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いつか同じ日に生まれてくる娘へ

「お誕生日おめでとう!」

 今日だけは特別待遇ということで貸し切りにしてもらったパーラークラウンの一角。クラッカーと拍手の音があたしの成長を祝福してくれていた。

「えへへっ、ありがとう!」

 みんなからお祝いしてもらえてとっても嬉しいのに、どこか寂しい気持ちもある。それは二人がいないから。一人はあたしと同じ誕生日で未来から来た娘。そしてもう一人は。

「なーに浮かない顔してんのよ!」
「美奈P……」
「表情に出てるわよ? まもちゃんにもお祝いしてもらいたかったって」

 全てを見透かしたような美奈Pの言葉に動揺を隠せないあたし。

「それは仕方ないわ、美奈子ちゃん」
「亜美ちゃん」
「衛さんだって海の向こうで頑張ってるんだもの。それにきっと、今同じタイミングでうさぎちゃんのことを祝福してるに違いないわ」
「国境を越えてラブラブだもんな」
「見てるこっちに火が付きそうなくらいね」
「もう、みんなってば!」

 亜美ちゃんに続いてまこちゃんとレイちゃんも言う。傍からすれば冷やかされているようにも見えるけど、あたしには分かっていた。みんなが優しすぎるくらい気遣ってくれていることを。

「いつまでも泣いてちゃダメだよね……」
「あら、泣きたい時は思いっきり泣いてもいいのよ?」
「みちるさん」
「だって言うだろ? 病める時も健やかなる時も愛し続けろって」

 みちるさんの言葉に反応したはるかさんが続けて言う。

「あなたたちはかけがえのない絆で結ばれているんだから、たとえ大切な日だったとしても正直に生きていいのよ」
「そうだよ、あたし感情豊かなうさぎお姉ちゃんが好き!」
「せつなさん、ほたるちゃん……うん。そうだよね」

 二人もちびうさがいなくなって寂しいはずなのに、あたしの心配をしてくれている。

「みんな、ありがとう」

 何を迷っていたんだろう。あたしにはこんなに素敵な仲間たちがいるのに。ちょっとセンチメンタルになってたかな。

「よーし、今日は騒ごう!」
「お、うさぎらしくなったじゃん」
「大丈夫?」
「うん。みんなのおかげで寂しい気持ちも吹っ飛んじゃったよ!」

 強がりなんかじゃなく、本当に元気をもらえたから。今日はまた一つ大人になれたことを喜ぼう。その方がきっとまもちゃんも笑ってくれるから。
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