隣席の亥清くんと友達になりました
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「はぁ……」
すっかり静かになった廊下を歩く。
ずり落ちてきた鞄の肩紐を掛け直すも軽いからかすぐに元に戻ってしまって、その度に顔を顰める。今日は一限も授業に出られなかった為、ほとんど何も入っていなかったのだ。
今日は早朝から仕事が数件入っていた為、元々登校する予定ではなかった。しかし、提出期限が明日までの課題があることを思い出して、急遽学校にやって来たというわけだ。
さっさと提出して事務所に戻ろうと思っていたのだが、どうもタイミングがよくなかったらしい。職員室前の廊下には人集りができていたのだ。どうやらどこかの学年で期限が今日までの提出物があったらしく、慌てた様子の生徒達がプリント用紙片手に職員室内を覗いていた。
おかげで担任を探すのも捕まえるのにも苦労した為、周りに人がいないのをいいことにトボトボと歩きながらため息をついた。
「ん? あれ――」
角を曲がると、少し先に何かが落ちている。
誰かの落とし物だろうか。距離があるからそれが何かは分からないものの、ここから見た感じではマスコットか何かだろう。
このまま素通りするのも後味が悪い。せめて誰かに踏まれないように窓枠にでも置いておこう、と思ったのだが、それが視認できる位置にまで来た途端、反射的に足を止めてしまった。
目の前には頭のてっぺんに大きなナメコを生やしたパンダのキーホルダー。どうにも見覚えがあった。
パンダナメコランドに蒼と一緒に行った時、立ち寄ったショップで買っていたのを隣で見ていたのだ。
あの日から彼女とはあまり話をしていない。その場の雰囲気と勢いに任せて告白紛いなことを言いそうになった、あの光景がどうしても頭に浮かんでしまい、まともに顔を合わせることができなくなってしまった。
しかも、年明け最初の登校日についに席替えが行われた。以前からクラスメイトからの希望が多かったようだが、担任はあまり乗り気ではないようで「早く終わらせて帰るぞ」と席替え用のくじが入っているであろう箱をガサゴソと振っていた。
結果的に蒼とは席が離れてしまった。仕方のないことだが、これが原因で更に顔を合わせる機会が減ってしまったのはかなり痛い。
「はぁー……やめやめ」
最近気を抜くとこんなことばかり考えてしまう。
どちらにしろ、いつまでも廊下のど真ん中で悩んでいるわけにはいかない。とりあえず拾ったマスコットは彼女の机に置いておいて、一言ラビチャを入れておこう。そう結論づけて、自分のクラスを目指して再び歩き出した。
「――、――?」
しかし、ふと廊下に聞き覚えのある声が聞こえて思わず固まる。噂をすればなんとやら、である。
恐らく、今からオレが通ろうとしている先に蒼がいるのだろう。誰かと話しているのだろうか。友達といるのなら教室で話せばいいものの、何故わざわざ人気のない廊下で――。
「――――」
もうひとつの声を聞いた途端、心臓が大きく跳ねた。
聞こえてきたのは男の声。さすがに話の内容は聞き取れないが、親しげに話しているのは分かる。しかも、もうすぐバレンタインだ。
――これは、見ない方がいい気がする。
頭では分かっているのに、身体が勝手に動いてしまった。
すっかり静かになった廊下を歩く。
ずり落ちてきた鞄の肩紐を掛け直すも軽いからかすぐに元に戻ってしまって、その度に顔を顰める。今日は一限も授業に出られなかった為、ほとんど何も入っていなかったのだ。
今日は早朝から仕事が数件入っていた為、元々登校する予定ではなかった。しかし、提出期限が明日までの課題があることを思い出して、急遽学校にやって来たというわけだ。
さっさと提出して事務所に戻ろうと思っていたのだが、どうもタイミングがよくなかったらしい。職員室前の廊下には人集りができていたのだ。どうやらどこかの学年で期限が今日までの提出物があったらしく、慌てた様子の生徒達がプリント用紙片手に職員室内を覗いていた。
おかげで担任を探すのも捕まえるのにも苦労した為、周りに人がいないのをいいことにトボトボと歩きながらため息をついた。
「ん? あれ――」
角を曲がると、少し先に何かが落ちている。
誰かの落とし物だろうか。距離があるからそれが何かは分からないものの、ここから見た感じではマスコットか何かだろう。
このまま素通りするのも後味が悪い。せめて誰かに踏まれないように窓枠にでも置いておこう、と思ったのだが、それが視認できる位置にまで来た途端、反射的に足を止めてしまった。
目の前には頭のてっぺんに大きなナメコを生やしたパンダのキーホルダー。どうにも見覚えがあった。
パンダナメコランドに蒼と一緒に行った時、立ち寄ったショップで買っていたのを隣で見ていたのだ。
あの日から彼女とはあまり話をしていない。その場の雰囲気と勢いに任せて告白紛いなことを言いそうになった、あの光景がどうしても頭に浮かんでしまい、まともに顔を合わせることができなくなってしまった。
しかも、年明け最初の登校日についに席替えが行われた。以前からクラスメイトからの希望が多かったようだが、担任はあまり乗り気ではないようで「早く終わらせて帰るぞ」と席替え用のくじが入っているであろう箱をガサゴソと振っていた。
結果的に蒼とは席が離れてしまった。仕方のないことだが、これが原因で更に顔を合わせる機会が減ってしまったのはかなり痛い。
「はぁー……やめやめ」
最近気を抜くとこんなことばかり考えてしまう。
どちらにしろ、いつまでも廊下のど真ん中で悩んでいるわけにはいかない。とりあえず拾ったマスコットは彼女の机に置いておいて、一言ラビチャを入れておこう。そう結論づけて、自分のクラスを目指して再び歩き出した。
「――、――?」
しかし、ふと廊下に聞き覚えのある声が聞こえて思わず固まる。噂をすればなんとやら、である。
恐らく、今からオレが通ろうとしている先に蒼がいるのだろう。誰かと話しているのだろうか。友達といるのなら教室で話せばいいものの、何故わざわざ人気のない廊下で――。
「――――」
もうひとつの声を聞いた途端、心臓が大きく跳ねた。
聞こえてきたのは男の声。さすがに話の内容は聞き取れないが、親しげに話しているのは分かる。しかも、もうすぐバレンタインだ。
――これは、見ない方がいい気がする。
頭では分かっているのに、身体が勝手に動いてしまった。
