隣席の亥清くんと友達になりました
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
亥清くんのおばあさんが部屋を出ていってからは、特に目的が決まっていたわけではなかった為、のんびりした時間を過ごした。お菓子を摘みながら盛り上がった話に笑い、ひとつの画面をふたりで覗きながらRabbiTubeを見たり、亥清くんが今ハマっているゲームを触らせてもらったり――いくら話しても一切会話が尽きないのだから不思議だ。
そういえば、亥清家にお邪魔して少し経った頃におばあさんが居間に顔を出して「よければ夕飯食べていってね」とお誘いを受けた。さすがにそこまでお世話になるのも申し訳なく思って断ったのだが、どうやら私が食べていくものだとばかり思っていたらしく、横から亥清くんが小声で教えてくれた瞬間に厄介になることに決めたのだ。どうせ今日もひとりで夕飯を食べる予定だったし、食卓を囲む人数は多い方が賑やかで楽しいと言うおばあさんの気持ちはよく分かる。
「あら、牛乳が足りない」
ふとそんな声が聞こえてきて、亥清くんが立ち上がり障子を開けた。どうやら居間の隣には台所があったようで、夕飯の支度に使うであろういくつかの食材がカウンターに置かれている。
それらに背を向けて何やら冷蔵庫の前に佇んでいるおばあさんの手には牛乳パックが握られていた。
「それ夕飯で使う?」
「えぇ……」
「じゃあ、今から買ってくる」
「でも……」
おばあさんは私がいるのを気にしてか腑に落ちない様子だったが、亥清くんに何度か説得された後に「助かるわ」と笑ってみせた。
買い物に行くならついでにといくつか購入する物を聞いた亥清くんは、準備してくる、と居間を出ていく。その間、おばあさんに申し訳なさそうな表情で謝られたが、全力で首を横に振った。
因みに亥清くんが良ければ私も一緒に行こうと思っている。おばあさんにはこのまま家で待っていてもいいと言われたし、私が行ったところで手伝えることも限られているから必要ないかもしれないが。
足音と障子が開く音が聞こえて振り向くと、いつぞやに見たマスクに帽子で顔を隠した姿で入ってきた。この格好で猛暑の中歩くのだと思うと、想像するだけでもかなり暑そうである。
その際、私もついていっていいかと聞いたところ、あっさり肯定が返ってきた。あまりふたりで外を歩くのはよろしくないのでは、と心配していたが、そんなの今更だろと一蹴されたのだ。ど正論である。
「悪いわねぇ」
「いいよ。暑いしささっと行ってくる」
「気を付けてね」
玄関の扉を開ける前に見送りにきてくれたおばあさんの言葉にふたりで頷く。
ドアが閉まる前、後ろから「いってらっしゃい」という言葉が聞こえてきて思わず振り返った。その先には笑顔で手を振っているおばあさんがいる。
新鮮だった。私の両親は常に忙しい人達だから普段は自分が見送るし出迎える側だったのだ。私は「いってきます!」と亥清くんよりも大きな声で返事をしてしまった。
そういえば、亥清家にお邪魔して少し経った頃におばあさんが居間に顔を出して「よければ夕飯食べていってね」とお誘いを受けた。さすがにそこまでお世話になるのも申し訳なく思って断ったのだが、どうやら私が食べていくものだとばかり思っていたらしく、横から亥清くんが小声で教えてくれた瞬間に厄介になることに決めたのだ。どうせ今日もひとりで夕飯を食べる予定だったし、食卓を囲む人数は多い方が賑やかで楽しいと言うおばあさんの気持ちはよく分かる。
「あら、牛乳が足りない」
ふとそんな声が聞こえてきて、亥清くんが立ち上がり障子を開けた。どうやら居間の隣には台所があったようで、夕飯の支度に使うであろういくつかの食材がカウンターに置かれている。
それらに背を向けて何やら冷蔵庫の前に佇んでいるおばあさんの手には牛乳パックが握られていた。
「それ夕飯で使う?」
「えぇ……」
「じゃあ、今から買ってくる」
「でも……」
おばあさんは私がいるのを気にしてか腑に落ちない様子だったが、亥清くんに何度か説得された後に「助かるわ」と笑ってみせた。
買い物に行くならついでにといくつか購入する物を聞いた亥清くんは、準備してくる、と居間を出ていく。その間、おばあさんに申し訳なさそうな表情で謝られたが、全力で首を横に振った。
因みに亥清くんが良ければ私も一緒に行こうと思っている。おばあさんにはこのまま家で待っていてもいいと言われたし、私が行ったところで手伝えることも限られているから必要ないかもしれないが。
足音と障子が開く音が聞こえて振り向くと、いつぞやに見たマスクに帽子で顔を隠した姿で入ってきた。この格好で猛暑の中歩くのだと思うと、想像するだけでもかなり暑そうである。
その際、私もついていっていいかと聞いたところ、あっさり肯定が返ってきた。あまりふたりで外を歩くのはよろしくないのでは、と心配していたが、そんなの今更だろと一蹴されたのだ。ど正論である。
「悪いわねぇ」
「いいよ。暑いしささっと行ってくる」
「気を付けてね」
玄関の扉を開ける前に見送りにきてくれたおばあさんの言葉にふたりで頷く。
ドアが閉まる前、後ろから「いってらっしゃい」という言葉が聞こえてきて思わず振り返った。その先には笑顔で手を振っているおばあさんがいる。
新鮮だった。私の両親は常に忙しい人達だから普段は自分が見送るし出迎える側だったのだ。私は「いってきます!」と亥清くんよりも大きな声で返事をしてしまった。