隣席の亥清くんと友達になりました
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今私達が目指しているのは、学校からまあまあ距離がある公園である。現在、その公園にクレープのキッチンカーが来ているという情報を偶々SNSで見かけて前々から気になっていた場所だった。……亥清くんに勉強を教えてもらったお礼をするという名目で提案したものの、私が行きたかっただけなのではと問われれば否めない。
徒歩圏内とはいえ、それなりに距離がある。――もしかして大変な提案をしてしまったのでは、と気付いてしまい咄嗟に隣を見た。しかし、そこには信じられないくらいに涼しい顔をしている亥清くんがいて口を噤んだ。そうだ。亥清くんは普段私の何十倍も身体を動かしているのだから、こんな距離などなんてことないのだろう。思わぬところで自分の運動不足を思い知らされることになり、何とも言えない気持ちになった。
「――ここか」
亥清くんに遅れをとらないように歩いていると、目的地である公園に着いた。亥清くんが入口で立ち止まったことに倣い、私も立ち止まる。そして、初めて訪れた公園を目の前にして「おぉ」という言葉が口から溢れた。
ここ周辺では珍しくかなり規模が大きい公園で、夕方に差し掛かった今の時間帯でも人気はそれなりにあった。耳を澄ますと水が硬い地面に落ちる音に混ざり笑い声が聞こえてくる。恐らく入口近くに大きな噴水があり、付近に人が集まっているのだろう。
「人多そうだね」
「まぁ、大丈夫でしょ」
亥清くんとこの公園について話をした時、その場で一緒にインターネットで軽く調べて敷地が大きいことやここが人気な場所であることは知っていた。しかし、今日は平日だから遊びに来ている人は少ないのではと密かに期待していたのだが、全然そんなことはなかったようだ。
今亥清くんはマスクをしているものの、簡単に気付かれてしまいそうだ。皆自分の買い物に夢中であるスーパーに飛び込んでいくとは訳が違う。
しかし、そんな私の心配を他所に「大丈夫だって」と私の手を引いて公園内に足を踏み入れた。
「ほらね」
亥清くんが言った通り、制服を着た学生の前や噴水から噴き出る水を触りながらはしゃいでいる子供の後ろを通っても一切私達に見向きもしない。
今までの経験則から分かっていたのだろう。私の方を振り向き、得意げに笑った。
「あった」
「まだやってる……?」
お目当てのものはすんなり見つかった。
あるとすれば公園の入口付近だろうと予想を立てて散策していくと、一際目立つ色でラッピングされているキッチンカーを発見した。
遠目で見た感じではキッチンカーの周りにはあまりお客さんはいないが、店員さんが外に出ている看板やテントを畳んでおり、規模を縮小し始めていた。その様子を見ただけでは営業しているのかが判断出来ず、亥清くんと顔を見合わせた。
「あ、いらっしゃい!」
佇み戸惑っている私達に気付いたのか、片付け作業をしていた店員さんがこちらを振り向いて声を掛けてくれたのだった。
徒歩圏内とはいえ、それなりに距離がある。――もしかして大変な提案をしてしまったのでは、と気付いてしまい咄嗟に隣を見た。しかし、そこには信じられないくらいに涼しい顔をしている亥清くんがいて口を噤んだ。そうだ。亥清くんは普段私の何十倍も身体を動かしているのだから、こんな距離などなんてことないのだろう。思わぬところで自分の運動不足を思い知らされることになり、何とも言えない気持ちになった。
「――ここか」
亥清くんに遅れをとらないように歩いていると、目的地である公園に着いた。亥清くんが入口で立ち止まったことに倣い、私も立ち止まる。そして、初めて訪れた公園を目の前にして「おぉ」という言葉が口から溢れた。
ここ周辺では珍しくかなり規模が大きい公園で、夕方に差し掛かった今の時間帯でも人気はそれなりにあった。耳を澄ますと水が硬い地面に落ちる音に混ざり笑い声が聞こえてくる。恐らく入口近くに大きな噴水があり、付近に人が集まっているのだろう。
「人多そうだね」
「まぁ、大丈夫でしょ」
亥清くんとこの公園について話をした時、その場で一緒にインターネットで軽く調べて敷地が大きいことやここが人気な場所であることは知っていた。しかし、今日は平日だから遊びに来ている人は少ないのではと密かに期待していたのだが、全然そんなことはなかったようだ。
今亥清くんはマスクをしているものの、簡単に気付かれてしまいそうだ。皆自分の買い物に夢中であるスーパーに飛び込んでいくとは訳が違う。
しかし、そんな私の心配を他所に「大丈夫だって」と私の手を引いて公園内に足を踏み入れた。
「ほらね」
亥清くんが言った通り、制服を着た学生の前や噴水から噴き出る水を触りながらはしゃいでいる子供の後ろを通っても一切私達に見向きもしない。
今までの経験則から分かっていたのだろう。私の方を振り向き、得意げに笑った。
「あった」
「まだやってる……?」
お目当てのものはすんなり見つかった。
あるとすれば公園の入口付近だろうと予想を立てて散策していくと、一際目立つ色でラッピングされているキッチンカーを発見した。
遠目で見た感じではキッチンカーの周りにはあまりお客さんはいないが、店員さんが外に出ている看板やテントを畳んでおり、規模を縮小し始めていた。その様子を見ただけでは営業しているのかが判断出来ず、亥清くんと顔を見合わせた。
「あ、いらっしゃい!」
佇み戸惑っている私達に気付いたのか、片付け作業をしていた店員さんがこちらを振り向いて声を掛けてくれたのだった。