名探偵ほたる
梅雨の時期に差し掛かる下校時間。ほたるはちびうさや桃子たちと帰り支度をしていた。そんな時、教室中に響き渡るほどの大声が鳴り響く。
「無いっ!?」
「マジでっ!?」
声のする方を向くとなるるが机の中を大慌てで漁っていた。
「どうしたの? 二人とも」
「あ、ちびうさちゃん! あたしのミラーが無いのっ!」
「ミラー?」
「そう、チャンネルのブランド小物で持ち歩いてたのよー!」
ちびうさが話しかけると、なるるは泣きながら事情を説明する。そんな様子を見かねたほたるたちも詳しい事情を訊くため三人の元へ向かう。
「どこで落としたか記憶にないの?」
「あ、ほたるっちー!」
「ええぃ、泣きつかないでよっ」
大袈裟に絡んでくるなるるを宥めながら、ほたるは状況を把握していそうなるるなに改めて事情を訊くことにした。
「るるな、何時までは手元にあったの?」
「うーん……お昼休みまでは持ってたのを見たよ」
「お昼か。確か校庭でドッジボールしてたよね」
「うん」
「なら校庭に落ちてるんじゃないの?」
少し思案したほたるは窓の外にある校庭を指差しながらるるなへそう告げた。
「でもでもっ、ドッジを終えた時には確かにまだ持ってたよ!」
「そーだよ、落としてないか確認したもんねー」
「ふむ……」
口元に手を当てながら目を瞑るほたる。そんな様子を見た桃子が不思議そうに尋ねた。
「どうしたの? ほたるちゃん」
「……そうか! そういうことだったのね」
「ど、どしたの?」
「ほたるちゃん?」
突然閃いたように声を上げたほたるに、るるなとちびうさも注目する。
「行きましょ」
「どこへ?」
「もちろん、チャンネルのミラーを迎えによ」
「どこに落としたか分かったの!?」
「多分ね」
ほたるはウインクしながら言うと、みんなを連れてある場所へ向かった。
「ここ、保健室じゃん」
「そうよ」
「ここにあるの?」
「あたしの考えが正しければね」
コンコンとノックをして保健室へ入ると、業務日誌を書いていたせつなが振り返る。
「あら?」
「せつなママ、ミラーを取りに来たの」
「よく分かったわね、私が保管してるって」
下校したと思っていた愛娘が友だちを連れて来た様子を見て微笑んだせつなは、机の引き出しからコンパクトミラーを手に持ち、なるるに差し出す。
「はい」
「あたしのミラー! ありがとう、せつな先生!」
「よかったね、なるる!」
飛び跳ねて喜ぶ二人だったが、ちびうさと桃子はまだピンときていないようだった。
「ほたるちゃん、どうして保健室にあるって分かったの?」
「なるるの左ひざ」
「えっ?」
「包帯してるでしょ」
「あ、そうか!」
「そういうこと」
納得した様子でポンと手を叩く二人を見て、ほたるは笑顔を見せる。
「きっとドッジボールの最中に転んで、せつなママに診てもらったんだと思ったの」
「その時に落としたんだね」
「椅子に座って膝を見せた時に落ちたのかなって」
「すごーい、ほたるちゃん探偵さんみたい!」
「たまたまだよ」
興奮しながら目をキラキラさせる桃子に褒められたほたるは照れた仕草を見せる。そんな様子を見たちびうさもクスッと笑いながら微笑んでいた。
「ありがと、ほたるっち!」
「いいわよ、こっちも楽しかったしね」
「はい。大事な落とし物も見つかったことだし、みんなも下校しなさい」
「はーい!」
せつなが言うと、一同は元気に返事をして保健室を出て行った。
「無いっ!?」
「マジでっ!?」
声のする方を向くとなるるが机の中を大慌てで漁っていた。
「どうしたの? 二人とも」
「あ、ちびうさちゃん! あたしのミラーが無いのっ!」
「ミラー?」
「そう、チャンネルのブランド小物で持ち歩いてたのよー!」
ちびうさが話しかけると、なるるは泣きながら事情を説明する。そんな様子を見かねたほたるたちも詳しい事情を訊くため三人の元へ向かう。
「どこで落としたか記憶にないの?」
「あ、ほたるっちー!」
「ええぃ、泣きつかないでよっ」
大袈裟に絡んでくるなるるを宥めながら、ほたるは状況を把握していそうなるるなに改めて事情を訊くことにした。
「るるな、何時までは手元にあったの?」
「うーん……お昼休みまでは持ってたのを見たよ」
「お昼か。確か校庭でドッジボールしてたよね」
「うん」
「なら校庭に落ちてるんじゃないの?」
少し思案したほたるは窓の外にある校庭を指差しながらるるなへそう告げた。
「でもでもっ、ドッジを終えた時には確かにまだ持ってたよ!」
「そーだよ、落としてないか確認したもんねー」
「ふむ……」
口元に手を当てながら目を瞑るほたる。そんな様子を見た桃子が不思議そうに尋ねた。
「どうしたの? ほたるちゃん」
「……そうか! そういうことだったのね」
「ど、どしたの?」
「ほたるちゃん?」
突然閃いたように声を上げたほたるに、るるなとちびうさも注目する。
「行きましょ」
「どこへ?」
「もちろん、チャンネルのミラーを迎えによ」
「どこに落としたか分かったの!?」
「多分ね」
ほたるはウインクしながら言うと、みんなを連れてある場所へ向かった。
「ここ、保健室じゃん」
「そうよ」
「ここにあるの?」
「あたしの考えが正しければね」
コンコンとノックをして保健室へ入ると、業務日誌を書いていたせつなが振り返る。
「あら?」
「せつなママ、ミラーを取りに来たの」
「よく分かったわね、私が保管してるって」
下校したと思っていた愛娘が友だちを連れて来た様子を見て微笑んだせつなは、机の引き出しからコンパクトミラーを手に持ち、なるるに差し出す。
「はい」
「あたしのミラー! ありがとう、せつな先生!」
「よかったね、なるる!」
飛び跳ねて喜ぶ二人だったが、ちびうさと桃子はまだピンときていないようだった。
「ほたるちゃん、どうして保健室にあるって分かったの?」
「なるるの左ひざ」
「えっ?」
「包帯してるでしょ」
「あ、そうか!」
「そういうこと」
納得した様子でポンと手を叩く二人を見て、ほたるは笑顔を見せる。
「きっとドッジボールの最中に転んで、せつなママに診てもらったんだと思ったの」
「その時に落としたんだね」
「椅子に座って膝を見せた時に落ちたのかなって」
「すごーい、ほたるちゃん探偵さんみたい!」
「たまたまだよ」
興奮しながら目をキラキラさせる桃子に褒められたほたるは照れた仕草を見せる。そんな様子を見たちびうさもクスッと笑いながら微笑んでいた。
「ありがと、ほたるっち!」
「いいわよ、こっちも楽しかったしね」
「はい。大事な落とし物も見つかったことだし、みんなも下校しなさい」
「はーい!」
せつなが言うと、一同は元気に返事をして保健室を出て行った。
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