ハート・オブ・シスター
side ほたる
「大きい病院だなぁ」
次の日。あたしが病院の受付付近に行くと、亜美お姉ちゃんが手を振りながらこちらに来てくれた。
「あ、亜美お姉ちゃん」
「おはよう、ほたるちゃん」
「今日はよろしくお願いします!」
「いえいえ、じゃあまわりましょうか」
そうしてあたしは採血をしたり心電図を取ったりと、とにかく色々な検査をした。
『長いわね~』
『病院はそういう場所ですから』
『どこも悪いとこ、なければいいわね!』
『くすっ、そんなにほたるの体が心配ですか?』
『体じゃなくて、ほたる全部が心配なの!』
『全部?』
『そーよ! わたしたちはお姉さんなんだから、ほたるを護ってあげないと』
『ふふっ、そうですね』
二人の心配に感謝をしつつ病院を巡っていると、最後の検査になった。
「心療内科?」
「えぇ……本当は健康診断には入ってないんだけど、今回は特別よ?」
「ふ~ん」
心療内科。ここって、心の病気の人が受ける所じゃないのかな。あたし病気だと思われてるのかな?
「あ、気にしないでね? 念の為に受けられるものは受けておこうってだけだから」
「そっか」
診療室のドアを開けると、綺麗な女医さんがニコッと微笑みながら迎えてくれた。
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
「では、初めの質問です……土萠さん、最近悩みはありますか?」
「悩み? う~ん」
「ふふっ、ムリに思い出さなくてもいいですよ?」
「あ、はい……」
『な~んだ、てっきりクイズとか出してくれると思ったのに』
『そういう検査もありますが、これはカウンセリングみたいですね』
『センセー、クイズ出してよ~』
「ナイン、ちょっと黙ってて……」
『ぶー』
「ふむ……」
先生がカルテに何かを書き綴っている。ひょっとして、バレているのだろうか。不安が心を巡る中、次の質問であたしは凍り付いた。
「では……頭の中で、声が聞こえたりはしますか?」
「っ!?」
どうしよう。余りにもピンポイントで指摘されて、動揺の色を隠せない。
『おい、やばくねー?』
『まぁ検査ですし……大丈夫じゃないでしょうか……』
「どうしました?」
「あ、いえっ! 聞こえないです!」
「そうですか……」
心臓がドクンドクンする。この子たちのことがバレたら、きっとみんな消し去ろうとする。あの時みたいに。嫌だ。そんなの嫌だよ。
「じゃあ、最後の質問です」
「は、はい」
「ご自分のことは、好きですか?」
「えっ……」
自身のことが好きかと訊かれ、思わず心の中の二人を見る。
『なによ?』
『どうかしましたか?』
「ううん、何でもない」
そうだ。あたしたちは三心同体。全部含めて、あたしなんだ。
「どうですか? ご自分のこと、好きですか?」
先生の質問に、あたしは胸を張って言う。
「大好きです!」
「ふふっ、ありがとうございました。」
先生は優しく笑うと、あたしの頭を撫でてくれた。
「どうだった?」
外で待っていた亜美お姉ちゃんが、感想を聞いてくる。
「うん、楽しかったよ」
「そう、よかった」
「今日はありがとうございました!」
「いえいえ……そうだ、ここのレストランでお昼を食べない?」
「えっ、いいの!?」
「えぇ」
「わ~い!」
飛び跳ねて喜ぶあたしに、亜美お姉ちゃんがふわりとした優しい笑顔で応えてくれた。
「大きい病院だなぁ」
次の日。あたしが病院の受付付近に行くと、亜美お姉ちゃんが手を振りながらこちらに来てくれた。
「あ、亜美お姉ちゃん」
「おはよう、ほたるちゃん」
「今日はよろしくお願いします!」
「いえいえ、じゃあまわりましょうか」
そうしてあたしは採血をしたり心電図を取ったりと、とにかく色々な検査をした。
『長いわね~』
『病院はそういう場所ですから』
『どこも悪いとこ、なければいいわね!』
『くすっ、そんなにほたるの体が心配ですか?』
『体じゃなくて、ほたる全部が心配なの!』
『全部?』
『そーよ! わたしたちはお姉さんなんだから、ほたるを護ってあげないと』
『ふふっ、そうですね』
二人の心配に感謝をしつつ病院を巡っていると、最後の検査になった。
「心療内科?」
「えぇ……本当は健康診断には入ってないんだけど、今回は特別よ?」
「ふ~ん」
心療内科。ここって、心の病気の人が受ける所じゃないのかな。あたし病気だと思われてるのかな?
「あ、気にしないでね? 念の為に受けられるものは受けておこうってだけだから」
「そっか」
診療室のドアを開けると、綺麗な女医さんがニコッと微笑みながら迎えてくれた。
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
「では、初めの質問です……土萠さん、最近悩みはありますか?」
「悩み? う~ん」
「ふふっ、ムリに思い出さなくてもいいですよ?」
「あ、はい……」
『な~んだ、てっきりクイズとか出してくれると思ったのに』
『そういう検査もありますが、これはカウンセリングみたいですね』
『センセー、クイズ出してよ~』
「ナイン、ちょっと黙ってて……」
『ぶー』
「ふむ……」
先生がカルテに何かを書き綴っている。ひょっとして、バレているのだろうか。不安が心を巡る中、次の質問であたしは凍り付いた。
「では……頭の中で、声が聞こえたりはしますか?」
「っ!?」
どうしよう。余りにもピンポイントで指摘されて、動揺の色を隠せない。
『おい、やばくねー?』
『まぁ検査ですし……大丈夫じゃないでしょうか……』
「どうしました?」
「あ、いえっ! 聞こえないです!」
「そうですか……」
心臓がドクンドクンする。この子たちのことがバレたら、きっとみんな消し去ろうとする。あの時みたいに。嫌だ。そんなの嫌だよ。
「じゃあ、最後の質問です」
「は、はい」
「ご自分のことは、好きですか?」
「えっ……」
自身のことが好きかと訊かれ、思わず心の中の二人を見る。
『なによ?』
『どうかしましたか?』
「ううん、何でもない」
そうだ。あたしたちは三心同体。全部含めて、あたしなんだ。
「どうですか? ご自分のこと、好きですか?」
先生の質問に、あたしは胸を張って言う。
「大好きです!」
「ふふっ、ありがとうございました。」
先生は優しく笑うと、あたしの頭を撫でてくれた。
「どうだった?」
外で待っていた亜美お姉ちゃんが、感想を聞いてくる。
「うん、楽しかったよ」
「そう、よかった」
「今日はありがとうございました!」
「いえいえ……そうだ、ここのレストランでお昼を食べない?」
「えっ、いいの!?」
「えぇ」
「わ~い!」
飛び跳ねて喜ぶあたしに、亜美お姉ちゃんがふわりとした優しい笑顔で応えてくれた。