retake sammer
キャンパスを立てて、ぼんやりと筆を取る。絵を描くというのはいつだってインスピレーションとの戦いだ。ふと降ってくるその瞬間が、いつになるかはわからない。窓の外を見る。あいにく今日の天気は曇り空で、青に満ちた景色は隠れてしまっている。
「調子はどう?」
「……ヨウケン」
後ろから声をかけられて、返事の代わりに名前を呼んだ。いい匂いがする。ハーブティー辺りでも入れてきたのだろうか、彼はいつも優しい気遣いをする人だから。
静かに隣へと並んだヨウケンが、私の視線を追って外の景色を見やる。たったそれだけの動作でも絵になるのだから、彼の容姿は際立ったものだ。目を合わせると、なめらかに相手の唇が動く。問いかけられる。
「君なら、この空からなにを連想する?」
連想。そう言われて目を閉じて思い浮かべてみた。空を埋めつくす白い雲。ふわふわ、あわあわ。流れていく形のない塊、ふんわりとしたそれは珈琲カップの上の甘い誘惑によく似て。
「……ミルククリーム?」
「それは、お腹が減っているのかな」
「ヨウケンが聞いてきたんでしょ! もう」
綺麗な笑顔で返されて、真剣に考えたのが恥ずかしくなってしまう。なんでも食欲に結びつくと思っているのだろうか。そんなことを言われたからか、本当にお腹が減ってきた気がする。
「それなら、今日の夜はデザートに小さめのケーキでもつけようか」
そして彼の言葉は私の心を魔法のように躍らせた。
「ヨウケンのケーキ! 食べたい!」
抗えない誘惑。喜ぶ私の前にティーカップが掲げられた。手元で活躍を待っていた筆を置く。受け取り、一口飲む。彼の用意した美味しさが全身に染み渡り、それが嬉しくて、嬉しい気持ちが私たちの間に伝わって、微笑み合う。
たまにはこんな午後もいいのかもしれない。ミルク色の雲が空を流れる頃。真っ白なキャンパスだけが、私たちの時間を知っている。
「調子はどう?」
「……ヨウケン」
後ろから声をかけられて、返事の代わりに名前を呼んだ。いい匂いがする。ハーブティー辺りでも入れてきたのだろうか、彼はいつも優しい気遣いをする人だから。
静かに隣へと並んだヨウケンが、私の視線を追って外の景色を見やる。たったそれだけの動作でも絵になるのだから、彼の容姿は際立ったものだ。目を合わせると、なめらかに相手の唇が動く。問いかけられる。
「君なら、この空からなにを連想する?」
連想。そう言われて目を閉じて思い浮かべてみた。空を埋めつくす白い雲。ふわふわ、あわあわ。流れていく形のない塊、ふんわりとしたそれは珈琲カップの上の甘い誘惑によく似て。
「……ミルククリーム?」
「それは、お腹が減っているのかな」
「ヨウケンが聞いてきたんでしょ! もう」
綺麗な笑顔で返されて、真剣に考えたのが恥ずかしくなってしまう。なんでも食欲に結びつくと思っているのだろうか。そんなことを言われたからか、本当にお腹が減ってきた気がする。
「それなら、今日の夜はデザートに小さめのケーキでもつけようか」
そして彼の言葉は私の心を魔法のように躍らせた。
「ヨウケンのケーキ! 食べたい!」
抗えない誘惑。喜ぶ私の前にティーカップが掲げられた。手元で活躍を待っていた筆を置く。受け取り、一口飲む。彼の用意した美味しさが全身に染み渡り、それが嬉しくて、嬉しい気持ちが私たちの間に伝わって、微笑み合う。
たまにはこんな午後もいいのかもしれない。ミルク色の雲が空を流れる頃。真っ白なキャンパスだけが、私たちの時間を知っている。
