未来からの贈りもの
旅館へ帰り、名物の温泉にたっぷり浸かって体を癒したオレは「ふれあいルーム」なる場所でうさたちと落ち合うことになっていた。
「へぇ。色々あるな」
部屋を見渡すと、卓球台やよく駄菓子屋に置いてあるゲームなんかが並べてあった。
「あ、まもちゃん!」
「二人とも、早いな」
「えへへっ、お腹すいたから出ちゃったの」
「全く、お湯より団子だな」
「あははっ」
「ところでさ、アレやりたい」
ちびうさが指さす方を見ると、そこには卓球台があった。
「何よちびうさ、ピンポンやりたいの?」
「うん! 今夜どっちがまもちゃんの隣の布団で寝るかを賭けて勝負よ!」
「ちょっと、そんなことしなくても親子三人で川の字に寝れば……」
「うさ」
「まもちゃん?」
オレがこっそりウインクをすると、うさは微笑みながら頷いた。うさが言おうとしたことは賢いちびうさなら分かっている。けどこの状況を楽しみたいんだろう。ちゃんと自分の力で真ん中に布団を敷こうと頑張ろうとしている。それなら乗ってやりたいじゃないか。
「ちびうさ。全力で行くからね?」
「手を抜いたら怒るわよ?」
「よし! じゃあ先に11点取った方が勝ちだ」
お互いにラケットを取って位置に着く。うさはペンラケットを、ちびうさはシェークハンドを選んだようだ。
なるほど。ちびうさは力が足りないから腕全体で打ち返せるシェークを選んだのか。対してうさが選んだのは手首から指先を使うテクニックタイプのペン型か。それほど器用でもないうさの方は大丈夫だろうか。
「行くわよ、ちびうさ」
「かかってきなさい」
サービスはうさから。台の端からコンと小気味良い音を立ててボールをツーバウンドさせ、ちびうさの元へ。
「えいっ」
「わわっ!?」
うさのサービスをレシーブで返すちびうさ。早くも1点か。
「あんた、もしかしてピンポン得意?」
「さーてね」
それからちびうさは圧倒的な実力でうさをリードし続けた。いかにも初心者なうさと比べて、ちびうさは基本中央に立っていて左右どちらに来たボールもフォアとバックを器用に使いながら対応していた。両面が強いシェークハンドを選んだのは自分のスタイルも理解していたからか。これは勝負あったかな。
「えいっ!」
「えっ!?」
「おっ、やるじゃないか」
防戦一方だったうさが初めて1点取る。
「あたしだって伊達に第一線で何年も戦ってきてないわよ?」
「むーっ」
コツを掴んだのか、うさは怒涛の追い上げを見せて状況は10対10に。本来ならジュースだが、ここは先に11点目を取った方が勝ちということにしよう。
「正真正銘、これで終わりよ!」
「こっちのセリフよ!」
二人を包む場が静まる。
「やぁっ!」
「くっ!」
力強くサービスを打ったうさに、何とか食らいつくちびうさ。おいおい、このままじゃうさが勝っちまうぞ?
「えいっ!」
「負けないもん!」
「次で決めるわ!」
「……ここだ!」
スマッシュの姿勢を取るうさを見て、ちびうさはカウンターで回転をかけた。いわゆるドライブというやつだ。
「ふえぇっ!?」
勝負あり。ちびうさが返したボールはワンバウンドしてうさの後ろへ転がっていった。
「やったー!」
「凄いな、最後の最後で隠し玉を出すなんて」
「伝家の宝刀は一発勝負だからね」
「そんなぁ……」
射的に続いて再び肩を落とすうさ。
「ほら」
「まもちゃん……」
自販機で買ってきたジュースを差し出すと、うさは清々しい笑顔を浮かべながら受け取った。
「いい勝負だったよ」
「ありがと」
「ちびうさもな」
「うん!」
オレは全力で戦った二人を称賛した後、部屋で食事が待っていることを告げた。すると二人は嬉しそうに顔を合わせて、仲良くラケットをしまいに向かった。
「へぇ。色々あるな」
部屋を見渡すと、卓球台やよく駄菓子屋に置いてあるゲームなんかが並べてあった。
「あ、まもちゃん!」
「二人とも、早いな」
「えへへっ、お腹すいたから出ちゃったの」
「全く、お湯より団子だな」
「あははっ」
「ところでさ、アレやりたい」
ちびうさが指さす方を見ると、そこには卓球台があった。
「何よちびうさ、ピンポンやりたいの?」
「うん! 今夜どっちがまもちゃんの隣の布団で寝るかを賭けて勝負よ!」
「ちょっと、そんなことしなくても親子三人で川の字に寝れば……」
「うさ」
「まもちゃん?」
オレがこっそりウインクをすると、うさは微笑みながら頷いた。うさが言おうとしたことは賢いちびうさなら分かっている。けどこの状況を楽しみたいんだろう。ちゃんと自分の力で真ん中に布団を敷こうと頑張ろうとしている。それなら乗ってやりたいじゃないか。
「ちびうさ。全力で行くからね?」
「手を抜いたら怒るわよ?」
「よし! じゃあ先に11点取った方が勝ちだ」
お互いにラケットを取って位置に着く。うさはペンラケットを、ちびうさはシェークハンドを選んだようだ。
なるほど。ちびうさは力が足りないから腕全体で打ち返せるシェークを選んだのか。対してうさが選んだのは手首から指先を使うテクニックタイプのペン型か。それほど器用でもないうさの方は大丈夫だろうか。
「行くわよ、ちびうさ」
「かかってきなさい」
サービスはうさから。台の端からコンと小気味良い音を立ててボールをツーバウンドさせ、ちびうさの元へ。
「えいっ」
「わわっ!?」
うさのサービスをレシーブで返すちびうさ。早くも1点か。
「あんた、もしかしてピンポン得意?」
「さーてね」
それからちびうさは圧倒的な実力でうさをリードし続けた。いかにも初心者なうさと比べて、ちびうさは基本中央に立っていて左右どちらに来たボールもフォアとバックを器用に使いながら対応していた。両面が強いシェークハンドを選んだのは自分のスタイルも理解していたからか。これは勝負あったかな。
「えいっ!」
「えっ!?」
「おっ、やるじゃないか」
防戦一方だったうさが初めて1点取る。
「あたしだって伊達に第一線で何年も戦ってきてないわよ?」
「むーっ」
コツを掴んだのか、うさは怒涛の追い上げを見せて状況は10対10に。本来ならジュースだが、ここは先に11点目を取った方が勝ちということにしよう。
「正真正銘、これで終わりよ!」
「こっちのセリフよ!」
二人を包む場が静まる。
「やぁっ!」
「くっ!」
力強くサービスを打ったうさに、何とか食らいつくちびうさ。おいおい、このままじゃうさが勝っちまうぞ?
「えいっ!」
「負けないもん!」
「次で決めるわ!」
「……ここだ!」
スマッシュの姿勢を取るうさを見て、ちびうさはカウンターで回転をかけた。いわゆるドライブというやつだ。
「ふえぇっ!?」
勝負あり。ちびうさが返したボールはワンバウンドしてうさの後ろへ転がっていった。
「やったー!」
「凄いな、最後の最後で隠し玉を出すなんて」
「伝家の宝刀は一発勝負だからね」
「そんなぁ……」
射的に続いて再び肩を落とすうさ。
「ほら」
「まもちゃん……」
自販機で買ってきたジュースを差し出すと、うさは清々しい笑顔を浮かべながら受け取った。
「いい勝負だったよ」
「ありがと」
「ちびうさもな」
「うん!」
オレは全力で戦った二人を称賛した後、部屋で食事が待っていることを告げた。すると二人は嬉しそうに顔を合わせて、仲良くラケットをしまいに向かった。