恋のつぼみ
side ちびうさ(その3)
あれから一週間が経った。
ほたるちゃんの気持ちはどうなんだろう。あたしは自分の気持ちを伝えたから、何だかスッキリしたけど。ほたるちゃんはきっと悩んでいると思う。
「ちびうさ、電話だよ」
「うさぎ?」
「ほたるちゃんから」
「っ!?」
あたしは慌てて電話に出た。
「こんばんは、ちびうさちゃん」
「ほたるちゃん、どうしたの?」
「この間の返事を伝えたいと思うの……明日の放課後いいかな?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、また明日」
別れの挨拶を告げて、電話を切る。
いよいよか。あたしは大きく息を吐いてベッドに横になった。
どんな結果でも受け入れよう。あたしは自分の気持ちを伝えたんだから。
もう悔いはない。そう思って眠りについた。
「ちびうさちゃん」
「ほたるちゃん」
あたしたちは放課後の屋上に居た。
風が強くて声がよく聞こえないので近くに寄る。
「あたしね、色々考えてみたんだけど……」
「うん」
「やっぱり、ちびうさちゃんの好きは、あたしの好きと違うの」
「うん……」
フラれちゃったか。仕方がない。じゃ済ませられないけど、ほたるちゃんの気持ちが一番だ。受け入れるしかない。
「でもね? ちびうさちゃんとずっと一緒に居たいって気持ちもあるの」
「えっ?」
「将来はウチの家族みたいに、複雑でもいいから一緒に暮らしたいなって」
その願いが叶わないことは分かってる。あたしはいつか未来に帰らなきゃいけないし。それでもほたるちゃんは続けた。
「でも、やっぱりちびうさちゃんの気持ちにも応えなきゃいけないと思ってるの」
「あ、あたしはそんな関係でもいいよ?」
「ううん、あたしが納得しないの……だからあたしの好きがちびうさちゃんの好きに応えられる形になるまで、そばに居てほしいの……ダメかな?」
「ダメなんかじゃない、すごく嬉しいよ」
「ちびうさちゃん」
「じゃあ、一緒に考えようか」
「うん、最初は未熟な関係かもしれないけど、あたし頑張るから」
「じゃあ、恋人見習いってことで」
「そうだね」
「えへへ」
「じゃあ、帰ろうか」
「うん!」
「手、出して?」
「手?」
「恋人繋ぎ、しよ?」
「うん」
そうしてあたしたちは恋人(みたいなもの)になった。
ほたるちゃんの意志は保留みたいになっちゃったけど、関係を続けているうちにきっと答えが出ると思う。
だからそれまでゆっくり進んで行こう。
二人で考えながら。
「ただいまー」
「おかえり、どうだった?」
「いきなり?」
「だって、気になっちゃって」
「恋人になれたよ、ごっこかもしれないけど」
「いいんだよ、最初はそれで」
「そうだね」
「じゃあ、二人のお祝いしよ! 明日パーラークラウンに集まって!」
「あんまり冷やかさないでよ?」
「わかってるって……じゃあみんなに連絡しよっと」
「全く……」
そう言ってうさぎはみんなに連絡をし始めた。
あぁ、明日が少しだけ憂鬱だ。巻き込んじゃってごめんね、ほたるちゃん。
「じゃあ、二人のスタートにカンパイ!」
「カンパーイ!」
夕方四時。パーラークラウンのテーブルで美奈子ちゃんが音頭を取る。
「いやぁ、正直お姉さんたちは心配だったのよ?」
「そうそう、二人が気まずくなったらどうしようかと思ってて」
「無事に乗り越えました」
「ありがとね、みんな」
色々茶々は入れられたけど、結果的にお世話になったので感謝の念を込めて、あたしたちはお礼を伝えた。
「急にごめんね? ほたるちゃん……うさぎがやろうって言うから」
「いいんだよ、祝ってもらえるのは素直に嬉しいし」
「そうだね」
「じゃあ早速ですが……ほたるちゃんは何て告ったの?」
「いきなりそういうこと訊く? 普通」
乗り気の美奈子ちゃんに、レイちゃんがツッコミを入れる。
「告白っていうか……将来は一緒に暮らしたいけど、自分の気持ちがちびうさちゃんと同じ好きの気持ちになるまで、そばに居てほしいって言ったの」
「へっ? それって告白になる?」
「いいでしょ? 色んな形の愛があっても」
「ま、それもそうね」
「それにしても……今まで散々おちびちゃんを悩ませてきたんだから、もう泣かせたりしたらダメだぞ?」
「わかってるよ」
「ふふっ、でもこうして大人になっていくのね」
「えぇ、この間まで赤ちゃんだと思っていたんだけど」
思いを馳せるみちるさんたち。いや、本当にこの間まで赤ちゃんだったんだけど。あえてそこはツッコまないでおこう。
「で? もうキスはしたの?」
「ぶーっ!」
美奈子ちゃんの一言に、あたしたちは揃ってジュースを吹いた。
「な、何言ってるのよ!? まだに決まってるじゃない!」
「あら、意外と健全ね」
「もう、いい加減にしてよね!」
「あはは、ごめんごめん」
そうしてその日は楽しくお祝いをしてもらった。
あれから一週間が経った。
ほたるちゃんの気持ちはどうなんだろう。あたしは自分の気持ちを伝えたから、何だかスッキリしたけど。ほたるちゃんはきっと悩んでいると思う。
「ちびうさ、電話だよ」
「うさぎ?」
「ほたるちゃんから」
「っ!?」
あたしは慌てて電話に出た。
「こんばんは、ちびうさちゃん」
「ほたるちゃん、どうしたの?」
「この間の返事を伝えたいと思うの……明日の放課後いいかな?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、また明日」
別れの挨拶を告げて、電話を切る。
いよいよか。あたしは大きく息を吐いてベッドに横になった。
どんな結果でも受け入れよう。あたしは自分の気持ちを伝えたんだから。
もう悔いはない。そう思って眠りについた。
「ちびうさちゃん」
「ほたるちゃん」
あたしたちは放課後の屋上に居た。
風が強くて声がよく聞こえないので近くに寄る。
「あたしね、色々考えてみたんだけど……」
「うん」
「やっぱり、ちびうさちゃんの好きは、あたしの好きと違うの」
「うん……」
フラれちゃったか。仕方がない。じゃ済ませられないけど、ほたるちゃんの気持ちが一番だ。受け入れるしかない。
「でもね? ちびうさちゃんとずっと一緒に居たいって気持ちもあるの」
「えっ?」
「将来はウチの家族みたいに、複雑でもいいから一緒に暮らしたいなって」
その願いが叶わないことは分かってる。あたしはいつか未来に帰らなきゃいけないし。それでもほたるちゃんは続けた。
「でも、やっぱりちびうさちゃんの気持ちにも応えなきゃいけないと思ってるの」
「あ、あたしはそんな関係でもいいよ?」
「ううん、あたしが納得しないの……だからあたしの好きがちびうさちゃんの好きに応えられる形になるまで、そばに居てほしいの……ダメかな?」
「ダメなんかじゃない、すごく嬉しいよ」
「ちびうさちゃん」
「じゃあ、一緒に考えようか」
「うん、最初は未熟な関係かもしれないけど、あたし頑張るから」
「じゃあ、恋人見習いってことで」
「そうだね」
「えへへ」
「じゃあ、帰ろうか」
「うん!」
「手、出して?」
「手?」
「恋人繋ぎ、しよ?」
「うん」
そうしてあたしたちは恋人(みたいなもの)になった。
ほたるちゃんの意志は保留みたいになっちゃったけど、関係を続けているうちにきっと答えが出ると思う。
だからそれまでゆっくり進んで行こう。
二人で考えながら。
「ただいまー」
「おかえり、どうだった?」
「いきなり?」
「だって、気になっちゃって」
「恋人になれたよ、ごっこかもしれないけど」
「いいんだよ、最初はそれで」
「そうだね」
「じゃあ、二人のお祝いしよ! 明日パーラークラウンに集まって!」
「あんまり冷やかさないでよ?」
「わかってるって……じゃあみんなに連絡しよっと」
「全く……」
そう言ってうさぎはみんなに連絡をし始めた。
あぁ、明日が少しだけ憂鬱だ。巻き込んじゃってごめんね、ほたるちゃん。
「じゃあ、二人のスタートにカンパイ!」
「カンパーイ!」
夕方四時。パーラークラウンのテーブルで美奈子ちゃんが音頭を取る。
「いやぁ、正直お姉さんたちは心配だったのよ?」
「そうそう、二人が気まずくなったらどうしようかと思ってて」
「無事に乗り越えました」
「ありがとね、みんな」
色々茶々は入れられたけど、結果的にお世話になったので感謝の念を込めて、あたしたちはお礼を伝えた。
「急にごめんね? ほたるちゃん……うさぎがやろうって言うから」
「いいんだよ、祝ってもらえるのは素直に嬉しいし」
「そうだね」
「じゃあ早速ですが……ほたるちゃんは何て告ったの?」
「いきなりそういうこと訊く? 普通」
乗り気の美奈子ちゃんに、レイちゃんがツッコミを入れる。
「告白っていうか……将来は一緒に暮らしたいけど、自分の気持ちがちびうさちゃんと同じ好きの気持ちになるまで、そばに居てほしいって言ったの」
「へっ? それって告白になる?」
「いいでしょ? 色んな形の愛があっても」
「ま、それもそうね」
「それにしても……今まで散々おちびちゃんを悩ませてきたんだから、もう泣かせたりしたらダメだぞ?」
「わかってるよ」
「ふふっ、でもこうして大人になっていくのね」
「えぇ、この間まで赤ちゃんだと思っていたんだけど」
思いを馳せるみちるさんたち。いや、本当にこの間まで赤ちゃんだったんだけど。あえてそこはツッコまないでおこう。
「で? もうキスはしたの?」
「ぶーっ!」
美奈子ちゃんの一言に、あたしたちは揃ってジュースを吹いた。
「な、何言ってるのよ!? まだに決まってるじゃない!」
「あら、意外と健全ね」
「もう、いい加減にしてよね!」
「あはは、ごめんごめん」
そうしてその日は楽しくお祝いをしてもらった。