。
教室に近付いていっても一切話し声は聞こえない上に電気も付いていないようだったから、もうクラスメイトは全員帰ったのだろうか。
「あーっ! やっと帰ってきた!」
「わっ、何!?」
てっきり誰もいないものだと思って教室に入ったらいきなり大きい声を向けられたことに驚き、大きく肩を揺らした。声の主は友人だ。まだ帰っていなかったらしい。そういえば昼休みにも同じようなことがあったな、と思いながら波打つ心臓を抑える。
そんな私の様子が見えていないのか否か、いつになくハイテンションな友人に手招きされ、彼女が座っていた隣の席の椅子を引いた。そこは偶然にも悠くんの席だった。
「ねえ、さっきからどうしたの?」
「どうしたもこうしたもないよ!」
内心ドギマギしながら席に座ると、待ってましたと言わんばかりに詰め寄られた。その勢いに圧倒され、友人から逃げるように背中を仰け反らせる。
「告白してきたって、本当?」
どこか楽しそうにニヤッと笑いながら言う友人に、今度は目を瞬かせた。――今なんて言った?
「……誰が?」
「蒼に決まってるでしょ?」
一体どこから湧いて出た話だろうか。
首を傾げながら考えていると、それだけで友人は真偽を悟ったようで、途端に「面白くない」とでも言うかのように頬杖をついて大きなため息をついた。
自分の知らない所で変な噂が立っているようだ。
友人によれば、つい先程教室の前を通った他クラスの生徒が話していた内容がたまたま耳に入り、その会話の中で私の名前が出てきたとのことだった。
彼女は本気にしているわけでないようだが、面白そうだからという理由で私を冷やかすついでに真意を確かめようとしたらしい。ついで、は余計だと肘でつついておいた。
「相手は誰だって?」
「サッカー部のエースだよ。ほら、三年の」
「あぁ……」
思わず頭を抱えた。
こんなインパクトのある噂、学校中に広まるのも時間の問題である。
ふと、悠くんの顔が浮かんだ。
最近はとても忙しそうにしていて、学校で姿を見ることは少ないから、運が良ければ知られずに済むかもしれない。
悠くんが例えこの噂を聞いたところで何も思わなくても、何となく彼の耳には入ってほしくないと思ってしまった。
「――じゃあ、先輩が手紙を持ってたって言ってたのは何だったんだろう?」
先程までの出来事を簡単に説明し終えると、友人がそう言った。何か返すか迷い、結局苦笑いで誤魔化したのだった。
