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時を越えた出逢い

 しばらくして、ベンチで眠っていた「うさ」が目を覚ます。

「あれ……あたし……」
「おはよう、もう夜だぞ?」
「えっ……なんで!?」

 この状況が理解できない。そんな様子で慌てふためくうさを見て、笑みが零れる。

「まもちゃん……涙の跡がある……」
「えっ?」
「泣いてたの?」
「あぁ……とても悲しいことがあったんだ……」
「そうなんだ……」

 少し考えた素振りをした後、うさは立ち上がってオレの前に歩み寄った。



「見つめてあげて……」



 彼女の最後の言葉が甦る。
 オレは目の前に立つうさの瞳を、迷いなく見続けた。

「不思議だね……傷ついてるハズなのに、前より強く見えるの……」
「オレを成長させてくれた人がいたんだ……」
「そっか……あたしにも、紹介してくれる?」
「もう……二度と、会えないんだ……」

 再び、涙が頬を伝う。
 彼女の遺したぬくもりや言葉が、脳裏にフラッシュバックする。

「その大切な気持ちに整理がついたら……いつかお話、聞きたいな」
「あぁ……必ず話すよ……」

 この地球ほしを照らす満月の下で、最愛の恋人とキスを交わす。
 唇から伝わる温度は、同じ姿でも違うぬくもりだった。





 夢から目覚めた貴女は、過去の月からこの地球ほしに恋焦がれていますか。

 運命の日。
 オレは貴女より先に逝くことになるけれど、時を越えて再び巡りあうと誓います。

 だから悲しまないでください。

 どんな時代でも、逢えない日々が続いても。

 オレは貴女を愛しています。
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