このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

トランプの死神と小悪魔的な天使

 参加者と順番は「あたし(ほたる)→ちびうさちゃん→九助→なるる→るるな→桃ちゃん→あたし」という感じだ。

 最初に出来たのはワンペアで、取り敢えずジョーカーは手元にない。

 残りのカードは7枚。

 ジャンケンで勝ったあたしから、ちびうさちゃんのカードを引く。

「安心してね、ジョーカー持ってないから」

 笑顔で言うけれど、この発言自体がひっかけの可能性もある。

 ちびうさちゃんは、普段はとっても優しいけれど、あたし以上に負けず嫌いなところがある。なので油断は出来ない。

「まぁ、最初だしね……やった、ペアだ!」

 引いたカードが、運よくペアになった。

 残りは6枚。

「調子いいね、ほたるちゃん♪」

「じゃあ、次はあたしね」

 ちびうさちゃんが、九助からカードを引く。

「う~ん……ペアにならないや」
「わ、わりぃ……」
「あれあれ……九助ったら、ちびうさちゃんのことを勝たせようとしてない?」

 九助の反応に、桃ちゃんが茶々を入れる。

「そ、そんなことねぇよ!?」

 この反応を見れば、一発でわかる。九助はちびうさちゃんの援護をしてくるに違いない。
 言葉やカードの並べ方で、ちびうさちゃんにジョーカーを引かせないようにしてくるだろう。

 しかし、それはあたしにとっても好都合。ちびうさちゃんがジョーカーを引かなければ、あたしも引くことはないのだから。

「次はオレだな……」

 九助がなるるからカードを引く。

「よしっ!」

 ペアになったカードを捨てる九助。この反応だと、九助もジョーカーを持ってないのかな。

 ならジョーカーは、なるるなコンビか桃ちゃんか。さっきの発言がひっかけだとしたら、ちびうさちゃんの可能性もある。

 序盤で思案しすぎるのも良くないけれど、あたしは本気で勝ちたかった。
 今日こそ「トランプの死神」という通り名を返上するんだから。

「じゃあ、あたしはるるなからね~」
「ほいっ」
「なっ!?」

 あたしは思わず声を出す。

 なるるが引こうとした瞬間、るるなが1枚のカードを上に飛び出す形でズラしたのだ。
 これじゃあ、コレがジョーカーだと言っているも同然。しかし。

「じゃあ、コレにしよ~」

 なるるは、あっさり飛び出たカードを引いた。

「へぇ~……引いちゃったか……」

 ワザとだ。なるるは、るるなからワザとジョーカーを引いた。

 それはジョーカーをるるな→なるる→九助→ちびうさちゃんという具合に回すため。

 おそらく、どちらかがジョーカーを引いた場合の打ち合わせを直前でしていたに違いない。
 くっ……こいつら、小癪なコンビプレイを。





 状況を整理しよう。

 元々ジョーカーはるるなが持っていて、ソレがなるるに渡った。
 つまり、次に九助がジョーカーを引く前にカードを減らすしかない。

「じゃあ、あたしは桃ちゃんから」
「はい」
「よし、ペア出来た~」

 るるながペアになったカードを捨てる。

「あたしは、ほたるちゃんからだね」
「どうぞ」
「あっ、あたしもペア出来たよ!」

 桃ちゃんも続けてカードを捨てる。

 あたしのカードは残り5枚。
2/4ページ
スキ