ハート・オブ・シスター
side ちびうさ
今日は検査結果が判る日。あたしは朝からソワソワしていた。
「お待たせ」
「亜美ちゃん!」
「悪かったわね、亜美」
「ほたるちゃんはわたしたちにとっても、妹みたいな存在だから大丈夫よ」
「最初は気にしてなかったけど、いざ結果となると緊張するな」
「それで、ほたるちゃんはどうだったの!?」
「ちびうさ、ちょっと落ち着こうか」
はるかさんの緊張があたしにも伝わったせいか、急かすように亜美ちゃんに結果を訊くあたしをうさぎが制する。
「ご、ごめん……」
「平気よ、ちびうさちゃん……まず体はどこも異常ないそうよ、とっても健康ね」
「はぁ……よかった……」
「それで、心療内科の結果なんだけど……」
「うん」
「可能性としては、多重人格が指摘されたわ」
「タジュージンカク!?」
みんなが一斉に声を上げる。この言葉自体はアニメやドラマで見たことがある。一人の中に、何人も別の人格が宿ってるっていう。
「本当かい?」
「そうね……あくまで先生の診断なんだけど、頭の中で声が聞こえるかっていう質問に対して、ノーって言う時に嘘が見えたことと……」
「ことと?」
「自分のことが好きかって質問に対して、笑顔で大好きって答えたからだそうよ」
「それが、何で多重人格になるの?」
「人ってね、自分のことを認めるのはとても難しいのよ」
「あぁ、自信家って訳じゃないならね」
「ほたるちゃんはうぬぼれ屋じゃないから、きっと本気で大好きって言ったのよ」
「ってことは?」
「自分の中の人格たちのことを好きって言ったのかもしれないってことね」
「つまり、仲良しってこと?」
「まぁ、あくまで考えられるのはそれくらいってレベルだから……そんなに深刻に考えなくても大丈夫だと思うわ」
「そっか……」
亜美ちゃんの説明を聞いて、少しだけホッとする。体の方は何もなかったし、心の方も見当がついたし。
「これで不安は拭えたかしら?」
「うん……ありがとう、亜美ちゃん」
「いえいえ……ちびうさちゃん、これからもほたるちゃんのこと、よろしくね?」
「うん!」
あたしが元気に返事をしたのを見て、みんな安心したのかその場は特に追及することなく解散となった。
「多重人格かぁ」
その夜。あたしはお風呂に浸かりながら、ほたるちゃんのことを考えていた。
「ほたるちゃんは、何人いるの?」
わからない。
「もし、いるなら……」
少しだけ、嫉妬の気持ちが芽生える。ほたるちゃんの大事な人たちに対して。それはほたるちゃんの分身みたいなもの。きっと仲が良いんだろうな。
「あたしにも……紹介してほしいな……」
いつか、紹介してくれるのかな。ほたるちゃんの大切な人たち。どんな人なんだろう。優しいのかな。可愛いのかな。そんな想像をしながら、ボーっと天井を眺めていた。
今日は検査結果が判る日。あたしは朝からソワソワしていた。
「お待たせ」
「亜美ちゃん!」
「悪かったわね、亜美」
「ほたるちゃんはわたしたちにとっても、妹みたいな存在だから大丈夫よ」
「最初は気にしてなかったけど、いざ結果となると緊張するな」
「それで、ほたるちゃんはどうだったの!?」
「ちびうさ、ちょっと落ち着こうか」
はるかさんの緊張があたしにも伝わったせいか、急かすように亜美ちゃんに結果を訊くあたしをうさぎが制する。
「ご、ごめん……」
「平気よ、ちびうさちゃん……まず体はどこも異常ないそうよ、とっても健康ね」
「はぁ……よかった……」
「それで、心療内科の結果なんだけど……」
「うん」
「可能性としては、多重人格が指摘されたわ」
「タジュージンカク!?」
みんなが一斉に声を上げる。この言葉自体はアニメやドラマで見たことがある。一人の中に、何人も別の人格が宿ってるっていう。
「本当かい?」
「そうね……あくまで先生の診断なんだけど、頭の中で声が聞こえるかっていう質問に対して、ノーって言う時に嘘が見えたことと……」
「ことと?」
「自分のことが好きかって質問に対して、笑顔で大好きって答えたからだそうよ」
「それが、何で多重人格になるの?」
「人ってね、自分のことを認めるのはとても難しいのよ」
「あぁ、自信家って訳じゃないならね」
「ほたるちゃんはうぬぼれ屋じゃないから、きっと本気で大好きって言ったのよ」
「ってことは?」
「自分の中の人格たちのことを好きって言ったのかもしれないってことね」
「つまり、仲良しってこと?」
「まぁ、あくまで考えられるのはそれくらいってレベルだから……そんなに深刻に考えなくても大丈夫だと思うわ」
「そっか……」
亜美ちゃんの説明を聞いて、少しだけホッとする。体の方は何もなかったし、心の方も見当がついたし。
「これで不安は拭えたかしら?」
「うん……ありがとう、亜美ちゃん」
「いえいえ……ちびうさちゃん、これからもほたるちゃんのこと、よろしくね?」
「うん!」
あたしが元気に返事をしたのを見て、みんな安心したのかその場は特に追及することなく解散となった。
「多重人格かぁ」
その夜。あたしはお風呂に浸かりながら、ほたるちゃんのことを考えていた。
「ほたるちゃんは、何人いるの?」
わからない。
「もし、いるなら……」
少しだけ、嫉妬の気持ちが芽生える。ほたるちゃんの大事な人たちに対して。それはほたるちゃんの分身みたいなもの。きっと仲が良いんだろうな。
「あたしにも……紹介してほしいな……」
いつか、紹介してくれるのかな。ほたるちゃんの大切な人たち。どんな人なんだろう。優しいのかな。可愛いのかな。そんな想像をしながら、ボーっと天井を眺めていた。