隣席の亥清くんと友達になりました
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移動教室の為に持ってきた数冊の教科書と筆記用具を抱え、「ありがとうございました」とあいさつをしてから静かに扉を閉める。そして、大きなため息をついた。
授業が終わった直後、先生に雑用を頼まれてしまい、昼休憩の時間を少しばかり返上する羽目になってしまったのである。といっても十数分のことだったが。
廊下を出るとたくさんの話し声はもちろん、机や椅子を動かす音なんかもあちこちから聞こえてくる。
こんな時間だからもう友人は食べ始めているかもしれない。早いところ教室に戻ろうと、授業前に通った道を早足で通り過ぎた。
「あれ、こんなところでどうした?」
「おわっ!?」
授業前に友人と歩いてきた廊下をひとりで歩いていたところ、今しがた通り過ぎようとした空き教室の扉が開き、反射で飛び跳ねる。若干大袈裟に驚いてしまったが、耳元で大きな音が聞こえてしまったのだから仕方がない。
「そんなビックリする?」
「よ、四葉くん……」
手に持っていた教科書をギュッと抱え後退った私を呆然と見ているのは、同じクラスの四葉くんだった。
いつの間に登校してきたのだろうか。そもそも、何故空き教室から出てきたのだろう。次々と疑問が浮かんできたが、私が何かを言う前に四葉くんが話し出した為、一旦のみ込むことにした。
「授業終わった? 今から昼?」
「そうだよ」
「よっし」
今が昼食の時間だと聞いた途端、腹を摩りながら「腹減ったー」と言いながら見るからに喜んだ。だが、私の記憶が正しければ四葉くんは登校して来たばかりで今日の授業にはまだ一限も参加していないはずだが――。
思わず苦笑いを溢しながら、先程驚いて離してしまった距離を縮める。すると、ふと彼の手元に目がいくと、あることに気付いた。
「あれ、それって……」
「あっ」
私が手元を覗き込むようにしてそう言うと、四葉くんは手に持っていたソレをひょいっと持ち上げた。
たくさんのハートマークがあしらわれた可愛らしい長方形の箱に、赤いリボンがくくられたソレ。見るからに女の子から貰った物だ。
それを見てピンときた。
あと一週間程でバレンタインデーがやってくることを。
「さすがだね」
もしかしたら今まさにチョコレートを受け取ったところだったのかもしれない。本人から訊いたわけではないものの、何とも言えないタイミングの悪さに多少の気まずさを感じてしまった。
それにしても――そうか。このイベントに賭けている人は、早くも動いているようだ。
特に四葉くんみたいな人気者は、渡そうにも当日学校にいないことなんてザラにあるから、早めに渡してしまおうと考える人がいてもおかしくないのだろう。
そこまで考えて、ふと頭に浮かんできた悠くんの姿を振り払うように慌てて首を振った。彼のことが好きだと自覚してから、どうにもいけない。
悠くんへのバレンタインデーはどうしようか。当日は友人のも含めて用意するつもりでいるが、渡すだけだとはいえどこか気恥ずかしく思っているのも事実である。
日に日に悩みのタネが増えていくことに頭を抱えたくなった。
四葉くんが空き教室から出てきた流れで自分達の教室まで一緒に戻ることになり、ふたり並んで軽い会話を交わしながら頭の中でぐるぐると思考を巡らせる。そんな私の様子をジッと見つめる四葉くんには気付かずに。
授業が終わった直後、先生に雑用を頼まれてしまい、昼休憩の時間を少しばかり返上する羽目になってしまったのである。といっても十数分のことだったが。
廊下を出るとたくさんの話し声はもちろん、机や椅子を動かす音なんかもあちこちから聞こえてくる。
こんな時間だからもう友人は食べ始めているかもしれない。早いところ教室に戻ろうと、授業前に通った道を早足で通り過ぎた。
「あれ、こんなところでどうした?」
「おわっ!?」
授業前に友人と歩いてきた廊下をひとりで歩いていたところ、今しがた通り過ぎようとした空き教室の扉が開き、反射で飛び跳ねる。若干大袈裟に驚いてしまったが、耳元で大きな音が聞こえてしまったのだから仕方がない。
「そんなビックリする?」
「よ、四葉くん……」
手に持っていた教科書をギュッと抱え後退った私を呆然と見ているのは、同じクラスの四葉くんだった。
いつの間に登校してきたのだろうか。そもそも、何故空き教室から出てきたのだろう。次々と疑問が浮かんできたが、私が何かを言う前に四葉くんが話し出した為、一旦のみ込むことにした。
「授業終わった? 今から昼?」
「そうだよ」
「よっし」
今が昼食の時間だと聞いた途端、腹を摩りながら「腹減ったー」と言いながら見るからに喜んだ。だが、私の記憶が正しければ四葉くんは登校して来たばかりで今日の授業にはまだ一限も参加していないはずだが――。
思わず苦笑いを溢しながら、先程驚いて離してしまった距離を縮める。すると、ふと彼の手元に目がいくと、あることに気付いた。
「あれ、それって……」
「あっ」
私が手元を覗き込むようにしてそう言うと、四葉くんは手に持っていたソレをひょいっと持ち上げた。
たくさんのハートマークがあしらわれた可愛らしい長方形の箱に、赤いリボンがくくられたソレ。見るからに女の子から貰った物だ。
それを見てピンときた。
あと一週間程でバレンタインデーがやってくることを。
「さすがだね」
もしかしたら今まさにチョコレートを受け取ったところだったのかもしれない。本人から訊いたわけではないものの、何とも言えないタイミングの悪さに多少の気まずさを感じてしまった。
それにしても――そうか。このイベントに賭けている人は、早くも動いているようだ。
特に四葉くんみたいな人気者は、渡そうにも当日学校にいないことなんてザラにあるから、早めに渡してしまおうと考える人がいてもおかしくないのだろう。
そこまで考えて、ふと頭に浮かんできた悠くんの姿を振り払うように慌てて首を振った。彼のことが好きだと自覚してから、どうにもいけない。
悠くんへのバレンタインデーはどうしようか。当日は友人のも含めて用意するつもりでいるが、渡すだけだとはいえどこか気恥ずかしく思っているのも事実である。
日に日に悩みのタネが増えていくことに頭を抱えたくなった。
四葉くんが空き教室から出てきた流れで自分達の教室まで一緒に戻ることになり、ふたり並んで軽い会話を交わしながら頭の中でぐるぐると思考を巡らせる。そんな私の様子をジッと見つめる四葉くんには気付かずに。
