隣席の亥清くんと友達になりました
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
紆余曲折を得て無事に目的を達成し、再びふたり並んで帰路につく。亥清くんがいる為、出来るだけひと通りが少ない場所を選んで歩いているから辺りは静かだ。聞こえるとすれば、私達の足音と近くの大通りを走っている車やバイクのエンジン音くらいだろう。
そうしてゆっくりと歩いていると、頭のてっぺんに冷たいものが落ちてきて思わず立ち止まる。止まった私に気付いた亥清くんも数歩先で止まり、何やら自分の頭の上に手を乗せて辺りをキョロキョロと見渡している私を見て首を傾げた。
「どう――うわっ、冷た!」
しかし、裏返った声で首を竦めながら私と同じ仕草で髪を手で払い出した。数秒の間ふたりして顔を見合わせ、どちらともなく空を見上げる。すると、
「空、暗っ」
何故外を歩いていて気が付かなかったのか。先程までの快晴とはほど遠く、今では暗くて厚い雲が空いっぱいに広がっていた。どうやら今頭に落ちてきたのは雨らしい。
思わず出てしまった声に反応するかのように次第に雨の量は増えていき、あっという間に雨景色へ変わってしまった。
私達は急いで近くにあった軒下に入り、制服に付いてしまった水滴を軽く払いながら顔を顰める。
「今日の天気予報って雨だったっけ」
「晴れだった気がする」
朝、家を出る前に見た天気予報では赤色の太陽マークがギラギラと輝いていたのだが、あれは幻覚だったのだろうか。考えていたことをそのまま口にすれば、案の定首を横に振られた。
最近はこうした突然の雨が多いように思う。この時期は夕立が多いから仕方ないが、こうして外にいる時に限って雨に降られてしまうのだから敵わない。ただ、これは一時的なものだろうから少しの間雨宿りしていればそのうち止むだろう。
――そう思い二、三十分待ってみたが一向に止む気配がなく、むしろ先程よりも雨足が強くなっているのは気のせいではないはずだ。
スマホを取り出して天気予報を確認してみる。今私達がいる地域は翌日の朝方まで雨マークが並んでいおり肩を落とした。このままここで待っていても時間の無駄だ。
「ここから私の家近いんだけど、来る?」
「えっ」
ここから少し走ることになるけど、と付け加えて、途端にその場で固まってしまった亥清くんが口を開く前に問答無用で腕を引っ張り軒下から飛び出した。
* * *
「お、お邪魔します……」
「どうぞー。あ、タオル取ってくるから待ってて!」
「あ、うん」
亥清くんを半ば強制的に連れて帰宅すると、まず思いの外雨で濡れてしまった自分達を拭こうとタオルを取りに行く。確か洗面所にあったはずだ。
「はい、これで拭いて」
「ありがと」
手に取ったタオル二枚のうち一枚を亥清くんに渡し、もう一枚は大雑把に広げて自分の頭に被せた。
「鞄の中身は無事?」
「あー、――うわっ、教科書濡れてるし」
鞄を開けて取り出すと、少し水を吸ってしまった教科書が出てきて顔を顰めた。私も肩に掛けていた鞄の中身を確認すれば、亥清くんと同様に水気を含んだ教科書が出てきた。それもそうだ。出来るだけ雨を凌げるような場所を探しながら帰ってきたとはいえ、完全には防げなかったのだから。
とはいえ、鞄の中は浸水しているほどではなかった。少し風が当たるところで乾かしておけばよさそうだ。
「せっかくだから入って。中で乾かそう」
私は手招きをして、亥清くんをリビングに通したのだった。
そうしてゆっくりと歩いていると、頭のてっぺんに冷たいものが落ちてきて思わず立ち止まる。止まった私に気付いた亥清くんも数歩先で止まり、何やら自分の頭の上に手を乗せて辺りをキョロキョロと見渡している私を見て首を傾げた。
「どう――うわっ、冷た!」
しかし、裏返った声で首を竦めながら私と同じ仕草で髪を手で払い出した。数秒の間ふたりして顔を見合わせ、どちらともなく空を見上げる。すると、
「空、暗っ」
何故外を歩いていて気が付かなかったのか。先程までの快晴とはほど遠く、今では暗くて厚い雲が空いっぱいに広がっていた。どうやら今頭に落ちてきたのは雨らしい。
思わず出てしまった声に反応するかのように次第に雨の量は増えていき、あっという間に雨景色へ変わってしまった。
私達は急いで近くにあった軒下に入り、制服に付いてしまった水滴を軽く払いながら顔を顰める。
「今日の天気予報って雨だったっけ」
「晴れだった気がする」
朝、家を出る前に見た天気予報では赤色の太陽マークがギラギラと輝いていたのだが、あれは幻覚だったのだろうか。考えていたことをそのまま口にすれば、案の定首を横に振られた。
最近はこうした突然の雨が多いように思う。この時期は夕立が多いから仕方ないが、こうして外にいる時に限って雨に降られてしまうのだから敵わない。ただ、これは一時的なものだろうから少しの間雨宿りしていればそのうち止むだろう。
――そう思い二、三十分待ってみたが一向に止む気配がなく、むしろ先程よりも雨足が強くなっているのは気のせいではないはずだ。
スマホを取り出して天気予報を確認してみる。今私達がいる地域は翌日の朝方まで雨マークが並んでいおり肩を落とした。このままここで待っていても時間の無駄だ。
「ここから私の家近いんだけど、来る?」
「えっ」
ここから少し走ることになるけど、と付け加えて、途端にその場で固まってしまった亥清くんが口を開く前に問答無用で腕を引っ張り軒下から飛び出した。
* * *
「お、お邪魔します……」
「どうぞー。あ、タオル取ってくるから待ってて!」
「あ、うん」
亥清くんを半ば強制的に連れて帰宅すると、まず思いの外雨で濡れてしまった自分達を拭こうとタオルを取りに行く。確か洗面所にあったはずだ。
「はい、これで拭いて」
「ありがと」
手に取ったタオル二枚のうち一枚を亥清くんに渡し、もう一枚は大雑把に広げて自分の頭に被せた。
「鞄の中身は無事?」
「あー、――うわっ、教科書濡れてるし」
鞄を開けて取り出すと、少し水を吸ってしまった教科書が出てきて顔を顰めた。私も肩に掛けていた鞄の中身を確認すれば、亥清くんと同様に水気を含んだ教科書が出てきた。それもそうだ。出来るだけ雨を凌げるような場所を探しながら帰ってきたとはいえ、完全には防げなかったのだから。
とはいえ、鞄の中は浸水しているほどではなかった。少し風が当たるところで乾かしておけばよさそうだ。
「せっかくだから入って。中で乾かそう」
私は手招きをして、亥清くんをリビングに通したのだった。
15/15ページ