トランプの死神と小悪魔的な天使
きっかけは、桃ちゃんの一言だった。
「ねぇねぇ……トランプ持ってきたんだけど、みんなでやらない?」
お昼休みに暇を持て余していたので、あたしたちは二つ返事でオーケーした。
「うん、いいよ~」
「何にする?」
「色々あるからね~」
なるるとるるなが、何のゲームで勝負するか持ちかけてきたので、あたしは誰よりも早く提案をする。
「神経衰弱!」
「え~っ!?」
みんなが、一斉に嫌がる反応をする。
「だって神経衰弱だと、ほたるちゃんの圧勝なんだもん……」
「そんなに強いのか?」
ちびうさちゃんのボヤキに、九助が疑問を投げかける。
「強いなんてモンじゃないよ?」
「一度めくったカードは、完全に覚えてるんだもん」
「じゃあ、つまんねーなー」
マズい。
この流れだと、アレになる。
「じゃ、じゃあ大富豪は?」
あたしは慌てて、別の提案を持ちかける。
「それもほたるっちの圧勝じゃん」
「必ずジョーカー持ってるんだもん」
「うぐっ……」
そう。
あたしはどういうわけか、死神の絵柄が書かれたジョーカーのカードを引き寄せる能力をもっていた。
そして学校でついたあだ名が「トランプの死神」。
これも死神みたいな鎌を持つ、セーラーサターンとしての宿命なのかと考えていると。
「やっぱ定番だけど、ババ抜きにしようか?」
「ま、待って!?」
「どうしたんだ? ほたるのやつ」
「ほたるちゃんはね……死神の絵柄が描かれたジョーカーだと、手札に引き寄せちゃう性質を持ってるの」
「めっちゃ弱いもんね、ババ抜きだけは……」
「桃ちゃん、ジョーカーの絵柄を確認させて……」
「あはは、ほたるちゃんにとっては死活問題だもんね」
あたしは、桃ちゃんからカードを借りてジョーカーを探す。
そして、見つけた。しっかりと鎌を持った、死神のカードを。
「や、やっぱり……」
「ごめんね、あたしも買ってから気づいて……」
「いや、桃ちゃんが悪いんじゃないよ!? こういうトランプを作ったメーカーが悪いんだから……」
あたしは慌てて、申し訳なさそうに謝る桃ちゃんをフォローする。
でも、このババ抜きの流れを変えるためには、みんなに頼み込むしかない。
「お願い……別のゲームにして!」
両手を合わせて頼みこんでも、みんなからの返答は非情だった。
「いや、もう時間もないし……ババ抜き一回戦で丁度いいよ?」
「そうだね……ほたるっちには頑張ってもらうということで……」
「そんなぁ……」
こうして、あたしが最も苦手とするババ抜き対決が始まった。
「ねぇねぇ……トランプ持ってきたんだけど、みんなでやらない?」
お昼休みに暇を持て余していたので、あたしたちは二つ返事でオーケーした。
「うん、いいよ~」
「何にする?」
「色々あるからね~」
なるるとるるなが、何のゲームで勝負するか持ちかけてきたので、あたしは誰よりも早く提案をする。
「神経衰弱!」
「え~っ!?」
みんなが、一斉に嫌がる反応をする。
「だって神経衰弱だと、ほたるちゃんの圧勝なんだもん……」
「そんなに強いのか?」
ちびうさちゃんのボヤキに、九助が疑問を投げかける。
「強いなんてモンじゃないよ?」
「一度めくったカードは、完全に覚えてるんだもん」
「じゃあ、つまんねーなー」
マズい。
この流れだと、アレになる。
「じゃ、じゃあ大富豪は?」
あたしは慌てて、別の提案を持ちかける。
「それもほたるっちの圧勝じゃん」
「必ずジョーカー持ってるんだもん」
「うぐっ……」
そう。
あたしはどういうわけか、死神の絵柄が書かれたジョーカーのカードを引き寄せる能力をもっていた。
そして学校でついたあだ名が「トランプの死神」。
これも死神みたいな鎌を持つ、セーラーサターンとしての宿命なのかと考えていると。
「やっぱ定番だけど、ババ抜きにしようか?」
「ま、待って!?」
「どうしたんだ? ほたるのやつ」
「ほたるちゃんはね……死神の絵柄が描かれたジョーカーだと、手札に引き寄せちゃう性質を持ってるの」
「めっちゃ弱いもんね、ババ抜きだけは……」
「桃ちゃん、ジョーカーの絵柄を確認させて……」
「あはは、ほたるちゃんにとっては死活問題だもんね」
あたしは、桃ちゃんからカードを借りてジョーカーを探す。
そして、見つけた。しっかりと鎌を持った、死神のカードを。
「や、やっぱり……」
「ごめんね、あたしも買ってから気づいて……」
「いや、桃ちゃんが悪いんじゃないよ!? こういうトランプを作ったメーカーが悪いんだから……」
あたしは慌てて、申し訳なさそうに謝る桃ちゃんをフォローする。
でも、このババ抜きの流れを変えるためには、みんなに頼み込むしかない。
「お願い……別のゲームにして!」
両手を合わせて頼みこんでも、みんなからの返答は非情だった。
「いや、もう時間もないし……ババ抜き一回戦で丁度いいよ?」
「そうだね……ほたるっちには頑張ってもらうということで……」
「そんなぁ……」
こうして、あたしが最も苦手とするババ抜き対決が始まった。
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