インヴィジブル・ラヴァー
「明日のレクを決める?」
素っ頓狂な声を上げて京子先輩を見ると、親指を立てながら得意げな表情で反応する。
「ごらく部でやりたいことを、みんなそれぞれ紙に書いて……そこからランダムに一枚取ったやつを明日、決行します!」
「普通に口で言えばいいんじゃないか?」
京子先輩の提案に対して、最もな意見を言う結衣先輩。確かにいちいち隠してシャッフルする理由が分からない。また何かヘンな思惑でもあるのだろうかと、想像してしまう。
「だって、その方がドキドキして面白いじゃん!」
「やっぱりそんな理由か……」
口をとがらせて結衣先輩に寄りかかる京子先輩。でも、この流れでいくなら私も何をやるか考えておかないと。
「あかりはみんながやりたいことでいいよぉ」
「ダメだよ、ちゃんとあかりも何をやるか考えて書いてくれないと」
「そうだよ、あかりちゃん……ある意味これも活動の一つなんだし」
「う、うん……頑張るね」
「よし、じゃあそれぞれ紙に記入してね!」
それぞれメモ帳をちぎって何を書くか考える。言い出しっぺの京子先輩は決め打ちしていたようにペンを走らせていた。
さて、私は何を書こうかな。明日、みんなでやりたいこと。といっても大抵の遊びはやり尽くしちゃったし、何かないかな。
「結衣は何を書いてんの?」
「今、言ったら意味ないだろ!」
「折角だから、メリットのある催しがいいよなぁ」
「メリット?」
「私たちが得するような、満足できるような……」
メリットか。みんなが楽しく過ごせるイベントに、得を加える。
「あっ」
そこで妙案を思いつく。私はスラスラとペンを動かし、紙を四つ折りに畳んだ。
「ちなつちゃんも、書けたの?」
「はい」
「じゃあ、あとはあかりか」
「あかりも書けたよぉ」
「よっしゃ! シャッフルするぞ」
折られた四枚の紙を混ぜこぜにして京子先輩が一枚、指で挟むように取る。
「これだ!」
そして紙を開くと。
【お弁当を贈りあう】
「これって、誰の?」
「あ、私です!」
「ちなつちゃんかぁ……って、ちなつちゃん!?」
「うん、どうしたの? そんなに驚いて」
動きが固まったように私を凝視するあかりちゃん。心なしか、先輩たちも表情が固まっているような。
「えっと……つまり、みんなそれぞれお弁当を作ってきて、渡すってこと?」
「はい、さすが結衣先輩! 私の考えを一発で理解してくれるなんて、素敵です!」
「えっと……その、渡す順序とかってどうするの?」
「今日の席順で、時計回りでいいんじゃないですか?」
「となると……」
みんなが自分の位置と隣に座っている人を見比べる。
「あかりちゃんが京子先輩に……京子先輩は結衣先輩に贈って……」
「私がちなつちゃんに……そして、ちなつちゃんが……あかりに……」
結衣先輩が私の説明を補足してくれる。でも、どこかテンションが低いような。何でだろう。
「大丈夫か? あかり……」
「う、うん……頑張る……」
体を硬直させて微動だにしないあかりちゃん。そんなにお料理苦手だったっけ。
「じゃ、じゃあそういうことで」
「結衣先輩のお弁当、楽しみにしてますね!」
「う、うん……ちなつちゃんも、あかりのこと考えながら作ってあげてね?」
「もちろんですよ! 頑張ります!」
そうして、この日はお開きになった。
素っ頓狂な声を上げて京子先輩を見ると、親指を立てながら得意げな表情で反応する。
「ごらく部でやりたいことを、みんなそれぞれ紙に書いて……そこからランダムに一枚取ったやつを明日、決行します!」
「普通に口で言えばいいんじゃないか?」
京子先輩の提案に対して、最もな意見を言う結衣先輩。確かにいちいち隠してシャッフルする理由が分からない。また何かヘンな思惑でもあるのだろうかと、想像してしまう。
「だって、その方がドキドキして面白いじゃん!」
「やっぱりそんな理由か……」
口をとがらせて結衣先輩に寄りかかる京子先輩。でも、この流れでいくなら私も何をやるか考えておかないと。
「あかりはみんながやりたいことでいいよぉ」
「ダメだよ、ちゃんとあかりも何をやるか考えて書いてくれないと」
「そうだよ、あかりちゃん……ある意味これも活動の一つなんだし」
「う、うん……頑張るね」
「よし、じゃあそれぞれ紙に記入してね!」
それぞれメモ帳をちぎって何を書くか考える。言い出しっぺの京子先輩は決め打ちしていたようにペンを走らせていた。
さて、私は何を書こうかな。明日、みんなでやりたいこと。といっても大抵の遊びはやり尽くしちゃったし、何かないかな。
「結衣は何を書いてんの?」
「今、言ったら意味ないだろ!」
「折角だから、メリットのある催しがいいよなぁ」
「メリット?」
「私たちが得するような、満足できるような……」
メリットか。みんなが楽しく過ごせるイベントに、得を加える。
「あっ」
そこで妙案を思いつく。私はスラスラとペンを動かし、紙を四つ折りに畳んだ。
「ちなつちゃんも、書けたの?」
「はい」
「じゃあ、あとはあかりか」
「あかりも書けたよぉ」
「よっしゃ! シャッフルするぞ」
折られた四枚の紙を混ぜこぜにして京子先輩が一枚、指で挟むように取る。
「これだ!」
そして紙を開くと。
【お弁当を贈りあう】
「これって、誰の?」
「あ、私です!」
「ちなつちゃんかぁ……って、ちなつちゃん!?」
「うん、どうしたの? そんなに驚いて」
動きが固まったように私を凝視するあかりちゃん。心なしか、先輩たちも表情が固まっているような。
「えっと……つまり、みんなそれぞれお弁当を作ってきて、渡すってこと?」
「はい、さすが結衣先輩! 私の考えを一発で理解してくれるなんて、素敵です!」
「えっと……その、渡す順序とかってどうするの?」
「今日の席順で、時計回りでいいんじゃないですか?」
「となると……」
みんなが自分の位置と隣に座っている人を見比べる。
「あかりちゃんが京子先輩に……京子先輩は結衣先輩に贈って……」
「私がちなつちゃんに……そして、ちなつちゃんが……あかりに……」
結衣先輩が私の説明を補足してくれる。でも、どこかテンションが低いような。何でだろう。
「大丈夫か? あかり……」
「う、うん……頑張る……」
体を硬直させて微動だにしないあかりちゃん。そんなにお料理苦手だったっけ。
「じゃ、じゃあそういうことで」
「結衣先輩のお弁当、楽しみにしてますね!」
「う、うん……ちなつちゃんも、あかりのこと考えながら作ってあげてね?」
「もちろんですよ! 頑張ります!」
そうして、この日はお開きになった。
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