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トランプの死神と小悪魔的な天使

 こうして一巡した後も、みんな順調にカードを減らしていった。

 あたしのカードも、ついに残り1枚。

「やった! あがり~」

 一番に抜けたのは桃ちゃんだった。

「やるね~、桃ちゃん」
「よかったね!」
「うん、みんなも頑張ってね!」

 今あたしのカードは1枚。ここで、ちびうさちゃんから引いたカードでペアを作ればあがれる。

「はい、どれでもいいよ~」
「コレにしようかな……うぐっ」

 ペアは出来なかった。

 残りのカードは2枚。

「じゃあ、あたしね」

 ちびうさちゃんが九助からカードを引く。

「あ、やった! ペアになったよ!」

 小さくガッツポーズをする九助。だけどこの後、九助は勝負に色恋を持ち込んだことを後悔することになる。

「よし、オレの番……げっ!?」

 あまりにも分かりやすい反応。ついにジョーカーが移動したのだ。なるるが不敵な笑みを浮かべる。

「あれれ? マズいの引いちゃった~?」
「べ、別に引いてねぇよ!」

「じゃあ、あたしはるるなから……よっしゃ、あがり~」

 2番手は、なるるだった。あがられたのは悔しいけど、これでコンビプレイはもう出来ない。
 つまり、あたしがるるなにペアを作らせなければいい。

「じゃあ、あたしはほたるっちからね~」

 るるなのカードは残り1枚。ここでペアが出来たら、終わる。そんな予感がした。

「やった、あがり~」
「うぐぅ……」

 これで残りはあたし、ちびうさちゃん、そしてジョーカーを持っている九助。

 あたしのカードは残り1枚。

 ここで決めるしかない。

「はい、ほたるちゃん」
「よし、このカードを……くぅ……」
「あ、その反応はペア出来なかったね?」

 なるるがヤジを飛ばしてくる。

「う、うるさいわね」

 残りは2枚。

「え~と、どれにしようかな……」

 ちびうさちゃんが九助からカード引こうとする。ここが一番大事なのよ。

 ちびうさちゃんにジョーカーが渡れば、きっとあたしに回ってくる。死神の名にかけて、そう断言できる。

 だからここで男を見せるのよ、九助。

「コレ……引け……」

 小声で、1枚のカードを上にズラす。よし、九助がズラしたカードは安全札。コレをちびうさちゃんが引けば。

「あっ、そうはいかないよ~」
「バカッ、そっちは……」
「あっ……」

 深読みしたちびうさちゃんは、あえてズレていない方のカードを引いてしまった。

 ジョーカーという名の死神を。

「むぅ……」

 頬を膨らませる、ちびうさちゃん。
 マズい。この展開は非常にマズい。

「じゃ、じゃあオレはほたるから……あっ、あがった」

 九助があたしのカードを引いて、あがる。

 つまり、この状況は。

「おぉ、ちびうさちゃんとほたるっちの直接対決だね!」
「珍しいね、二人が勝負するなんて」

「ほたるちゃん……手を抜いたら、怒るよ?」
「あたしが負けず嫌いなの、ちびうさちゃんが一番知ってるよね?」

 お互い、不敵な笑みを浮かべる。

「勝負よ、ちびうさちゃん」
「受けて立つよ、ほたるちゃん」
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