retake sammer
私は人生最大のピンチに陥っていた。頭はふわふわして重たく、ここは部屋の中だというのにうすら寒い──風邪を、引いたのだ。
人生の中で、幸運にも私は保護者に恵まれていた。なので体調を崩すことも稀だったし、そうなったとしても手厚い看病があった。けれども、今は違う。体調は自己管理が基本だ。風邪を引いた後の対処もするのは自分だ。
どうしたものかと回らない頭で考えこんでいると、机の上に置いていたスマホがピコンと鳴った。確認すると、メッセージの差出人は、ロカだ。
『よう画家さん、明日の予定はあるか?』
タイミングの悪さに泣きべそをかきそうになる。
『ごめんロカ、風邪をひいちゃったの……』
情けないが、事実を伝えるしかない。メッセージの後に泣いてる猫のスタンプを三連打。いつものロカとのやり取りだ。そして数分後、返事が返ってきた。
『今行くから、待ってろ』
こうしてロカは私の家まであっという間にきてくれた。玄関で彼を出迎えた時には私は限界で、ふらふらとその大きな胸元に崩れ落ちる。そのままあっという間に抱き上げられ、運ばれ、ベットにイン。暖かな布団の中に押し込まれた。
「ロカ、だいじょうぶ? かぜ、うつっちゃわない……?」
「ん? 平気だ、平気」
喋ってる間にもロカは動き、看病に必要な道具を揃えていく。申し訳ない気持ちもあったが、大好きな彼がいてくれることへの安心感には代えられない。
「お前がこうして頼ってくれてるんだ、かいがいしくするのは当然だろ?」
当たり前だと笑って話す彼は、優しい陽だまりのようだ。名前を呼んで、届くところにあった腕を引っ張る。手を握って、指を絡めて。
「あったかいね、ロカの手……」
そうしているうちにふわりふわりと意識が遠のく。暖かい部屋、暖かい布団、暖かい彼の手。優しさに満ちた眼差しに、ゆらゆらと視界が眠りへと誘われていく。
「おやすみ、俺のお姫様」
目を閉じる前に少しだけ唇を動かした。おやすみの返事は届いただろうか。それを確認する余力もなく、私はロカに後を委ねた。
今度は熱のないときに、体温を分かち合えたらいいなと、思う。
人生の中で、幸運にも私は保護者に恵まれていた。なので体調を崩すことも稀だったし、そうなったとしても手厚い看病があった。けれども、今は違う。体調は自己管理が基本だ。風邪を引いた後の対処もするのは自分だ。
どうしたものかと回らない頭で考えこんでいると、机の上に置いていたスマホがピコンと鳴った。確認すると、メッセージの差出人は、ロカだ。
『よう画家さん、明日の予定はあるか?』
タイミングの悪さに泣きべそをかきそうになる。
『ごめんロカ、風邪をひいちゃったの……』
情けないが、事実を伝えるしかない。メッセージの後に泣いてる猫のスタンプを三連打。いつものロカとのやり取りだ。そして数分後、返事が返ってきた。
『今行くから、待ってろ』
こうしてロカは私の家まであっという間にきてくれた。玄関で彼を出迎えた時には私は限界で、ふらふらとその大きな胸元に崩れ落ちる。そのままあっという間に抱き上げられ、運ばれ、ベットにイン。暖かな布団の中に押し込まれた。
「ロカ、だいじょうぶ? かぜ、うつっちゃわない……?」
「ん? 平気だ、平気」
喋ってる間にもロカは動き、看病に必要な道具を揃えていく。申し訳ない気持ちもあったが、大好きな彼がいてくれることへの安心感には代えられない。
「お前がこうして頼ってくれてるんだ、かいがいしくするのは当然だろ?」
当たり前だと笑って話す彼は、優しい陽だまりのようだ。名前を呼んで、届くところにあった腕を引っ張る。手を握って、指を絡めて。
「あったかいね、ロカの手……」
そうしているうちにふわりふわりと意識が遠のく。暖かい部屋、暖かい布団、暖かい彼の手。優しさに満ちた眼差しに、ゆらゆらと視界が眠りへと誘われていく。
「おやすみ、俺のお姫様」
目を閉じる前に少しだけ唇を動かした。おやすみの返事は届いただろうか。それを確認する余力もなく、私はロカに後を委ねた。
今度は熱のないときに、体温を分かち合えたらいいなと、思う。
