右手のナイフと左手のぬくもり
次の日。やすなは日直があるということで、先に学校へ行っていた。なので久しぶりになる一人での登校。
「人助けか……」
まだ昨日の感触が残っている左手を見る。最初は助けることなんて、できないかもしれない。だけど全力で頑張ろう。私を助けてくれたアイツに報いるために。
「ひっく……ひっく……」
「ん?」
道路の端を見ると、幼稚園児くらいの少女が一人で泣いていた。ひょっとして迷子だろうか。
「どうしたんだ、迷子か?」
「お姉ちゃんは?」
「私はソーニャ、一緒におまわりさんのところまで行ってあげるよ」
「ほんとう?」
「あぁ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
そう笑顔で答えながら、左手を差し出す。すると少女は喜んで私の手を取った。
温かい。これがぬくもり。私が動いたから、触れることができたぬくもり。この温度を忘れないようにしよう。そしていつか本当に、人を救えるようになったらまたアイツの手を握ろう。
私の中に流れる、優しさのカケラを渡すために。
END
「人助けか……」
まだ昨日の感触が残っている左手を見る。最初は助けることなんて、できないかもしれない。だけど全力で頑張ろう。私を助けてくれたアイツに報いるために。
「ひっく……ひっく……」
「ん?」
道路の端を見ると、幼稚園児くらいの少女が一人で泣いていた。ひょっとして迷子だろうか。
「どうしたんだ、迷子か?」
「お姉ちゃんは?」
「私はソーニャ、一緒におまわりさんのところまで行ってあげるよ」
「ほんとう?」
「あぁ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
そう笑顔で答えながら、左手を差し出す。すると少女は喜んで私の手を取った。
温かい。これがぬくもり。私が動いたから、触れることができたぬくもり。この温度を忘れないようにしよう。そしていつか本当に、人を救えるようになったらまたアイツの手を握ろう。
私の中に流れる、優しさのカケラを渡すために。
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