愛のリンク
side うさぎ
分かってた。あの子はまもちゃんとは違うって、頭では理解できていたのに。愛する人と同じパワーを感じて、それが心に突き刺さって混乱してしまった。
「まもちゃん……逢いたいよ……」
どうしてこんなに情けないんだろう。あたしが少しでも安心できるよう、まもちゃんはエリオスを呼んでくれたのに。
「逆に思い出して、取り乱しちゃうなんて」
パートナー失格だよね。エリオスにも悪いことしちゃったな。そんなことを考えながら空を見上げていると。
「えっ?」
"彼"は倉庫の陰から現れた。
「よかった。ご無事で」
「エリオス……どうしてここが?」
「貴女を大切に想う方から訊きました」
ニコッと笑うその顔は、あたしを甘やかしてくれる時の"彼"とそっくりで。
「うあぁっ!?」
また涙が止まらない。頭も痛い。どうしよう、このままじゃ銀水晶のパワーが暴走しちゃう。
『うさ!』
この呼び方は。
『落ち着くんだ』
少し低くて、包みこんでくれるような声色は。
「まも……ちゃん?」
『深呼吸して……オレの目を見てくれ』
呼吸を整えて目を開けると、そこには愛する人ではなく"彼"が柔らかな笑みで立っていた。
「エリオス……?」
『今のわたしはプリンスと同調しているんです』
「同調って?」
『プリンスとわたしは繋がっている……儀式を終えた直後だからこそ、できることです』
よく分からないけど、目の前の少年は"エリオス"であって"まもちゃん"でもあるってこと?
『本当に寂しい想いをさせてしまったな』
「まもちゃん……」
『エリオスにも無理を言ってしまった……おかげでうさにも怖い思いを……』
「ううん。全部まもちゃんの優しさだもん……あたしもエリオスも分かってるよ」
『ありがとう』
笑った表情がまもちゃんと重なる。見た目は全然似てないけれど、やっぱり分身のような存在なんだよね。
『うさ……オレたちはどれだけ遠く離れていても、ずっと一緒だ』
「……うん!」
いつの間にか銀水晶のパワーは治まっていた。それどころかゴールデンクリスタルのパワーも注ぎ込んでくるようで、何だか心地良い気持ち。
『オレは元気でやってる。うさも頑張れよ?』
「えへへっ、頑張るよ」
『じゃあな。後はエリオスを見送ってやってくれ』
「うん。またね!」
そう言うと"彼"はまたエリオスの雰囲気に戻っていくように見えた。
「そうか……」
「どうしたの?」
「プリンスがわたしをここへ呼んだ理由が分かりました」
「あたしを慰めてくれるためなんじゃ?」
「勿論それもありますが、儀式は終わっていなかったんです」
「どういうこと?」
「もうわたしとプリンスだけの話ではなく、貴女も関わっているということです」
「ふぇ?」
エリオスの話は難しくてよく飲み込めない。つまり、どういうことなのかな?
「この地球は月とも繋がっている……つまりプリンスとプリンセスも繋がっている」
「あたしと……まもちゃんが?」
「はい。わたしとプリンスがパワーを送り合い共鳴した後、貴女ともそれを行う必要があったのです」
「あたしとも?」
「それがこの星と月の調和を生む」
「うーん……じゃあエリオスを通してあたしとまもちゃんが繋がれたってこと?」
「要約するとそういうことになります」
「そっか。まもちゃん、そこまで計算してたのかなぁ」
「おそらく。本当に敬服します」
「当然よ! まもちゃんは頭も良くてカッコいいもの」
「ふふっ、そうですね」
今日何度目かの笑顔を見せてくれるエリオス。
そうだよね。この子もあたしと同じで、まもちゃんを一番に考えてくれる大事な存在。何だか不思議な感覚。まもちゃんの分身でもあり、まもちゃんを想ってくれる人でもあるなんて。
「くすっ」
「プリンセス?」
「ううん。これからもまもちゃんのこと、よろしくね」
「……はい!」
くしゃっと彼の頭を撫でる。少し気恥ずかしそうにする様子は、見た目相応の可愛らしさに溢れていた。
分かってた。あの子はまもちゃんとは違うって、頭では理解できていたのに。愛する人と同じパワーを感じて、それが心に突き刺さって混乱してしまった。
「まもちゃん……逢いたいよ……」
どうしてこんなに情けないんだろう。あたしが少しでも安心できるよう、まもちゃんはエリオスを呼んでくれたのに。
「逆に思い出して、取り乱しちゃうなんて」
パートナー失格だよね。エリオスにも悪いことしちゃったな。そんなことを考えながら空を見上げていると。
「えっ?」
"彼"は倉庫の陰から現れた。
「よかった。ご無事で」
「エリオス……どうしてここが?」
「貴女を大切に想う方から訊きました」
ニコッと笑うその顔は、あたしを甘やかしてくれる時の"彼"とそっくりで。
「うあぁっ!?」
また涙が止まらない。頭も痛い。どうしよう、このままじゃ銀水晶のパワーが暴走しちゃう。
『うさ!』
この呼び方は。
『落ち着くんだ』
少し低くて、包みこんでくれるような声色は。
「まも……ちゃん?」
『深呼吸して……オレの目を見てくれ』
呼吸を整えて目を開けると、そこには愛する人ではなく"彼"が柔らかな笑みで立っていた。
「エリオス……?」
『今のわたしはプリンスと同調しているんです』
「同調って?」
『プリンスとわたしは繋がっている……儀式を終えた直後だからこそ、できることです』
よく分からないけど、目の前の少年は"エリオス"であって"まもちゃん"でもあるってこと?
『本当に寂しい想いをさせてしまったな』
「まもちゃん……」
『エリオスにも無理を言ってしまった……おかげでうさにも怖い思いを……』
「ううん。全部まもちゃんの優しさだもん……あたしもエリオスも分かってるよ」
『ありがとう』
笑った表情がまもちゃんと重なる。見た目は全然似てないけれど、やっぱり分身のような存在なんだよね。
『うさ……オレたちはどれだけ遠く離れていても、ずっと一緒だ』
「……うん!」
いつの間にか銀水晶のパワーは治まっていた。それどころかゴールデンクリスタルのパワーも注ぎ込んでくるようで、何だか心地良い気持ち。
『オレは元気でやってる。うさも頑張れよ?』
「えへへっ、頑張るよ」
『じゃあな。後はエリオスを見送ってやってくれ』
「うん。またね!」
そう言うと"彼"はまたエリオスの雰囲気に戻っていくように見えた。
「そうか……」
「どうしたの?」
「プリンスがわたしをここへ呼んだ理由が分かりました」
「あたしを慰めてくれるためなんじゃ?」
「勿論それもありますが、儀式は終わっていなかったんです」
「どういうこと?」
「もうわたしとプリンスだけの話ではなく、貴女も関わっているということです」
「ふぇ?」
エリオスの話は難しくてよく飲み込めない。つまり、どういうことなのかな?
「この地球は月とも繋がっている……つまりプリンスとプリンセスも繋がっている」
「あたしと……まもちゃんが?」
「はい。わたしとプリンスがパワーを送り合い共鳴した後、貴女ともそれを行う必要があったのです」
「あたしとも?」
「それがこの星と月の調和を生む」
「うーん……じゃあエリオスを通してあたしとまもちゃんが繋がれたってこと?」
「要約するとそういうことになります」
「そっか。まもちゃん、そこまで計算してたのかなぁ」
「おそらく。本当に敬服します」
「当然よ! まもちゃんは頭も良くてカッコいいもの」
「ふふっ、そうですね」
今日何度目かの笑顔を見せてくれるエリオス。
そうだよね。この子もあたしと同じで、まもちゃんを一番に考えてくれる大事な存在。何だか不思議な感覚。まもちゃんの分身でもあり、まもちゃんを想ってくれる人でもあるなんて。
「くすっ」
「プリンセス?」
「ううん。これからもまもちゃんのこと、よろしくね」
「……はい!」
くしゃっと彼の頭を撫でる。少し気恥ずかしそうにする様子は、見た目相応の可愛らしさに溢れていた。