隣席の亥清くんと友達になりました
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「いらっしゃい。よく来たねぇ」
「お、お邪魔します」
玄関までわざわざ出迎えてくれた亥清くんのおばあさんにタジタジになりながらもなんとか挨拶する。持ってきたお菓子を手土産として渡すと「ありがとう、はるちゃんも喜ぶわ」と喜んでくれて、ホッと胸を撫で下ろした。
あれから数日後のこと。私は今、亥清くんの家に来ていた。あの日、驚きはしたものの亥清くんからの誘いに二つ返事で了承し、その場で日時まで決めたのだ。亥清くんは私がこうもあっさり頷くとは微塵も思っていなかったらしく、誘った本人なのに目をまん丸に見開いて驚いていたのには少し笑ってしまった。
「この間ははるちゃんがお世話になったみたいで」
「いえ、そんな!」
恐らく大雨に降られた際、私の家に来てもらったことを言っているのだろう。もしかしたら、この日の話を亥清くんから聞いて気にかけてくれたのかもしれないと思った。
しかし、私が否応なしに家に連れて行ってしまった節があるから、余計なお節介をかけてしまった自覚は少しあったりする。
「やっと来た」
「あ、亥清くん。お邪魔します」
玄関先で話し込んでいると、奥の部屋からひょっこりと顔を出した亥清くんが出てきた。そう言われてスマホの時計を確認すると、確かに約束の時間を少し越してしまっている。念の為余裕を持って早めに家を出たのだが、やはり初めて来る場所だった為暫く付近をウロチョロしてしまったのだ。
外は暑いから早く中に入ろうと、おばあさんに連れられて家の中にお邪魔する。案内された部屋は畳を敷き詰めた和室で、部屋の真ん中にローテーブルが置かれており、亥清くんが今までやっていたのか夏休みに出された課題が広がっていた。
亥清くんは閉じた教科書類を持って部屋を出ていくと、入れ替わりでおばあさんがお茶菓子を持って入ってくる。お盆に乗っているのは、私が先程玄関先で渡したお菓子だ。
「いただいたお菓子も出してもいいかしら」
「もちろんです」
「ありがとう」
私と亥清くんの分のお茶を置きながら、おばあさんが言った。
「ごめんなさいね、私が無理を言ってしまったせいで――来てくれて嬉しいわ。はるちゃんからあなたの話はよく聞いていたから、一度挨拶したいと思っていたのよ」
「無理だなんて、そんな。亥清く――悠くんにはいつも仲良くしてもらっていますし」
「それならよかった。最近沢山あの子のお友達に会えて嬉しいわ」
この間ははるちゃんのお仕事仲間が来てくれてねぇ、と本当に嬉しそうに話すおばあさんと話をしていると、すぐに亥清くんが戻ってきて会話が中断されてしまった。
亥清くんが座ると「蒼ちゃんが持ってきてくれたのよ」とおばあさんが説明してくれ、それに返事をしながらひとつ手に取って口に運んだ。
因みに持ってきたお菓子は、アルバイト先の店内に売られているクッキーにしておいた。亥清くんはともかく、おばあさんの味の好みは分からなかったから、複数種類が入っているものを購入しておいたのだ。
「これ美味――何だよ」
「いや、やっぱり甘いもの好きだったんだなと」
思わずジッと見てしまった。以前クレープを食べに行った時も思ったが、亥清くんはかなり甘党らしい。
今度また誘ったら一緒に行ってくれるかな、と思いながら自分もクッキーを食べていると、亥清くんが顔をムスッと顰めた。
「っ、悪い?」
「ううん。持ってきてよかった」
「……」
お盆を抱えて私達のやりとりを見ていたおばあさんは笑いながら立ち上がる。
「ゆっくりしていってね」
「ありがとうございます!」
優しい表情で微笑み、台所と居間を区切っている障子を閉めた。その動きはとてもゆっくりで、どこか腰をいたわっているように見えた。
亥清くんと知り合ってすぐの頃、自分のおばあさんの代わりに買い物に来ていると聞いたことがあったが、そういう事情だったのかと合点がいった。
「お、お邪魔します」
玄関までわざわざ出迎えてくれた亥清くんのおばあさんにタジタジになりながらもなんとか挨拶する。持ってきたお菓子を手土産として渡すと「ありがとう、はるちゃんも喜ぶわ」と喜んでくれて、ホッと胸を撫で下ろした。
あれから数日後のこと。私は今、亥清くんの家に来ていた。あの日、驚きはしたものの亥清くんからの誘いに二つ返事で了承し、その場で日時まで決めたのだ。亥清くんは私がこうもあっさり頷くとは微塵も思っていなかったらしく、誘った本人なのに目をまん丸に見開いて驚いていたのには少し笑ってしまった。
「この間ははるちゃんがお世話になったみたいで」
「いえ、そんな!」
恐らく大雨に降られた際、私の家に来てもらったことを言っているのだろう。もしかしたら、この日の話を亥清くんから聞いて気にかけてくれたのかもしれないと思った。
しかし、私が否応なしに家に連れて行ってしまった節があるから、余計なお節介をかけてしまった自覚は少しあったりする。
「やっと来た」
「あ、亥清くん。お邪魔します」
玄関先で話し込んでいると、奥の部屋からひょっこりと顔を出した亥清くんが出てきた。そう言われてスマホの時計を確認すると、確かに約束の時間を少し越してしまっている。念の為余裕を持って早めに家を出たのだが、やはり初めて来る場所だった為暫く付近をウロチョロしてしまったのだ。
外は暑いから早く中に入ろうと、おばあさんに連れられて家の中にお邪魔する。案内された部屋は畳を敷き詰めた和室で、部屋の真ん中にローテーブルが置かれており、亥清くんが今までやっていたのか夏休みに出された課題が広がっていた。
亥清くんは閉じた教科書類を持って部屋を出ていくと、入れ替わりでおばあさんがお茶菓子を持って入ってくる。お盆に乗っているのは、私が先程玄関先で渡したお菓子だ。
「いただいたお菓子も出してもいいかしら」
「もちろんです」
「ありがとう」
私と亥清くんの分のお茶を置きながら、おばあさんが言った。
「ごめんなさいね、私が無理を言ってしまったせいで――来てくれて嬉しいわ。はるちゃんからあなたの話はよく聞いていたから、一度挨拶したいと思っていたのよ」
「無理だなんて、そんな。亥清く――悠くんにはいつも仲良くしてもらっていますし」
「それならよかった。最近沢山あの子のお友達に会えて嬉しいわ」
この間ははるちゃんのお仕事仲間が来てくれてねぇ、と本当に嬉しそうに話すおばあさんと話をしていると、すぐに亥清くんが戻ってきて会話が中断されてしまった。
亥清くんが座ると「蒼ちゃんが持ってきてくれたのよ」とおばあさんが説明してくれ、それに返事をしながらひとつ手に取って口に運んだ。
因みに持ってきたお菓子は、アルバイト先の店内に売られているクッキーにしておいた。亥清くんはともかく、おばあさんの味の好みは分からなかったから、複数種類が入っているものを購入しておいたのだ。
「これ美味――何だよ」
「いや、やっぱり甘いもの好きだったんだなと」
思わずジッと見てしまった。以前クレープを食べに行った時も思ったが、亥清くんはかなり甘党らしい。
今度また誘ったら一緒に行ってくれるかな、と思いながら自分もクッキーを食べていると、亥清くんが顔をムスッと顰めた。
「っ、悪い?」
「ううん。持ってきてよかった」
「……」
お盆を抱えて私達のやりとりを見ていたおばあさんは笑いながら立ち上がる。
「ゆっくりしていってね」
「ありがとうございます!」
優しい表情で微笑み、台所と居間を区切っている障子を閉めた。その動きはとてもゆっくりで、どこか腰をいたわっているように見えた。
亥清くんと知り合ってすぐの頃、自分のおばあさんの代わりに買い物に来ていると聞いたことがあったが、そういう事情だったのかと合点がいった。
