ハート・オブ・シスター
side ちびうさ
「何だか騒がしいね」
「そうだね……」
廊下から聞こえる喧騒に振り向くと、何だか物々しい様子が漂っていた。あたしと桃ちゃんがそのことを話していると、せつなさんが血相を変えて廊下を走って行った。あの方向って、確か。
「今の、せつな先生だよね?」
「何かあったのかな」
嫌な予感がする。そして、ある生徒があたしたちの教室に入ってきて言った。
「ねぇねぇ、誰か倒れたんだって!」
「えっ!?」
みんなが、ザワザワし始める。
「救急車も来るらしいよ!」
救急車。そのインパクトのあるワードで、教室の話題は持ちきりになる。
「誰が倒れちゃったんだろうね?」
「あっちって、お習字教室の方だよね?」
血相を変えて走って行ったせつなさん。まさか。まさか。
「大変だったねー」
お習字組の子たちが帰って来る。それなら、きっともうすぐ帰って来るだろう。そう思ったけど、ほたるちゃんの姿は見えなかった。
「ねぇ、お習字教室で倒れた子がいたの?」
クラスメイトの一人が帰ってきたお習字組の子に訊くと、その子は少し気まずそうにしながら口を開いた。
「うん……ほたるちゃんがね、倒れちゃったの」
「えっ!? そうなの!?」
時が凍り付く。今、なんて言った?
「ち、ちびうさちゃん! ほたるちゃんって今……」
泣きそうになりながら、桃ちゃんがあたしに話しかける。
「くっ……」
「あっ、ちびうさちゃん!?」
あたしは騒ぎのする方へ走り出していた。現場に着くと、丁度救急隊員の人達がほたるちゃんを担架で運ぼうとしているところだった。
「ほたるちゃん!?」
「月野さん、下がっていなさい?」
お習字教室の先生があたしを制止する。
「だって……だってほたるちゃんがぁ!?」
「大丈夫、わたしが連れ添うから」
泣きながら取り乱すあたしのそばにせつなさんが来て、肩に手を置きながら力強く言う。
「あ……あたしも一緒に!」
「ダメよ……」
「どうしてよ!?」
「あなたには、ほたるのことをみんなに伝えてほしいの」
「みんなに……」
「そう……できるわね?」
「うん……わかった……」
そうして、ほたるちゃんを乗せた救急車は病院へ向かって行った。
「あ、ちびうさちゃん!」
「もも……ちゃん……」
「ほたるちゃんは!?」
遅れて走ってきた桃ちゃんが、息を切らしながら状況を聞いてくる。
「救急車で……病院に……」
「本当に……そうだったんだ……」
「う……ひっく……」
「ちびうさちゃん……泣かないで……」
「だって……ひっく……」
「自分のせいでちびうさちゃんが悲しんでるって知ったら、ほたるちゃんもきっと悲しんじゃうよ」
「うん……」
桃ちゃんは涙を拭くハンカチを貸してくれた後、優しくあたしを抱きしめてくれた。
「何だか騒がしいね」
「そうだね……」
廊下から聞こえる喧騒に振り向くと、何だか物々しい様子が漂っていた。あたしと桃ちゃんがそのことを話していると、せつなさんが血相を変えて廊下を走って行った。あの方向って、確か。
「今の、せつな先生だよね?」
「何かあったのかな」
嫌な予感がする。そして、ある生徒があたしたちの教室に入ってきて言った。
「ねぇねぇ、誰か倒れたんだって!」
「えっ!?」
みんなが、ザワザワし始める。
「救急車も来るらしいよ!」
救急車。そのインパクトのあるワードで、教室の話題は持ちきりになる。
「誰が倒れちゃったんだろうね?」
「あっちって、お習字教室の方だよね?」
血相を変えて走って行ったせつなさん。まさか。まさか。
「大変だったねー」
お習字組の子たちが帰って来る。それなら、きっともうすぐ帰って来るだろう。そう思ったけど、ほたるちゃんの姿は見えなかった。
「ねぇ、お習字教室で倒れた子がいたの?」
クラスメイトの一人が帰ってきたお習字組の子に訊くと、その子は少し気まずそうにしながら口を開いた。
「うん……ほたるちゃんがね、倒れちゃったの」
「えっ!? そうなの!?」
時が凍り付く。今、なんて言った?
「ち、ちびうさちゃん! ほたるちゃんって今……」
泣きそうになりながら、桃ちゃんがあたしに話しかける。
「くっ……」
「あっ、ちびうさちゃん!?」
あたしは騒ぎのする方へ走り出していた。現場に着くと、丁度救急隊員の人達がほたるちゃんを担架で運ぼうとしているところだった。
「ほたるちゃん!?」
「月野さん、下がっていなさい?」
お習字教室の先生があたしを制止する。
「だって……だってほたるちゃんがぁ!?」
「大丈夫、わたしが連れ添うから」
泣きながら取り乱すあたしのそばにせつなさんが来て、肩に手を置きながら力強く言う。
「あ……あたしも一緒に!」
「ダメよ……」
「どうしてよ!?」
「あなたには、ほたるのことをみんなに伝えてほしいの」
「みんなに……」
「そう……できるわね?」
「うん……わかった……」
そうして、ほたるちゃんを乗せた救急車は病院へ向かって行った。
「あ、ちびうさちゃん!」
「もも……ちゃん……」
「ほたるちゃんは!?」
遅れて走ってきた桃ちゃんが、息を切らしながら状況を聞いてくる。
「救急車で……病院に……」
「本当に……そうだったんだ……」
「う……ひっく……」
「ちびうさちゃん……泣かないで……」
「だって……ひっく……」
「自分のせいでちびうさちゃんが悲しんでるって知ったら、ほたるちゃんもきっと悲しんじゃうよ」
「うん……」
桃ちゃんは涙を拭くハンカチを貸してくれた後、優しくあたしを抱きしめてくれた。