隣席の亥清くんと友達になりました
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「ごめん、遅くなった」
「そんなに待ってないから」
とあるテーマパークの入口前。
事前に決めていた待ち合わせ場所に着くと、マフラーに顔を埋めて佇んでいる悠くんを見つけて小走りで駆け寄った。
「変装、いつもより力入ってるね」
「今日は絶対に見つかったらダメだからな」
「見る人によっては勘違いさせちゃいそうだもんね」
「まぁ……うん」
いつもの調子で軽口を叩き合いながら入場ゲートを潜る。パンダの頭にキノコが生えた不思議な生物――この遊園地のメインキャラクターであるパンダナメコに囲まれながら悠くんに置いていかれないように足を動かす。
――そう。私達は今、パンダナメコランドに来ていた。
その理由は、数日前に遡る。
* * *
「あれ、悠くんの……」
冬休みに突入して数日経ったある日。いつものように買い物をしにスーパーに訪れた時のことだった。
できるだけスムーズに済ませたかった為比較的空いていそうな時間帯を選んだにも関わらずかなり混雑していた。よく見ると親に連れられてやってきたであろう小さな子供が多いように感じ、やはり学校が長期休暇期間中だと時間帯なんて関係ないらしい。
しかし、そんな人混みの中に見知った顔をひとつ見つけて足を止める。それも珍しい人物だったから驚いてしまった。
「あら」
声をかけようか迷っていると、さすがに視線が煩かったのか手元にあるメモを見ていた目がこちらを向く。いきなり目が合ったことで動揺してしまうも、軽い会釈をすると相手も同じ仕草で返してくれた。
「はるちゃんのお友達よね。久しぶりねぇ」
「悠くんのおばあさん、お久しぶりです」
ショッピングカートにもたれかかるようにしながらゆっくりと前を歩いていたのは悠くんのおばあさんだった。
夏休みに亥清家にお邪魔して以来一度も会っていなかったから先程は話しかけるのを躊躇してしまったのだが、私のことを覚えていてくれたようで安心した。
「おひとりで来られてるんですか?」
こんなところでおばあさんに会うなんて初めてだ。
いつもなら悠くんが代わりに買い物に来ているはずなのに、今日は彼の姿はどこにも見当たらない。
「えぇ。はるちゃんはお仕事で家を空けているから」
「そうなんですね」
相変わらず忙しくしているらしい。
聞けば冬休みに入ってから遠方での仕事が始まったらしく、数日間顔を合わせていないのだとか。
そういえば休みに入る前から殆ど学校に来ていなかったことを思い出した。それと同時にテレビで姿を見ることが増えたように思う。
その後、お互いまだ購入する物が残っていたから一緒に店内を巡り、レジに並んだ。精算時におばあさんのショッピングカートから買い物カゴを下ろす時、思っていた以上に重くて思わず驚いてしまった。悠くんがもうすぐ帰ってくるから張り切って買ったのだろうか。
「手伝ってくれてごめんなさいね。助かったわ」
「とんでもないです」
両手に荷物を下げながら亥清家にお邪魔する。会計が終わった後、おばあさんの買い物袋の重さが気になってしまい、荷物持ちを申し出たのだ。
運び終わってすぐに帰ろうとしたが「休憩していって」という好意に甘え、今居間でお茶をいただいているところである。
気を使わせてしまい申し訳ない気持ちもありつつ、帰宅してすぐに電源を入れておいてくれた炬燵で暖まっていると、何やら玄関の方からガタガタと音が聞こえてきた。
「帰ってきたみたいね」
大きな荷物を持って居間に入ってきたのは言わずもがな、悠くんだった。
「ただい、ま……――えっ、蒼?」
「お邪魔してます……」
いつもはいない筈の私を見つけた瞬間、目を大きく見開いて手から荷物が落ちた。
そりゃあ、驚きもする。
「そんなに待ってないから」
とあるテーマパークの入口前。
事前に決めていた待ち合わせ場所に着くと、マフラーに顔を埋めて佇んでいる悠くんを見つけて小走りで駆け寄った。
「変装、いつもより力入ってるね」
「今日は絶対に見つかったらダメだからな」
「見る人によっては勘違いさせちゃいそうだもんね」
「まぁ……うん」
いつもの調子で軽口を叩き合いながら入場ゲートを潜る。パンダの頭にキノコが生えた不思議な生物――この遊園地のメインキャラクターであるパンダナメコに囲まれながら悠くんに置いていかれないように足を動かす。
――そう。私達は今、パンダナメコランドに来ていた。
その理由は、数日前に遡る。
* * *
「あれ、悠くんの……」
冬休みに突入して数日経ったある日。いつものように買い物をしにスーパーに訪れた時のことだった。
できるだけスムーズに済ませたかった為比較的空いていそうな時間帯を選んだにも関わらずかなり混雑していた。よく見ると親に連れられてやってきたであろう小さな子供が多いように感じ、やはり学校が長期休暇期間中だと時間帯なんて関係ないらしい。
しかし、そんな人混みの中に見知った顔をひとつ見つけて足を止める。それも珍しい人物だったから驚いてしまった。
「あら」
声をかけようか迷っていると、さすがに視線が煩かったのか手元にあるメモを見ていた目がこちらを向く。いきなり目が合ったことで動揺してしまうも、軽い会釈をすると相手も同じ仕草で返してくれた。
「はるちゃんのお友達よね。久しぶりねぇ」
「悠くんのおばあさん、お久しぶりです」
ショッピングカートにもたれかかるようにしながらゆっくりと前を歩いていたのは悠くんのおばあさんだった。
夏休みに亥清家にお邪魔して以来一度も会っていなかったから先程は話しかけるのを躊躇してしまったのだが、私のことを覚えていてくれたようで安心した。
「おひとりで来られてるんですか?」
こんなところでおばあさんに会うなんて初めてだ。
いつもなら悠くんが代わりに買い物に来ているはずなのに、今日は彼の姿はどこにも見当たらない。
「えぇ。はるちゃんはお仕事で家を空けているから」
「そうなんですね」
相変わらず忙しくしているらしい。
聞けば冬休みに入ってから遠方での仕事が始まったらしく、数日間顔を合わせていないのだとか。
そういえば休みに入る前から殆ど学校に来ていなかったことを思い出した。それと同時にテレビで姿を見ることが増えたように思う。
その後、お互いまだ購入する物が残っていたから一緒に店内を巡り、レジに並んだ。精算時におばあさんのショッピングカートから買い物カゴを下ろす時、思っていた以上に重くて思わず驚いてしまった。悠くんがもうすぐ帰ってくるから張り切って買ったのだろうか。
「手伝ってくれてごめんなさいね。助かったわ」
「とんでもないです」
両手に荷物を下げながら亥清家にお邪魔する。会計が終わった後、おばあさんの買い物袋の重さが気になってしまい、荷物持ちを申し出たのだ。
運び終わってすぐに帰ろうとしたが「休憩していって」という好意に甘え、今居間でお茶をいただいているところである。
気を使わせてしまい申し訳ない気持ちもありつつ、帰宅してすぐに電源を入れておいてくれた炬燵で暖まっていると、何やら玄関の方からガタガタと音が聞こえてきた。
「帰ってきたみたいね」
大きな荷物を持って居間に入ってきたのは言わずもがな、悠くんだった。
「ただい、ま……――えっ、蒼?」
「お邪魔してます……」
いつもはいない筈の私を見つけた瞬間、目を大きく見開いて手から荷物が落ちた。
そりゃあ、驚きもする。
