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透明な恋人

「全く……世話の焼ける二人だわ」

 あたしは過去へ送ったルナPを回収して、夜空を眺めていた。

「消えかかってた体も戻ったし、一件落着かな」

 軽口を叩きながらルナPをポンポン叩く。うさぎとまもちゃんのことだから心配なんてしてなかったけどさ。あの時は大変だったわねぇなんてパパとママの惚気エピソードが増えるのも納得いかない。

「あたしの機転で乗り越えたんだからね!」
「分かっているさ」
「あなたは頭も良くて、優しい子だものね」

 後ろを振り向くと、珍しく私服姿のパパとママが立っていた。

「どうしたの? そんな格好で」
「今日はお忍びで並木道を歩いてきたんだ……あの日になぞらえてね」
「で、ラブラブできましたか?」
「えぇ、とっても素敵な一日だったわ」
「そりゃ結構なことで……」

 実の娘が消えかかっていたのに、よくのんきにデートなんかできたものだと少しばかり呆れる。

「だって信じていたもの……過去の自分たちも、あなたのことも……」

 ママがあたしの心を見透かしたようにフォローを入れてくる。そんなに信じあっているなら、もっと早く解決してもらいたかったな。

「今日はありがとう……君はオレたちの誇りの娘だよ……」
「ありがと……」

 少しだけまだ納得のいかない所もあるけれど、久しぶりに幸せそうな二人を見て嬉しかったので水に流そう。

 これからも色々な試練が過去にも未来にも降りかかるだろう。

 だけど、あたしたち三人でなら乗り越えられる。

 もう恋人の絆から、夫婦の絆。家族の絆になっているのだから。

 昔を思い出しながら若い時代の話に華を咲かせている二人を見て、あたしはルナPを連れて部屋を出ることにした。



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