(ユリエス)sweety
ゆりえす


「ユーリ!見てください!」
ユーリが聞き慣れた声がした方へ体を向けると、そこにはリップを持って嬉しげなオーラを惜しみ無く振り撒くエステルがいた。
「ジュディスにリップを貰ったんです♪味と香り付きのリップなんですって!」
なるほど、ジュディからの贈物とは珍しい。
「ふーん」
ユーリは気のない返事を返す。
「甘い味がするんです!」
すごいですよね〜、と本当に興味深かった様子で言うエステルだったが、ユーリは少し面白くなかった。
簡単に言えば、エステルがジュディスから貰った贈物にとても喜んでいることに少しだけ嫉妬の念を覚えていたのだ。
ふと、ユーリはちょっとしたイタズラを思いつく。
多分エステルは早速リップを使っているだろう。
黙ったままのユーリを怪訝に思ったエステルがユーリ、と言い終わる前に、すっと顔を近付けた。
「!!」
ぺろ、と唇を舐めるようにキスをすると、エステルの頬が朱に染まる。
軽く表面を舐めるだけで唇を離し、真っ赤になったエステルにしてやったり、と思いながらユーリは言葉を紡いだ。
「確かに」
ぺろ、と甘さの余韻を味わうように自分の唇を舐める。
「あまいな」
ぼんっと真っ赤になって、キャパオーバーしたらしくしゅー、と煙が出そうなほど顔を真っ赤にしたエステルに、これは後でフレンに怒られるか?とこっそり思った。
後日談
「ユーリ!」
うんざりするほど聞き慣れた声がした方へ体を向けると、そこには怒った顔のフレンが立っていた。
「よう、フレン。俺最近なんか怒られるようなことしたか?」
とりあえずしらばっくれてみるが、もちろん誤魔化されてはくれなかった。
「しらばっくれるな!エステリーゼ様は一国の姫君であらせられるのだから、もう少し丁重に……」
「あーはいはい」
長くなりそうなので適当に話をぶったぎると、フレンはむっとしてから、はぁ、と溜め息をついた。
「…言っても聞かないのは分かってるからいいけどね。」
「悪かったな」
「でも、エステリーゼ様の仕事に支障がでるようなちょっかいはあまりださないでくれよ。何をしたのか知らないけど、この間から時々リップスティックを見ながらぼーっとしてらっしゃるんだ。」
「あー……」
そこまで後を引くとは思っていなかったが、ちょっとやりすぎたような気もしていたので、ユーリは少し決まり悪げになる。
「今度行って言ってみるからそれでいいだろ」
「やっぱり何かしたんだな」
「何かしたって程のことはしてねぇよ」
言って、ユーリはヒラリと身を翻した。
「あっユーリ!」
まだ何か言い足りなげなフレンに手を振って、ユーリはハルルのほうへ足を向けた。


「ユーリ!見てください!」
ユーリが聞き慣れた声がした方へ体を向けると、そこにはリップを持って嬉しげなオーラを惜しみ無く振り撒くエステルがいた。
「ジュディスにリップを貰ったんです♪味と香り付きのリップなんですって!」
なるほど、ジュディからの贈物とは珍しい。
「ふーん」
ユーリは気のない返事を返す。
「甘い味がするんです!」
すごいですよね〜、と本当に興味深かった様子で言うエステルだったが、ユーリは少し面白くなかった。
簡単に言えば、エステルがジュディスから貰った贈物にとても喜んでいることに少しだけ嫉妬の念を覚えていたのだ。
ふと、ユーリはちょっとしたイタズラを思いつく。
多分エステルは早速リップを使っているだろう。
黙ったままのユーリを怪訝に思ったエステルがユーリ、と言い終わる前に、すっと顔を近付けた。
「!!」
ぺろ、と唇を舐めるようにキスをすると、エステルの頬が朱に染まる。
軽く表面を舐めるだけで唇を離し、真っ赤になったエステルにしてやったり、と思いながらユーリは言葉を紡いだ。
「確かに」
ぺろ、と甘さの余韻を味わうように自分の唇を舐める。
「あまいな」
ぼんっと真っ赤になって、キャパオーバーしたらしくしゅー、と煙が出そうなほど顔を真っ赤にしたエステルに、これは後でフレンに怒られるか?とこっそり思った。
後日談
「ユーリ!」
うんざりするほど聞き慣れた声がした方へ体を向けると、そこには怒った顔のフレンが立っていた。
「よう、フレン。俺最近なんか怒られるようなことしたか?」
とりあえずしらばっくれてみるが、もちろん誤魔化されてはくれなかった。
「しらばっくれるな!エステリーゼ様は一国の姫君であらせられるのだから、もう少し丁重に……」
「あーはいはい」
長くなりそうなので適当に話をぶったぎると、フレンはむっとしてから、はぁ、と溜め息をついた。
「…言っても聞かないのは分かってるからいいけどね。」
「悪かったな」
「でも、エステリーゼ様の仕事に支障がでるようなちょっかいはあまりださないでくれよ。何をしたのか知らないけど、この間から時々リップスティックを見ながらぼーっとしてらっしゃるんだ。」
「あー……」
そこまで後を引くとは思っていなかったが、ちょっとやりすぎたような気もしていたので、ユーリは少し決まり悪げになる。
「今度行って言ってみるからそれでいいだろ」
「やっぱり何かしたんだな」
「何かしたって程のことはしてねぇよ」
言って、ユーリはヒラリと身を翻した。
「あっユーリ!」
まだ何か言い足りなげなフレンに手を振って、ユーリはハルルのほうへ足を向けた。
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