心を殺して隣で笑う
conclusion ちなつ
何をやっているんだろう。この子を悲しませない為に殺した心なのに、それが原因で泣かせているなんて。
「もう、泣かないでよ……」
目の前で泣き崩れるあかりちゃんを見て、私は震えていた。あの日この場所で殺したハズの、あかりちゃんへの想いが心の奥底から甦ってきそうで、怖くて情けなくて。
「うっ……うえぇ……」
涙をポロポロ零しながら泣き続けるあかりちゃん。その姿を見て、自責の念が膨れ上がっていく。
あかりちゃんが言う、本当の私。相手に自分の気持ちをストレートに伝える、あかりちゃんが好きと言ってくれた私。そしてそれに気づけなかったバカな自分。
「そうか……そうだったんだ……」
気づかなかったのは、私の方だった。
私が恋愛感情とか、嫌われるとか自分勝手に思っていた時も、この子は本当の私を見てくれていた。大好きな人に、好きと伝えられる本来の私を。
「自分じゃ気づかなかった、一番の長所を殺してたなんてね……」
「えっ……」
もう、心を殺すのは終わりにしよう。
そして新しく始めるんだ。大好きなこの人と。
「あかりちゃん」
「ちなつ……ちゃん……」
「大好き」
「えっ?」
「大好きだよ……あかりちゃんのこと……」
「ち、ちなつちゃん?」
「もう噓つくの……やめる事にしたの」
そう言って、あかりちゃんの手を握る。
「私と……付き合ってください」
「あ……ぅ……」
「あかりちゃんが気づかせてくれた、この気持ちを大事にしたいの……」
「あり……がと……ひっく……嬉しいよぉ……」
この嬉しいの意味は、きっとたくさんあると思うけど敢えて聞かない。今はあかりちゃんの返事を待とう。こんな私だから、フラれちゃうかもしれないけれど。
「ちなつちゃん」
「はい……」
「あかりも、大好きだよ……ちなつちゃんのこと……」
「ありがとう……」
「恋人に、なってくれますか?」
「うん……ずっと一緒にいよう」
しばらく見つめあった後、体を抱き寄せてキスをする。
「んっ……」
柔らかくて温かい唇のぬくもり。まるであかりちゃんの心が唇を伝って流れてくるようだった。
そして唇を離して再び見つめあうと、あかりちゃんが口を開いた。
「ありがとう……」
「何に対して?」
「もう、色々だよ」
「ふふっ」
「えへへっ」
お互いに微笑みながら、屋上からの景色を観る。
「この場所って、こんなに見晴らしがよかったんだ……」
「折角屋上に居たのに、お互いの事ばっかり考えてたもんね」
「ねぇ、ちなつちゃん」
「ん?」
「これからきっと、壁にぶつかる事もあるだろうけど……」
「うん……」
「困ったら、ここに来ようね」
「どうして?」
「思い出すの……心がすれ違ったあの日を……そして心が結ばれた今日を……」
「そうだね……」
あかりちゃんはそう言ったけど、私は確信していた。もうすれ違うことなんてないって。あかりちゃんが傍に居てくれれば、いつだって思い出せる。私の大切な気持ちも、自慢の長所も。
だからもう逃げることはない。自分の弱い心からも、目の前の最愛の人からも。
END
何をやっているんだろう。この子を悲しませない為に殺した心なのに、それが原因で泣かせているなんて。
「もう、泣かないでよ……」
目の前で泣き崩れるあかりちゃんを見て、私は震えていた。あの日この場所で殺したハズの、あかりちゃんへの想いが心の奥底から甦ってきそうで、怖くて情けなくて。
「うっ……うえぇ……」
涙をポロポロ零しながら泣き続けるあかりちゃん。その姿を見て、自責の念が膨れ上がっていく。
あかりちゃんが言う、本当の私。相手に自分の気持ちをストレートに伝える、あかりちゃんが好きと言ってくれた私。そしてそれに気づけなかったバカな自分。
「そうか……そうだったんだ……」
気づかなかったのは、私の方だった。
私が恋愛感情とか、嫌われるとか自分勝手に思っていた時も、この子は本当の私を見てくれていた。大好きな人に、好きと伝えられる本来の私を。
「自分じゃ気づかなかった、一番の長所を殺してたなんてね……」
「えっ……」
もう、心を殺すのは終わりにしよう。
そして新しく始めるんだ。大好きなこの人と。
「あかりちゃん」
「ちなつ……ちゃん……」
「大好き」
「えっ?」
「大好きだよ……あかりちゃんのこと……」
「ち、ちなつちゃん?」
「もう噓つくの……やめる事にしたの」
そう言って、あかりちゃんの手を握る。
「私と……付き合ってください」
「あ……ぅ……」
「あかりちゃんが気づかせてくれた、この気持ちを大事にしたいの……」
「あり……がと……ひっく……嬉しいよぉ……」
この嬉しいの意味は、きっとたくさんあると思うけど敢えて聞かない。今はあかりちゃんの返事を待とう。こんな私だから、フラれちゃうかもしれないけれど。
「ちなつちゃん」
「はい……」
「あかりも、大好きだよ……ちなつちゃんのこと……」
「ありがとう……」
「恋人に、なってくれますか?」
「うん……ずっと一緒にいよう」
しばらく見つめあった後、体を抱き寄せてキスをする。
「んっ……」
柔らかくて温かい唇のぬくもり。まるであかりちゃんの心が唇を伝って流れてくるようだった。
そして唇を離して再び見つめあうと、あかりちゃんが口を開いた。
「ありがとう……」
「何に対して?」
「もう、色々だよ」
「ふふっ」
「えへへっ」
お互いに微笑みながら、屋上からの景色を観る。
「この場所って、こんなに見晴らしがよかったんだ……」
「折角屋上に居たのに、お互いの事ばっかり考えてたもんね」
「ねぇ、ちなつちゃん」
「ん?」
「これからきっと、壁にぶつかる事もあるだろうけど……」
「うん……」
「困ったら、ここに来ようね」
「どうして?」
「思い出すの……心がすれ違ったあの日を……そして心が結ばれた今日を……」
「そうだね……」
あかりちゃんはそう言ったけど、私は確信していた。もうすれ違うことなんてないって。あかりちゃんが傍に居てくれれば、いつだって思い出せる。私の大切な気持ちも、自慢の長所も。
だからもう逃げることはない。自分の弱い心からも、目の前の最愛の人からも。
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