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恋のつぼみ

side ほたる(その1)



「はぁ……」

 最近ちびうさちゃんの様子がおかしい。あたしと目を合わせてくれないし、返事も素っ気ない。何か嫌われるようなことしちゃったのかなぁ。

「憂鬱だ……」

 コンコンコン

「はーい」

 ノックされたドアを開けると、はるかパパがニコニコしながら立っていた。

「ほたる、おちびちゃんから電話だよ」
「えっ!?」

 ドキドキしながら電話に出ると、普段より少し小さな声でちびうさちゃんが挨拶をしてくれた。

「こんばんは、ほたるちゃん」
「ちびうさちゃん、どうしたの?」
「こうやって話すの久しぶりだね……今度の日曜、暇かな? よかったら遊びに出かけない?」
「ちびうさちゃん……」

 まさかのお誘いに昇天しそうになる。やっぱり気にしすぎだったのかな? ちびうさちゃんはあたしのこと、嫌いじゃなかったんだ。

「行く行く! 時間と場所はどうする?」
「今度の日曜、駅前に十時でどうかな?」
「うん、わかった」
「じゃあ、また明日学校でね?」
「おやすみ、ちびうさちゃん」

 ちびうさちゃんとのやり取りを終えて、はるかパパに電話を返すと。

「デートの約束かい?」
「うん、そうなの!」
「なら可愛いコーディネートをお願いしないとね」
「そうだ、みちるママに頼もう!」

 あたしは勢いよくリビングへ駆けて行った。

「やれやれ……」

 さっきまでの憂鬱な気持ちが吹き飛んでいく。やっぱりちびうさちゃんのパワーはスゴイ。人を元気にする力があるんだ。そう嬉しく思いながら、あたしはリビングに着いた。

「みちるママ!」
「あら、どうしたの?」
「お願い、とびっきりに可愛いお洋服、選んで?」
「どうしたの? 急に」
「今度の日曜、ちびうさちゃんと遊びに出掛けるの!」
「あら、そういうことね……いいわよ、とっても可愛くしてあげる」
「わ~い!」

 浮かれながら思わず飛び跳ねてしまう。楽しみだな。早く日曜にならないかな。
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