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最愛の娘へ

 外へ戻ってきたあたしたちは、みんなで心配そうにほたるちゃんを見つめていた。

「ほたるちゃん」
「大丈夫」

 あたしの呼びかけに笑顔で答える。

「もう独りぼっちじゃないから」
「ほたる」
「今のあたしには大切な家族と、大好きな仲間がいる」

 空を見上げて、スッキリとした表情で続ける。

「だから……幸せだよ」

 それは年齢に見合わないくらい儚げで。強い意志を持った言葉だった。

「そういえば、行ったことなかったの」
「えっ?」
「お墓参り」
「そっか……」
「今度の休みに行ってくるね」
「一人で?」
「ううん。あたしの家族を紹介したいの」

 そう言ってほたるちゃんは、はるかさんたちの方を振り向いた。

「一緒に来てくれる?」
「あぁ」
「もちろんよ」
「ご挨拶しなきゃね」

 三人は優しい表情で言った。

「強いわね、ほたるちゃん」
「えぇ。優しくて芯の強い子よ」

 レイちゃんと亜美ちゃんが、少しだけ涙を流しながら言う。

「よし! 今日はほたるちゃんの好きなもの、何でも作ってあげるよ!」
「まこお姉ちゃん」
「あたしも、どこへでも遊びに連れてってあげる!」
「ふふっ、美奈お姉ちゃんらしいね」

 柔らかい笑みで応えてくれるほたるちゃん。



 この笑顔を護っていきたい。

 この子の幸せを見護り続けたい。

 あたしじゃ親代わりにはなれないけれど。

 お姉ちゃんと慕ってくれるこの子に。

 どうか、幸せな日々が続きますように。



 END
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