愛のリンク
side 衛
「何か不思議な感じだな」
オレの住んでいる部屋。つまりハーバード大学に併設されている寮の一室でソレは行われていた。
「プリンスがゴールデンクリスタルを目覚めさせてから、初めての儀式ですしね」
椅子に座っているオレの正面に立ち、両方の掌を向けてパワーを送り続けるエリオス。
「けど、定期的にこんな儀式をしなくちゃいけないとはな。迷惑をかけてすまない」
「何を仰るのですか。これはプリンスが地球を……いや、大切な人を護るために必要なことです」
「エリオス……ありがとう」
互いに視線を交えて笑みを浮かべる。
オレたちの言う儀式。それはオレの体に眠るゴールデンクリスタルのパワーを維持するために一年周期でエリオスを召喚し、パワーを送り合い共鳴させるというものだった。
それを行うことでオレとエリオス。地球とエリュシオンのパワーが調和し、安定したコントロールができると聞いた。
「ふふっ」
「どうしました?」
「いや、こんな形で再会できるのも嬉しいなと思ってな」
「わたしもプリンスに会えて嬉しいですよ」
優しくも使命を帯びた瞳を見てどこか安心する自分がいる。元々みんなと離れて暮らしていたこともあり、少し寂しさも感じ始めていた頃の訪問だったから素直に嬉しかった。他愛のない話をすることも、パワーを注いでもらうことも。そして何よりエリオスがオレを……地球を護りたいと思う心が感じられて満たされていく気分だった。
「もう少しで終わりますので」
「あぁ」
「プリンス?」
エリオスがオレの表情を見て不思議そうな顔をする。やはり隠せていなかったようだ。
「集中してるところ悪いんだが、ちょっと話はできるか?」
「はい。問題ありません」
「実は、一つワガママを聞いてほしいんだ」
「ワガママですか?」
「東京へ行ってもらいたい」
「トーキョー……もしや」
「うさとは定期的なエアメールでしかやりとりできていなくてな」
オレの分身ともいえるエリオスと会って、少しでも彼女が安心するのなら。そんな願いを見透かすように頷くエリオス。
「もちろん構いませんが、その分エリュシオンへ戻る時間が遅れてしまいますよ?」
「その間の地球はオレが護る。だからうさへオレの想いを伝えてくれないか?」
「……承知しました。ただ儀式が終わった直後なので、わたしとプリンスは普段より強く繋がった状態にあります」
「というと?」
「わたしがプリンセスと会った際、プリンセスの貴方を想う気持ちが強く出ることが予想されます」
「それはどういう意味だ?」
「プリンセスのパワーがわたしと共鳴し、遠く離れた場所にいるプリンスにも影響が出る恐れが……」
なるほど。確かにうさがエリオスと会うことでオレを思い出し、感情的になってしまうことは予想できる。
少し思案したオレは、エリオスへそうなった時の対処法を伝えることにした。
「……そんなことが可能なのでしょうか?」
「オレの考えが合っていれば大丈夫だと思う」
「分かりました」
エリオスは両手を下ろし、深呼吸をしていた。精神を整えているようにも見えるが、東京でのことを思案しているのかもしれない。
「迷惑かけてすまないな」
「いえ。プリンスの願いはわたしの願いでもありますから」
「儀式は終わったのか?」
「えぇ」
オレは椅子から立ち上がり、彼の手を強く握った。
「任せたぞ」
「プリンスも……わたしがエリュシオンへ戻るまでの間、お願いします」
「何があってもこの星を護るよ」
「はい。では……」
エリオスは力強く微笑むと、祈りを捧げながら姿を消した。
「一緒にワープできればよかったんだが、そんなことに能力を使っちゃダメだよな」
愛する人のためなら無鉄砲になりやすい所は相変わらずだな。なんてことを思いながら、オレは自分への戒めも込めてパワーを地球全体へ巡らせるよう集中を始めた。
「何か不思議な感じだな」
オレの住んでいる部屋。つまりハーバード大学に併設されている寮の一室でソレは行われていた。
「プリンスがゴールデンクリスタルを目覚めさせてから、初めての儀式ですしね」
椅子に座っているオレの正面に立ち、両方の掌を向けてパワーを送り続けるエリオス。
「けど、定期的にこんな儀式をしなくちゃいけないとはな。迷惑をかけてすまない」
「何を仰るのですか。これはプリンスが地球を……いや、大切な人を護るために必要なことです」
「エリオス……ありがとう」
互いに視線を交えて笑みを浮かべる。
オレたちの言う儀式。それはオレの体に眠るゴールデンクリスタルのパワーを維持するために一年周期でエリオスを召喚し、パワーを送り合い共鳴させるというものだった。
それを行うことでオレとエリオス。地球とエリュシオンのパワーが調和し、安定したコントロールができると聞いた。
「ふふっ」
「どうしました?」
「いや、こんな形で再会できるのも嬉しいなと思ってな」
「わたしもプリンスに会えて嬉しいですよ」
優しくも使命を帯びた瞳を見てどこか安心する自分がいる。元々みんなと離れて暮らしていたこともあり、少し寂しさも感じ始めていた頃の訪問だったから素直に嬉しかった。他愛のない話をすることも、パワーを注いでもらうことも。そして何よりエリオスがオレを……地球を護りたいと思う心が感じられて満たされていく気分だった。
「もう少しで終わりますので」
「あぁ」
「プリンス?」
エリオスがオレの表情を見て不思議そうな顔をする。やはり隠せていなかったようだ。
「集中してるところ悪いんだが、ちょっと話はできるか?」
「はい。問題ありません」
「実は、一つワガママを聞いてほしいんだ」
「ワガママですか?」
「東京へ行ってもらいたい」
「トーキョー……もしや」
「うさとは定期的なエアメールでしかやりとりできていなくてな」
オレの分身ともいえるエリオスと会って、少しでも彼女が安心するのなら。そんな願いを見透かすように頷くエリオス。
「もちろん構いませんが、その分エリュシオンへ戻る時間が遅れてしまいますよ?」
「その間の地球はオレが護る。だからうさへオレの想いを伝えてくれないか?」
「……承知しました。ただ儀式が終わった直後なので、わたしとプリンスは普段より強く繋がった状態にあります」
「というと?」
「わたしがプリンセスと会った際、プリンセスの貴方を想う気持ちが強く出ることが予想されます」
「それはどういう意味だ?」
「プリンセスのパワーがわたしと共鳴し、遠く離れた場所にいるプリンスにも影響が出る恐れが……」
なるほど。確かにうさがエリオスと会うことでオレを思い出し、感情的になってしまうことは予想できる。
少し思案したオレは、エリオスへそうなった時の対処法を伝えることにした。
「……そんなことが可能なのでしょうか?」
「オレの考えが合っていれば大丈夫だと思う」
「分かりました」
エリオスは両手を下ろし、深呼吸をしていた。精神を整えているようにも見えるが、東京でのことを思案しているのかもしれない。
「迷惑かけてすまないな」
「いえ。プリンスの願いはわたしの願いでもありますから」
「儀式は終わったのか?」
「えぇ」
オレは椅子から立ち上がり、彼の手を強く握った。
「任せたぞ」
「プリンスも……わたしがエリュシオンへ戻るまでの間、お願いします」
「何があってもこの星を護るよ」
「はい。では……」
エリオスは力強く微笑むと、祈りを捧げながら姿を消した。
「一緒にワープできればよかったんだが、そんなことに能力を使っちゃダメだよな」
愛する人のためなら無鉄砲になりやすい所は相変わらずだな。なんてことを思いながら、オレは自分への戒めも込めてパワーを地球全体へ巡らせるよう集中を始めた。
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