何度でもその手を
そして時は過ぎ。
ネヘレニアを倒したあたしたちは平和な生活を送っていた。
「あっ」
「どうしたの? ちびうさちゃん」
「う、ううん。何でもない」
あの時二人で入った雑貨屋さんの前を通りかかり、思わず声を上げてしまう。今度はなんて思っちゃダメ。だってほたるちゃんは転生してあの頃とは別の人生を歩んでいるのだから。もう一度なんてあたしのエゴだ。そう思っていたら。
「ね、このお店に入らない?」
「えっ?」
「あたし、新しいランプを探してたんだ」
「ほたるちゃん、覚えて……」
ほたるちゃんはウインクしながら、あたしの手を引いてお店へ向かった。
「よかった、まだあった!」
そう言ってあの時買おうとしたランプを手に取るほたるちゃん。
「買うの?」
あの時と同じセリフで訊くと。
「うん。実はそのつもりでちびうさちゃんを誘ったの」
ペロッと舌を出して笑う姿からは、もう寂し気な雰囲気を感じなかった。
「あれ?」
素っ頓狂なうさぎの声がする。まるであの時を再現したかのように。
「何だか見覚えのあるシチュエーションだな」
「まもちゃん、うさぎお姉ちゃん」
「またランプを見に来たの?」
「うん! あの時から一目惚れしてたんだ」
二人と楽しそうに笑いあうほたるちゃんを見て心が温まる。まるであたしの中で欠けていたパズルのピースがカチッと音を立てて合わさったかのような気持ちだった。
「じゃあ、今度こそ一緒に……」
「うん。うさぎお姉ちゃんたちのお邪魔じゃなければね」
「オレたちはいいぞって、ほたるが生まれ変わる前から言ってるだろ?」
「えへへっ、ありがと。お会計してくるね」
そう言って、ほたるちゃんはランプを持ってレジへ向かって行った。
「よかったね」
「うん……ひっく……」
「泣くなよ。ちびうさが正直な気持ちを伝え続けたから今の関係があるんだぞ?」
「そう、だよね」
ずっと友だちになりたかった。
戦士や敵味方とか関係なく、手を繋いでいたかった。
「お待たせ!」
「じゃあ行こっか」
「うん」
つらい出来事がたくさんあったけど。
それを乗り越えた先にこの子の。
ほたるちゃんの幸せがあったなら嬉しいな。
「ちびうさちゃん」
「えっ」
振り向くと、ほたるちゃんはまっすぐあたしを見ながら言った。
「ありがとう」
どこか儚げだけど、しっかりした意思を感じる優しい笑み。
あたしは色々な意味が込められているであろうその言葉をかみしめながら、ゆっくり頷いてほたるちゃんの手を取った。
「行こ?」
「うん!」
繋いだ手の先から伝わってくるぬくもり。
それは彼女の人生が幸せで溢れていることを物語っているように思えた。
END
ネヘレニアを倒したあたしたちは平和な生活を送っていた。
「あっ」
「どうしたの? ちびうさちゃん」
「う、ううん。何でもない」
あの時二人で入った雑貨屋さんの前を通りかかり、思わず声を上げてしまう。今度はなんて思っちゃダメ。だってほたるちゃんは転生してあの頃とは別の人生を歩んでいるのだから。もう一度なんてあたしのエゴだ。そう思っていたら。
「ね、このお店に入らない?」
「えっ?」
「あたし、新しいランプを探してたんだ」
「ほたるちゃん、覚えて……」
ほたるちゃんはウインクしながら、あたしの手を引いてお店へ向かった。
「よかった、まだあった!」
そう言ってあの時買おうとしたランプを手に取るほたるちゃん。
「買うの?」
あの時と同じセリフで訊くと。
「うん。実はそのつもりでちびうさちゃんを誘ったの」
ペロッと舌を出して笑う姿からは、もう寂し気な雰囲気を感じなかった。
「あれ?」
素っ頓狂なうさぎの声がする。まるであの時を再現したかのように。
「何だか見覚えのあるシチュエーションだな」
「まもちゃん、うさぎお姉ちゃん」
「またランプを見に来たの?」
「うん! あの時から一目惚れしてたんだ」
二人と楽しそうに笑いあうほたるちゃんを見て心が温まる。まるであたしの中で欠けていたパズルのピースがカチッと音を立てて合わさったかのような気持ちだった。
「じゃあ、今度こそ一緒に……」
「うん。うさぎお姉ちゃんたちのお邪魔じゃなければね」
「オレたちはいいぞって、ほたるが生まれ変わる前から言ってるだろ?」
「えへへっ、ありがと。お会計してくるね」
そう言って、ほたるちゃんはランプを持ってレジへ向かって行った。
「よかったね」
「うん……ひっく……」
「泣くなよ。ちびうさが正直な気持ちを伝え続けたから今の関係があるんだぞ?」
「そう、だよね」
ずっと友だちになりたかった。
戦士や敵味方とか関係なく、手を繋いでいたかった。
「お待たせ!」
「じゃあ行こっか」
「うん」
つらい出来事がたくさんあったけど。
それを乗り越えた先にこの子の。
ほたるちゃんの幸せがあったなら嬉しいな。
「ちびうさちゃん」
「えっ」
振り向くと、ほたるちゃんはまっすぐあたしを見ながら言った。
「ありがとう」
どこか儚げだけど、しっかりした意思を感じる優しい笑み。
あたしは色々な意味が込められているであろうその言葉をかみしめながら、ゆっくり頷いてほたるちゃんの手を取った。
「行こ?」
「うん!」
繋いだ手の先から伝わってくるぬくもり。
それは彼女の人生が幸せで溢れていることを物語っているように思えた。
END
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