retake sammer
「これでいいのかい……?」
私は心の中でガッツポーズをする。ロタツ先輩なら付き合ってくれると思っていた。その手に持つのはうさぎの耳のカチューシャ。このカチューシャを付けて写真を撮るのが今回のミッションだ。この写真を応募に出せば珍しい画材が貰える。
恥ずかしいと思ったが、リビングで悩んでいた所に先輩が現れたことで後には引けなくなってしまった。いつもと変わらぬ笑顔で「どうしたの、すごい顔をしているよ?」と聞かれてしまえば、この誘惑に満ちた話を誤魔化すことなどできるはずもなく。なら、巻き込んでしまえとカチューシャを片手にお願いした。二人なら恥ずかしさにも耐えられる、そう思ったのだ。
お揃いのうさぎの耳をつけて、スマホのカメラを向け、一枚。ピコンと音が鳴る。よし、これで目的は達成した。
「それにしても、こんなに可愛い先輩になら……」
撮り終わった写真を見て、ついちょっとしたいたずら心が芽生えたが、それ以上口にする前に頭を振って雑念を追い出した。あぶないあぶない。だが、それを聞き逃すロタツ先輩なわけもなく。
「可愛い僕になら?」
顔が近づく。その美しさに、心臓が大きく跳ねた。
「可愛い君は、一体なにをしてくれるのかな?」
ふわりふわりと言葉が舞う。その間に彼の手から伸びた指がこちらの頬をつついた。完全にからかわれている……!
「ごめんごめん、顔がいちご大福みたいになっちゃったね」
近づいたのは一瞬のことで、すぐにその手は離れてしまった。むむ。そのにこやかな顔を見て、よし、やり返してやろうと手を伸ばす。ロタツ先輩は少し驚いた顔をしたけど、距離をとったりはしなかった。柔らかな彼の頬に指が触れたところで、私は正気に戻った。
「こ、これでおあいこだからね!」
「うん」
心なしか彼の顔も火照っている気がするけれど。それ以上言及することもなく私たちは撮影を終え——私は、カチューシャを外すのを忘れたまま、その日を過ごしたのだった。
「本当に可愛いんだから……」
その後、鏡を見た私がロタツ先輩になんで外してなかったことを言ってくれなかったのか問い詰めるのは、また別の話である。
私は心の中でガッツポーズをする。ロタツ先輩なら付き合ってくれると思っていた。その手に持つのはうさぎの耳のカチューシャ。このカチューシャを付けて写真を撮るのが今回のミッションだ。この写真を応募に出せば珍しい画材が貰える。
恥ずかしいと思ったが、リビングで悩んでいた所に先輩が現れたことで後には引けなくなってしまった。いつもと変わらぬ笑顔で「どうしたの、すごい顔をしているよ?」と聞かれてしまえば、この誘惑に満ちた話を誤魔化すことなどできるはずもなく。なら、巻き込んでしまえとカチューシャを片手にお願いした。二人なら恥ずかしさにも耐えられる、そう思ったのだ。
お揃いのうさぎの耳をつけて、スマホのカメラを向け、一枚。ピコンと音が鳴る。よし、これで目的は達成した。
「それにしても、こんなに可愛い先輩になら……」
撮り終わった写真を見て、ついちょっとしたいたずら心が芽生えたが、それ以上口にする前に頭を振って雑念を追い出した。あぶないあぶない。だが、それを聞き逃すロタツ先輩なわけもなく。
「可愛い僕になら?」
顔が近づく。その美しさに、心臓が大きく跳ねた。
「可愛い君は、一体なにをしてくれるのかな?」
ふわりふわりと言葉が舞う。その間に彼の手から伸びた指がこちらの頬をつついた。完全にからかわれている……!
「ごめんごめん、顔がいちご大福みたいになっちゃったね」
近づいたのは一瞬のことで、すぐにその手は離れてしまった。むむ。そのにこやかな顔を見て、よし、やり返してやろうと手を伸ばす。ロタツ先輩は少し驚いた顔をしたけど、距離をとったりはしなかった。柔らかな彼の頬に指が触れたところで、私は正気に戻った。
「こ、これでおあいこだからね!」
「うん」
心なしか彼の顔も火照っている気がするけれど。それ以上言及することもなく私たちは撮影を終え——私は、カチューシャを外すのを忘れたまま、その日を過ごしたのだった。
「本当に可愛いんだから……」
その後、鏡を見た私がロタツ先輩になんで外してなかったことを言ってくれなかったのか問い詰めるのは、また別の話である。
