デートしよっか
side ほたる
それからあたし達は色んな場所を周った。洋服屋さんや雑貨屋さん。本屋さんにゲーム屋さん。きっとどれも、本来ならまもちゃんとデートしたかったコースなんだろうなと思うと胸が痛かったけど、商品を手に取って瞳をキラキラさせながら喜ぶうさぎお姉ちゃんを見て、自然に笑みが零れる場面も多かった。
そして、ひと通り遊んで疲れたあたし達はカフェでお茶を飲むことにした。
「ほたるちゃんのソレ、ミルクティー?」
「うん、何かタピオカも入ってるみたい……うさぎお姉ちゃんのは?」
「抹茶オレだよ♪」
「へぇ、美味しそうだね」
「交換こしようか?」
「いいの?」
「うん、あたしもタピオカ食べてみたいし」
あたし達はお互いのカップを交換して、飲み比べをした。うさぎお姉ちゃんの抹茶オレも結構お茶の味がして美味しくて、こっちにすればよかったかな。なんて思っていると。
「こほっ! けほっ!?」
「だ、大丈夫!?」
喉を押さえてむせこんでいるうさぎお姉ちゃん。きっとタピオカが直に喉に入ってしまったのだろう。あたしは背中をポンポン叩いて回復を促した。
「はぁっ、飲み込めた……」
「本当に大丈夫?」
「うぅ……あたし、タピオカ苦手……」
「勢いよく飲むからだよ」
「だって、早く食べたかったんだもん」
子どもみたいな言い訳をするうさぎお姉ちゃんを見て、微笑んでいると。
「あっ……今、子どもみたいって思ったでしょ?」
「ナイショ♪」
「いじわる……」
あたしの前だからか、明るく振る舞っているけど。本当はまもちゃんとこんなやりとりもしたかったんだろうなと思うと、また胸がズキズキする。うさぎお姉ちゃんが元気になるような何かが。あたしに出来ることがあればいいんだけど。
「ほたるちゃん?」
「あ、いや……」
「ひょっとして、あたしのこと心配してくれてた?」
「な、何でそう思うの?」
「ほたるちゃんは優しい子だからね……人の心の痛みが、人一倍わかる子だって知ってるから」
「ありがと……」
あたしが照れながら答えると、うさぎお姉ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。
その後も色々なお店を巡って、あたし達は広場にあるベンチに座っていた。
「疲れたね~」
「いっぱいお店を見て周ったからね」
「あたし、ここのベンチでしばらく休んでるよ……」
「じゃあ、あたしは近くのお店を見てくるね」
そう言って、あたしは一直線にあるお店へ向かった。デートの最中に見かけた、お花屋さんに。
「あの……すみません」
「はい、いらっしゃいませ」
「これ……一輪だけ売ってもらえませんか?」
あたしは店員のお姉さんに声を掛けて、飾ってある真っ赤なバラを指差しながらお願いをした。
「一輪でいいの?」
「うん……お金もあんまり無いし、むしろ一輪がよくて……」
「ふふっ、今回は特別よ?」
「ありがとう!」
あたしはベンチに座っているうさぎお姉ちゃんに近づき、一輪のバラを差し出す。
「ほたるちゃん?」
「貴女の最愛の人にはなれないけれど……このバラで心が安らいでくれたら、幸いです」
普通に渡すのもどうかと思ったので凝った言葉で伝えようと思ったら、何だか劇のセリフみたいになってしまった。
「ふふっ」
「えっと……うさぎお姉ちゃん?」
「何だか、王子様みたいだね」
「ご、ごめんね」
「ううん、とっても嬉しい」
うさぎお姉ちゃんはそっとバラを受け取ると、胸ポケットに入れてくれた。
「今日はありがとね」
「こっちこそ……遊んでくれてありがとう、うさぎお姉ちゃん」
そして、あたし達は日が暮れるまでベンチで談笑し続けた。
それからあたし達は色んな場所を周った。洋服屋さんや雑貨屋さん。本屋さんにゲーム屋さん。きっとどれも、本来ならまもちゃんとデートしたかったコースなんだろうなと思うと胸が痛かったけど、商品を手に取って瞳をキラキラさせながら喜ぶうさぎお姉ちゃんを見て、自然に笑みが零れる場面も多かった。
そして、ひと通り遊んで疲れたあたし達はカフェでお茶を飲むことにした。
「ほたるちゃんのソレ、ミルクティー?」
「うん、何かタピオカも入ってるみたい……うさぎお姉ちゃんのは?」
「抹茶オレだよ♪」
「へぇ、美味しそうだね」
「交換こしようか?」
「いいの?」
「うん、あたしもタピオカ食べてみたいし」
あたし達はお互いのカップを交換して、飲み比べをした。うさぎお姉ちゃんの抹茶オレも結構お茶の味がして美味しくて、こっちにすればよかったかな。なんて思っていると。
「こほっ! けほっ!?」
「だ、大丈夫!?」
喉を押さえてむせこんでいるうさぎお姉ちゃん。きっとタピオカが直に喉に入ってしまったのだろう。あたしは背中をポンポン叩いて回復を促した。
「はぁっ、飲み込めた……」
「本当に大丈夫?」
「うぅ……あたし、タピオカ苦手……」
「勢いよく飲むからだよ」
「だって、早く食べたかったんだもん」
子どもみたいな言い訳をするうさぎお姉ちゃんを見て、微笑んでいると。
「あっ……今、子どもみたいって思ったでしょ?」
「ナイショ♪」
「いじわる……」
あたしの前だからか、明るく振る舞っているけど。本当はまもちゃんとこんなやりとりもしたかったんだろうなと思うと、また胸がズキズキする。うさぎお姉ちゃんが元気になるような何かが。あたしに出来ることがあればいいんだけど。
「ほたるちゃん?」
「あ、いや……」
「ひょっとして、あたしのこと心配してくれてた?」
「な、何でそう思うの?」
「ほたるちゃんは優しい子だからね……人の心の痛みが、人一倍わかる子だって知ってるから」
「ありがと……」
あたしが照れながら答えると、うさぎお姉ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。
その後も色々なお店を巡って、あたし達は広場にあるベンチに座っていた。
「疲れたね~」
「いっぱいお店を見て周ったからね」
「あたし、ここのベンチでしばらく休んでるよ……」
「じゃあ、あたしは近くのお店を見てくるね」
そう言って、あたしは一直線にあるお店へ向かった。デートの最中に見かけた、お花屋さんに。
「あの……すみません」
「はい、いらっしゃいませ」
「これ……一輪だけ売ってもらえませんか?」
あたしは店員のお姉さんに声を掛けて、飾ってある真っ赤なバラを指差しながらお願いをした。
「一輪でいいの?」
「うん……お金もあんまり無いし、むしろ一輪がよくて……」
「ふふっ、今回は特別よ?」
「ありがとう!」
あたしはベンチに座っているうさぎお姉ちゃんに近づき、一輪のバラを差し出す。
「ほたるちゃん?」
「貴女の最愛の人にはなれないけれど……このバラで心が安らいでくれたら、幸いです」
普通に渡すのもどうかと思ったので凝った言葉で伝えようと思ったら、何だか劇のセリフみたいになってしまった。
「ふふっ」
「えっと……うさぎお姉ちゃん?」
「何だか、王子様みたいだね」
「ご、ごめんね」
「ううん、とっても嬉しい」
うさぎお姉ちゃんはそっとバラを受け取ると、胸ポケットに入れてくれた。
「今日はありがとね」
「こっちこそ……遊んでくれてありがとう、うさぎお姉ちゃん」
そして、あたし達は日が暮れるまでベンチで談笑し続けた。