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祝福の花

 時は流れ。ハーバードへの留学を終え日本へ帰国してから初めて迎える誕生日。帰国日が七月だった為、先日あったうさの誕生日はエアメールでのお祝いになってしまった。オレは心の中で申し訳なさを感じていたが、こうして東京に戻って来ることができ、パーティーまで開いてもらえると聞いて感謝の念が込み上げてくる。

「そろそろ時間だな……」

 オレは支度を済ませてパーティー会場であるパーラークラウンへ向かった。



「まもちゃん!」
「お誕生日おめでとう!」

 店内へ入ると、クラッカーに合わせた祝福の声と愛する恋人からのハグが待っていた。

「おい、みんなの前だぞ?」
「いーじゃない、もう婚約してるんだし」
「まぁ、そうだけど……」

 満更でもない気持ちでうさの頭を撫でていると、それを見ていたみんなから冷やかしの言葉を浴びせられる。

「全く……帰ってきた途端、無限にイチャつく流れは止められないの?」
「まぁまぁ美奈……久しぶりに全員揃ってパーティーできるんだから大目に見てやれよ」
「アルテミスの言う通りだよ。あんなに嬉しそうなうさぎの顔、見てるこっちも嬉しくなるじゃないか」
「まこちゃんは甘すぎるのよ、料理上手なだけに」
「全然上手くないわよ? 美奈」
「あたしもレイちゃんに一票」
「レイちゃんも亜美ちゃんも冷たーい!」
「あははっ、ゴメンね? みんな」
「と、とりあえず席に着こう」

 オレは抱きついたまま離れないうさを引きずりながら席へ歩いていった。

「あら、ウェルカムブレッシングは終わったの?」
「遠くから見ていても面白かったよ、プリンス」
「改めて、お誕生日おめでとう」
「アルテミスったら、ちびうさちゃんが居ないのに全員揃ったなんて言うんだから」

 席へ着くとみちる、はるか、せつな、ほたるの四人もそれぞれの言葉で迎えてくれた。

「ありがとう。こうしてみんなで一緒に会うのは帰国日以来だな」
「そうね。みんなまもちゃんが帰って来るのを待ってたのよ?」

 ほたるに抱きかかえられていたルナの言葉を聞き、こうして待っていてくれる人がいることは幸せなんだなと再認識する。

「じゃあ、パーティーを始めましょうか」
「わーい。ホールケーキからね!」
「いきなり甘いものかよ。うさらしいな」
「えへへっ、あーんしてあげる」

 そんなこんなでオレはみんなから一生忘れることはない想い出を受け取ることができた。
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