隣席の亥清くんと友達になりました
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七月の終わりがみえてきた。
つい最近、友人と「暑い」などと文句を垂れながら学校の廊下を歩いていたのに、最早そんな言葉を口にする気も起きないくらいには日に日に気温が増している。エアコンが無ければ体調を崩しかねない。
ベッドから出てカーテンを開ける。すると、既に登っている太陽がまだ目が開き切っていない私の顔を容赦なく照らした。とんでもなく暑い。
こんな朝の時間帯でも既に室温は上がっており、額から汗がジワっと滲むのを感じた。急いで窓を開けてリビングに避難し、部屋に入った途端エアコンのリモコンを手に取った。そして、こちらの部屋のカーテンも開ければ、元気な子供が大声で友達の名前を呼びながら楽しそうに走り去っていく姿が窓から見えて、大きく吸った息を吐く。
いよいよ今日から夏休みが始まった。
とはいえ、特にこれといって予定があるわけでもなく、一ヶ月もの長い休みをどう過ごそうか未だに決めかねている。以前から思っていた通りアルバイトのシフトはあまり入れることが出来なかったし、かといって出かける予定もない。猛烈に暇である。
「図書館にでも行くか……」
このまま一日中家で過ごすのは避けたい為、近くにある図書館にでも行こうかと思い立った。これで午後の予定は決まりである。――と、その前にやらなければいけなかったことを思い出し、天井を見上げた。
牛乳、買いに行かなきゃ。
* * *
「ねえ、こんな高確率で鉢合わせることある?学校じゃあるまいし」
「オレもビックリした……」
コンビニで無事にお目当ての物を購入でき、さっさと帰ろうと猛暑に苦しみながら帰路を急いでいると、道中で亥清くんとばったり会った。亥清くんとは買い物に行く時間帯が同じなのか、今まで何度かスーパーで鉢合わせることはあったが、まさか夏休み初日にこんな道端でばったり会うなんて思わない。
今日の亥清くんの格好はマスクに帽子と、真っ黒で完全防備だ。暑くないのかと思わず聞けば「暑いに決まってるだろ」と間髪入れずに返ってきた。そりゃあそうだ。
「お出掛け?」
「まぁ、うん。メンバーと会う約束してる」
「そっか。熱中症には気を付けてね」
「そっちこそな」
こうして呑気に話している間にもどんどん汗が垂れてくる。あまりの暑さにため息をついた。
涼しげな格好をしている私でもボーッとしてくる程なのだから、変装の為に顔を覆っている亥清くんはもっと暑いだろう。これは早めにお開きした方がよさそうだ。
「じゃあまた――」
「あっ、ちょっと!」
「え?」
さっさと背を向けて帰ろうとすると、亥清くんが私の腕を引っ張ったことで足を止めた。身体ごと亥清くんの方を向くと何か言いたいことがあるのか口を開いたり閉じたりしながらソワソワしている。前にラビチャを交換した時にも似たようなことがあったな、と思いながら静かに待った。
「あのさ、こんなこと言うのアレだし嫌なら断ってくれて全っ然いいんだけどさ!」
「うん」
早口だしやけに前置きが長いな、と怪訝に思いながらも頷くと、少しだけ落ち着いたのか声のトーンが下がった。
「ばあちゃんが、あんたに会ってみたいって言ってるんだよね……」
「へぇ――えっ?」
今、なんて言った?
つい最近、友人と「暑い」などと文句を垂れながら学校の廊下を歩いていたのに、最早そんな言葉を口にする気も起きないくらいには日に日に気温が増している。エアコンが無ければ体調を崩しかねない。
ベッドから出てカーテンを開ける。すると、既に登っている太陽がまだ目が開き切っていない私の顔を容赦なく照らした。とんでもなく暑い。
こんな朝の時間帯でも既に室温は上がっており、額から汗がジワっと滲むのを感じた。急いで窓を開けてリビングに避難し、部屋に入った途端エアコンのリモコンを手に取った。そして、こちらの部屋のカーテンも開ければ、元気な子供が大声で友達の名前を呼びながら楽しそうに走り去っていく姿が窓から見えて、大きく吸った息を吐く。
いよいよ今日から夏休みが始まった。
とはいえ、特にこれといって予定があるわけでもなく、一ヶ月もの長い休みをどう過ごそうか未だに決めかねている。以前から思っていた通りアルバイトのシフトはあまり入れることが出来なかったし、かといって出かける予定もない。猛烈に暇である。
「図書館にでも行くか……」
このまま一日中家で過ごすのは避けたい為、近くにある図書館にでも行こうかと思い立った。これで午後の予定は決まりである。――と、その前にやらなければいけなかったことを思い出し、天井を見上げた。
牛乳、買いに行かなきゃ。
* * *
「ねえ、こんな高確率で鉢合わせることある?学校じゃあるまいし」
「オレもビックリした……」
コンビニで無事にお目当ての物を購入でき、さっさと帰ろうと猛暑に苦しみながら帰路を急いでいると、道中で亥清くんとばったり会った。亥清くんとは買い物に行く時間帯が同じなのか、今まで何度かスーパーで鉢合わせることはあったが、まさか夏休み初日にこんな道端でばったり会うなんて思わない。
今日の亥清くんの格好はマスクに帽子と、真っ黒で完全防備だ。暑くないのかと思わず聞けば「暑いに決まってるだろ」と間髪入れずに返ってきた。そりゃあそうだ。
「お出掛け?」
「まぁ、うん。メンバーと会う約束してる」
「そっか。熱中症には気を付けてね」
「そっちこそな」
こうして呑気に話している間にもどんどん汗が垂れてくる。あまりの暑さにため息をついた。
涼しげな格好をしている私でもボーッとしてくる程なのだから、変装の為に顔を覆っている亥清くんはもっと暑いだろう。これは早めにお開きした方がよさそうだ。
「じゃあまた――」
「あっ、ちょっと!」
「え?」
さっさと背を向けて帰ろうとすると、亥清くんが私の腕を引っ張ったことで足を止めた。身体ごと亥清くんの方を向くと何か言いたいことがあるのか口を開いたり閉じたりしながらソワソワしている。前にラビチャを交換した時にも似たようなことがあったな、と思いながら静かに待った。
「あのさ、こんなこと言うのアレだし嫌なら断ってくれて全っ然いいんだけどさ!」
「うん」
早口だしやけに前置きが長いな、と怪訝に思いながらも頷くと、少しだけ落ち着いたのか声のトーンが下がった。
「ばあちゃんが、あんたに会ってみたいって言ってるんだよね……」
「へぇ――えっ?」
今、なんて言った?