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未来からの贈りもの

 オレたちが部屋へ到着すると、豪勢なお膳が二つとお子様ランチが一つ置かれていた。

「な、なによー!? あたしだってちゃんとしたお料理が食べたかったのに!」
「あらら……気を遣ってくれちゃったのかな?」
「まぁいいじゃないか。オレとうさの料理を分けてやるよ」
「ホント?」
「うん。ちびうさの料理を一番豪勢にしてあげる」
「わーい!」

 何とか機嫌を直してくれたちびうさに安堵したオレたちは美味しい料理に舌鼓を打った。





 夕食を終えた後、ちびうさが真ん中になるよう布団を川の字に敷く。

「えへへっ、うさぎとまもちゃんの間だぁ」
「ねぇ、明日は早いの?」
「あぁ、例の場所なんだが……ここから近い穴場スポットなのは良いんだけど、早朝で風が吹かない条件じゃないと池が鏡にならないらしいんだ」
「じゃあ早起きしなきゃね」
「トホホ……せっかく旅行に来たのに早起きかぁ……」

 布団に入りながら、相変わらずなうさと聞き分けの良いちびうさを交互に見る。家族って、父親ってこんな気分なのかな。そんな感傷に浸っていると、うさがちびうさに話しかけていた。

「ねぇ、未来では三人でどんな旅行に行ったの?」
「えっとね……ドライブはしなかったけど、色んな所へ行ったんだよ」
「聞かせてくれよ」
「うん! まずはお花畑がたくさんある庭園の……」

 嬉しそうに思い出話を口にするちびうさ。オレたちは相槌を打ちながら未来の話に夢を膨らませていた。





 一時間も経たないうちにスヤスヤと寝息を立てるちびうさを見て、うさと目を合わせる。

「眠っちゃった?」
「あぁ」
「よっぽど疲れたのね」
「なぁ、うさ……」
「ん?」
「二人での旅行も良いけどさ……未来では家族三人でたくさん思い出を作ろうな」
「……うん!」

 手を伸ばして、ちびうさが眠る上で指切りをする。オレはうさとの絆を繋いでくれた天使の頭を撫でた後、部屋の明かりを消した。
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