隣席の亥清くんと友達になりました
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悠くんは私がいることに困惑しながらも早々に防寒具を脱いで炬燵に足を突っ込んだ。相当外が寒かったらしい。炬燵の敷布団が持ち上げられた際に冷気が足を掠めて
「もしかしてなんかあった?」
持って帰ってきた少々大きめの荷物は防寒具と一緒に悠くんの背後に置かれている。それを居間に入ってきたおばあさんが見つけ、「洗濯物は早めに出してね」と片付けを促されているのを聞きながらお茶を啜った。
「スーパー行ったらたまたま会ってさ」
「買い物?」
この一言だけで大体何があったのかを察したらしい。すぐに炬燵から抜け出し、おばあさんがいる台所に顔を出しに行った。どうやら悠くんは仕事に行く前におばあさんの分の食料のみを買いに行ったらしく、買い足さなければいけないほど足りなくなるとは思っていなかったようだ。本当はおばあさんが悠くんの為にしたことなのだが、あまり横から口を出すのも憚られたので黙っておくことにした。
手持ち無沙汰になり、机に置いてあった新聞に目を向ける。そこには暗闇の中で色鮮やかな光が輝いている写真が見出しと共に大きく載せられていた。
「イルミネーションか」
クリスマスが近づいてくると様々な場所で電光飾が施されるが、今年もその季節がやってきたのだ。
そこでふと、丁度先日冬休みに入ってから始めて会った友人から聞いた話を思い出した。
「そういえば、今どこかの遊園地でライトアップしてるらしいね。えーっと――パンダナメコランドだったっけ?」
「今ラビッターで話題になってるところだよな」
いつの間にか戻ってきていた悠くんが、再び炬燵に入りながら言った。
パンダの頭にキノコが生えている、少し――かなりインパクトの強いマスコットキャラクターを前面に押しているテーマパーク――パンダナメコランド。年中通してショーやパレード、様々なイベントが盛んに行われており、年齢や時期を問わずたくさんの人で賑わう遊園地だ。今くらいの時期は、毎年園内全体がライトアップされているらしい。加えて夜間はカップルで溢れ返っているという。
何故そんなに詳しいのか。ラビッターに投稿されている口コミもそうだが、ほとんどの情報源は件の友人である。
先日、冬休みに入って始めて会った友人が話していたのだが、数日前に彼氏とパンダナメコランドへイルミネーションを見に行ったという話を聞いたのだ。よっぽど楽しかったらしく、長い時間会話が途切れることがなかった。
「あっ、ちょっと待って」
急に何かを思い出したように声を上げたと思ったら、先程持って帰ってきた鞄を漁り始めた。そして、何かを取り出した。突っ込まれていた手が掴んでいたのは――。
「これ、前にマネージャーから貰ったのすっかり忘れてた。……ほんっと何で宇都木さんが遊園地のペアチケット持ってんの? まぁ、どこかのスタッフに貰ったんだろうけど……」
宇都木さんというのはŹOOĻのマネージャーさんだろうか。最後の方は小さな声で呟いていた為、独り言だろうと聞こえないフリをしておいた。
暫く悠くんの横顔を黙って眺めていると、不意に目が合って首を傾げる。
「これ使わないのももったいないし。あー……い、行く? 一緒に……」
「いいの!?」
これが、クリスマスを目前に控えた日の出来事だった。
「もしかしてなんかあった?」
持って帰ってきた少々大きめの荷物は防寒具と一緒に悠くんの背後に置かれている。それを居間に入ってきたおばあさんが見つけ、「洗濯物は早めに出してね」と片付けを促されているのを聞きながらお茶を啜った。
「スーパー行ったらたまたま会ってさ」
「買い物?」
この一言だけで大体何があったのかを察したらしい。すぐに炬燵から抜け出し、おばあさんがいる台所に顔を出しに行った。どうやら悠くんは仕事に行く前におばあさんの分の食料のみを買いに行ったらしく、買い足さなければいけないほど足りなくなるとは思っていなかったようだ。本当はおばあさんが悠くんの為にしたことなのだが、あまり横から口を出すのも憚られたので黙っておくことにした。
手持ち無沙汰になり、机に置いてあった新聞に目を向ける。そこには暗闇の中で色鮮やかな光が輝いている写真が見出しと共に大きく載せられていた。
「イルミネーションか」
クリスマスが近づいてくると様々な場所で電光飾が施されるが、今年もその季節がやってきたのだ。
そこでふと、丁度先日冬休みに入ってから始めて会った友人から聞いた話を思い出した。
「そういえば、今どこかの遊園地でライトアップしてるらしいね。えーっと――パンダナメコランドだったっけ?」
「今ラビッターで話題になってるところだよな」
いつの間にか戻ってきていた悠くんが、再び炬燵に入りながら言った。
パンダの頭にキノコが生えている、少し――かなりインパクトの強いマスコットキャラクターを前面に押しているテーマパーク――パンダナメコランド。年中通してショーやパレード、様々なイベントが盛んに行われており、年齢や時期を問わずたくさんの人で賑わう遊園地だ。今くらいの時期は、毎年園内全体がライトアップされているらしい。加えて夜間はカップルで溢れ返っているという。
何故そんなに詳しいのか。ラビッターに投稿されている口コミもそうだが、ほとんどの情報源は件の友人である。
先日、冬休みに入って始めて会った友人が話していたのだが、数日前に彼氏とパンダナメコランドへイルミネーションを見に行ったという話を聞いたのだ。よっぽど楽しかったらしく、長い時間会話が途切れることがなかった。
「あっ、ちょっと待って」
急に何かを思い出したように声を上げたと思ったら、先程持って帰ってきた鞄を漁り始めた。そして、何かを取り出した。突っ込まれていた手が掴んでいたのは――。
「これ、前にマネージャーから貰ったのすっかり忘れてた。……ほんっと何で宇都木さんが遊園地のペアチケット持ってんの? まぁ、どこかのスタッフに貰ったんだろうけど……」
宇都木さんというのはŹOOĻのマネージャーさんだろうか。最後の方は小さな声で呟いていた為、独り言だろうと聞こえないフリをしておいた。
暫く悠くんの横顔を黙って眺めていると、不意に目が合って首を傾げる。
「これ使わないのももったいないし。あー……い、行く? 一緒に……」
「いいの!?」
これが、クリスマスを目前に控えた日の出来事だった。
