Chapter.46[ガルバディア]
~第46章 part.1~
すっかり沈んだ太陽は、それまでの気温も一緒に地平線の彼方へと奪ってしまったようだ。
日が差している時とそうでない時の気温の差は、そこに存在している者にしか実感はできないだろう。
砂漠の収容所の付近には、いつでも数台の軍用車が待機させてある。
それは以前、ここを脱出した頃から何も変わっていない、軍の怠慢の小さな証。
降下してきた際、使用したパラシュートはそこら辺に埋めてきたが、セルフィは敢えて1つだけ簡単に丸めて運んできていた。
その時には特に何も考えなどは無かったのだが、後で役に立つかもしれないという、それはもしかしたら母親や女性特有の勘なのかもしれない。
車はあったが、肝心のキーが無ければエンジンを掛けることも、ましてやドアを開けることさえできない。
ゼルは、降下する前にそのことも考えるべきだったと思ったが、今更なことである。
未だゼルに背負われたままのスコールはピクリとも動かない。
彼の武器を、自分のものと一緒にここまで運んできたアーヴァインが、それらを纏めて地面に置いた。
「…アーヴィン?」
「ちょ~っと待っててね」
どこから取り出したのか、細い針金をドアの鍵穴に差込み、カチカチと小さな音を立て始めた。
ゼルとセルフィはじっとその手元を見守った。
微かな音は聞こえ続けるも、その待っている時間は酷く長く感じられる。
ついに痺れを切らしたセルフィが声を掛けた。
「…アーヴィン、開けられる?」
「…う~ん、暗くて手元が良く見えない」
スコールを背負ったままのゼルが、つかつかとアーヴァインの背後に歩み寄った。
「ええい、まどろっこしい!!」
「え、ちょっ! うわっ!!」
鈍い音を立てて、ドアの窓ガラスが粉々に粉砕してしまった。
間一髪で裂けたアーヴァインの頭上には、砕けたガラスの破片が降り注ぎ、ゼルの回し蹴りが決まったことをそこで初めて理解した。
「あ、あぶないじゃないか!」
「ゼルぅ…」
「ほら、これで開いたぞ!」
足を元の位置に戻して、ゼルは荒い鼻息を噴出した。
サンシェードを開いたところに鍵を隠しておくのは、ガルバディアではいつものこと。
運転席に座ったアーヴァインが、それをゼルに見せ付けるように指で摘みあげた。
「さて、これからどこへ行く? デリングシティでヘリでも奪う?それとも…」
「アホか! デリングシティになんて、町に入る前にとっ捕まえられる!」
「…み、南へ…」
「スコール!? 大丈夫なの?」
「スコール、気がついたのか」
「…海、海沿いを…」
「スコール、何だって?」
「海沿いに南へ行けって!」
「南!? どこ行こうってんだ!?」
「とにかく、行こう」
後部座席に寝かされたスコールに膝を貸しているセルフィは、彼の微かな呟きを2人に伝えた。
普段、何も無いときにこんな格好をしようものならアーヴァインは怒るだろうか、そんな微かな思いをセルフィは浮かべていた。
彼は何も言わない。
それは、スコールだから?
酷い怪我をしているから?
表情の一つでも変わったのならば、それは小さくても妬いてくれていると判る。
普段と変わらぬ夫の後頭部を見つめながら、複雑な気持ちが沸いていた。
助手席でがさごそと何やら探しているのか、ゼルがあちこち見ている。
運転を続けるアーヴァインや、動けないスコール、彼の頭を支えるセルフィ以外で、自由に動けるのはゼルだけだ。
「う~ん、目ぼしい物はないな」
その動きはシートの裏や底にまで及び、遂にはスコールを跨いで後部座席の後ろのカーゴにまで。
「お、携行缶があったぜ。…空だけどな。…ん、なんだこれ? ペニシリン?頭痛持ちでも乗ってたのか?」
小さく掛け声をかけて、ゼルが助手席に戻った。
どうやらこの先役に立ちそうなものは発見できなかったらしい。
窓ガラスを砕いてしまった為に暖房など意味はなく、車内には夜の砂漠の冷気が吹き抜けていた。
荷物になるとわかっていて、それでも持ってきていたパラシュートをありがたいと思う。
なんとか我慢できる自分たちと違い、怪我や投薬によって己自身で体温を調節できないスコールには堪える。
風をよく孕む造りになっているパラシュートは、逆に言えば風を通さない。
セルフィは自分の考えが正解だったと安堵しつつ、それでスコールを包み込んだ。
「…うっ」
「!! スコール!?」
「どうした?」
こちらの声に素早く反応して振り返ったのは、ゼルだ。
スコールの小さなうめき声に、無意識に触れた彼の頭部の熱に、セルフィははっとする。
ガルバディア軍の手袋を外し、額の髪を掻き揚げるようにしてそこに触れた。
「…すごい熱や! 早うお医者さんに診せな!!」
「んなこと言っても、医者どころかまず町を探すほうが先だぜ」
「明かりだ!」
運転しているため、こちらを振り向けないアーヴァインが嬉しそうに叫ぶ。
それに反応してゼルも姿勢を戻した。
なるほど、前方に小さいが、星とは違う人口の光があるのが見える。
車を近づけて、3人は多少なりとも気を落とした。
人家かと希望を抱いた明かりは、無人の給油所だった。
アーヴァインとゼルは車の給油に取り掛かり、苦しそうに呻くスコールに一言謝罪の言葉を掛けてセルフィは建物の中に入った。
中には無人の販売機が不気味な稼動音を立てているだけだった。
それでも、そこで暖かい飲み物を手に入れることができたセルフィは、ついでとばかりに水で濡らしたタオルを何枚か防水袋に入れて持った。
車に戻り、2人に飲み物を渡して再び後部座席に腰を下ろす。
スコールの顔の半分は、痛々しいほどにギプスで固められており、見える半分は熱で真っ赤になっている。
車を走らせ始めた瞬間、惰性で動く身体を堪えながら、袋から取り出したタオルをそこに当てた。
「スコールはどうだ?」
「眠ったままや…。熱は全然引かへんし、この寒さも辛いと思う。 …ね、スコールの顔、どないしたんやろ?」
「…さあな、目が覚めたら本人に聞くしかねえだろ」
いつの間にか景色は砂漠から荒野へと変わっていた。
ちらほらと植物が目に付くようになってきている。
海が近づいたのだ。
この海沿いを南下する。
スコールがそう望んだからだ。
このまま南へ行けば、何がある?
「ゼル、先に寝てくれないかな?」
「あ?俺はまだいいぜ」
「そうじゃないよ~。どのくらいかかるかわからないから、後で僕と交代してくれない?」
「あぁ、そういうことか。わかった。んじゃ、先に寝るぜ」
「セフィも無理しないで、少し眠ったほうがいいよ。スコールのこと、心配なのはわかるけど、ちょっと妬けちゃうな~」
「! アーヴィン、…うん、ごめんね」
謝罪の言葉を口にしていると言うのに、セルフィは思わず口元が緩んでしまう。
やっぱり、妬いてたんだ。
相変わらず、表情に出にくい彼の感情を少しでも読み取ることができたように思えてしまう。
膝の上のスコールの頭部は熱のせいで暖かくて、何度かタオルを取り替えていたセルフィだったが、その暖かさについ身を任せてしまっていた。
声も物音もしなくなった静かな車内で、アーヴァインはひたすら車を走らせ続けていた。
車はやがて草原に差し掛かったようだ。
昼間だったならいい気分を味わうことができたのだろうが、車のライトだけが頼りの暗い道では周りの景色を見る余裕など無い。
何時間、こうして車を走らせただろうか?
僅かに空が白んできたのがわかった。
陽が沈んでから暗くなるまではあっという間だ。
逆に明るくなり始めてから、日が昇るまでは時間の流れがゆっくりに感じる。
一面に真っ白な靄がかかっていた。
夜通し運転し続けてきたアーヴァインの手は、冷たい空気に晒されてすっかりかじかんでしまっていた。
丘の上らしきところで、一旦車を止める。
「ゼル、そろそろ代わってくれない?」
「…ん、あぁ、おう……、……あれ、もう朝じゃねーか。どんだけ頑張ったんだよ、お前。もっと早く起こしてくれりゃいいのに」
そう言いながらも、助手席のドアを開けて車を降りたゼルは運転席に回ってきた。
アーヴァインはゼルが座っていた席に移動して、腰を深く落としながら帽子で顔を覆ってしまった。
その物音で、セルフィも目を覚ましたようだ。
「あ、寝てしもうた! ……わあ、ゼル、海が見える!きれいやな~」
奴がここまで無理をしたのは、この景色をセルフィに見せたかったからだろうとゼルは思った。
「相変わらず、キザな野郎だ」
「えっ、ゼル何か言った?」
「いや、なんでもねえ。…それより…」
言いながら、ゼルは車を走らせ始める。
窓の外を見ていたセルフィは、スコールのタオルを取り替えながらゼルの言葉を待った。
「昔はセルフィのほうがよく運転してたと思うんだが、今は違うんだな」
「…アーヴィン、寝ちゃってる?」
「おう」
「これ言うとアーヴィン怒るから、私から聞いたって言わないでね。…あの時、アーヴィン、運転資格持ってなかったんだよ」
「マジかよ!」
「私と結婚してトラビアに来てから取ったの。私、お腹に赤ちゃんがいたし、アーヴィンはりきっちゃって!」
「…へぇ、意外と知らなかったことってあるんだな」
「ふふ、そうだね」
「ところで、どこ行きゃいいんだ?」
「ここまで来てまだわからないの?」
「お前はわかってんのかよ?」
「わからないほうがおかしい! ウィンヒルよ!」
→part.2
すっかり沈んだ太陽は、それまでの気温も一緒に地平線の彼方へと奪ってしまったようだ。
日が差している時とそうでない時の気温の差は、そこに存在している者にしか実感はできないだろう。
砂漠の収容所の付近には、いつでも数台の軍用車が待機させてある。
それは以前、ここを脱出した頃から何も変わっていない、軍の怠慢の小さな証。
降下してきた際、使用したパラシュートはそこら辺に埋めてきたが、セルフィは敢えて1つだけ簡単に丸めて運んできていた。
その時には特に何も考えなどは無かったのだが、後で役に立つかもしれないという、それはもしかしたら母親や女性特有の勘なのかもしれない。
車はあったが、肝心のキーが無ければエンジンを掛けることも、ましてやドアを開けることさえできない。
ゼルは、降下する前にそのことも考えるべきだったと思ったが、今更なことである。
未だゼルに背負われたままのスコールはピクリとも動かない。
彼の武器を、自分のものと一緒にここまで運んできたアーヴァインが、それらを纏めて地面に置いた。
「…アーヴィン?」
「ちょ~っと待っててね」
どこから取り出したのか、細い針金をドアの鍵穴に差込み、カチカチと小さな音を立て始めた。
ゼルとセルフィはじっとその手元を見守った。
微かな音は聞こえ続けるも、その待っている時間は酷く長く感じられる。
ついに痺れを切らしたセルフィが声を掛けた。
「…アーヴィン、開けられる?」
「…う~ん、暗くて手元が良く見えない」
スコールを背負ったままのゼルが、つかつかとアーヴァインの背後に歩み寄った。
「ええい、まどろっこしい!!」
「え、ちょっ! うわっ!!」
鈍い音を立てて、ドアの窓ガラスが粉々に粉砕してしまった。
間一髪で裂けたアーヴァインの頭上には、砕けたガラスの破片が降り注ぎ、ゼルの回し蹴りが決まったことをそこで初めて理解した。
「あ、あぶないじゃないか!」
「ゼルぅ…」
「ほら、これで開いたぞ!」
足を元の位置に戻して、ゼルは荒い鼻息を噴出した。
サンシェードを開いたところに鍵を隠しておくのは、ガルバディアではいつものこと。
運転席に座ったアーヴァインが、それをゼルに見せ付けるように指で摘みあげた。
「さて、これからどこへ行く? デリングシティでヘリでも奪う?それとも…」
「アホか! デリングシティになんて、町に入る前にとっ捕まえられる!」
「…み、南へ…」
「スコール!? 大丈夫なの?」
「スコール、気がついたのか」
「…海、海沿いを…」
「スコール、何だって?」
「海沿いに南へ行けって!」
「南!? どこ行こうってんだ!?」
「とにかく、行こう」
後部座席に寝かされたスコールに膝を貸しているセルフィは、彼の微かな呟きを2人に伝えた。
普段、何も無いときにこんな格好をしようものならアーヴァインは怒るだろうか、そんな微かな思いをセルフィは浮かべていた。
彼は何も言わない。
それは、スコールだから?
酷い怪我をしているから?
表情の一つでも変わったのならば、それは小さくても妬いてくれていると判る。
普段と変わらぬ夫の後頭部を見つめながら、複雑な気持ちが沸いていた。
助手席でがさごそと何やら探しているのか、ゼルがあちこち見ている。
運転を続けるアーヴァインや、動けないスコール、彼の頭を支えるセルフィ以外で、自由に動けるのはゼルだけだ。
「う~ん、目ぼしい物はないな」
その動きはシートの裏や底にまで及び、遂にはスコールを跨いで後部座席の後ろのカーゴにまで。
「お、携行缶があったぜ。…空だけどな。…ん、なんだこれ? ペニシリン?頭痛持ちでも乗ってたのか?」
小さく掛け声をかけて、ゼルが助手席に戻った。
どうやらこの先役に立ちそうなものは発見できなかったらしい。
窓ガラスを砕いてしまった為に暖房など意味はなく、車内には夜の砂漠の冷気が吹き抜けていた。
荷物になるとわかっていて、それでも持ってきていたパラシュートをありがたいと思う。
なんとか我慢できる自分たちと違い、怪我や投薬によって己自身で体温を調節できないスコールには堪える。
風をよく孕む造りになっているパラシュートは、逆に言えば風を通さない。
セルフィは自分の考えが正解だったと安堵しつつ、それでスコールを包み込んだ。
「…うっ」
「!! スコール!?」
「どうした?」
こちらの声に素早く反応して振り返ったのは、ゼルだ。
スコールの小さなうめき声に、無意識に触れた彼の頭部の熱に、セルフィははっとする。
ガルバディア軍の手袋を外し、額の髪を掻き揚げるようにしてそこに触れた。
「…すごい熱や! 早うお医者さんに診せな!!」
「んなこと言っても、医者どころかまず町を探すほうが先だぜ」
「明かりだ!」
運転しているため、こちらを振り向けないアーヴァインが嬉しそうに叫ぶ。
それに反応してゼルも姿勢を戻した。
なるほど、前方に小さいが、星とは違う人口の光があるのが見える。
車を近づけて、3人は多少なりとも気を落とした。
人家かと希望を抱いた明かりは、無人の給油所だった。
アーヴァインとゼルは車の給油に取り掛かり、苦しそうに呻くスコールに一言謝罪の言葉を掛けてセルフィは建物の中に入った。
中には無人の販売機が不気味な稼動音を立てているだけだった。
それでも、そこで暖かい飲み物を手に入れることができたセルフィは、ついでとばかりに水で濡らしたタオルを何枚か防水袋に入れて持った。
車に戻り、2人に飲み物を渡して再び後部座席に腰を下ろす。
スコールの顔の半分は、痛々しいほどにギプスで固められており、見える半分は熱で真っ赤になっている。
車を走らせ始めた瞬間、惰性で動く身体を堪えながら、袋から取り出したタオルをそこに当てた。
「スコールはどうだ?」
「眠ったままや…。熱は全然引かへんし、この寒さも辛いと思う。 …ね、スコールの顔、どないしたんやろ?」
「…さあな、目が覚めたら本人に聞くしかねえだろ」
いつの間にか景色は砂漠から荒野へと変わっていた。
ちらほらと植物が目に付くようになってきている。
海が近づいたのだ。
この海沿いを南下する。
スコールがそう望んだからだ。
このまま南へ行けば、何がある?
「ゼル、先に寝てくれないかな?」
「あ?俺はまだいいぜ」
「そうじゃないよ~。どのくらいかかるかわからないから、後で僕と交代してくれない?」
「あぁ、そういうことか。わかった。んじゃ、先に寝るぜ」
「セフィも無理しないで、少し眠ったほうがいいよ。スコールのこと、心配なのはわかるけど、ちょっと妬けちゃうな~」
「! アーヴィン、…うん、ごめんね」
謝罪の言葉を口にしていると言うのに、セルフィは思わず口元が緩んでしまう。
やっぱり、妬いてたんだ。
相変わらず、表情に出にくい彼の感情を少しでも読み取ることができたように思えてしまう。
膝の上のスコールの頭部は熱のせいで暖かくて、何度かタオルを取り替えていたセルフィだったが、その暖かさについ身を任せてしまっていた。
声も物音もしなくなった静かな車内で、アーヴァインはひたすら車を走らせ続けていた。
車はやがて草原に差し掛かったようだ。
昼間だったならいい気分を味わうことができたのだろうが、車のライトだけが頼りの暗い道では周りの景色を見る余裕など無い。
何時間、こうして車を走らせただろうか?
僅かに空が白んできたのがわかった。
陽が沈んでから暗くなるまではあっという間だ。
逆に明るくなり始めてから、日が昇るまでは時間の流れがゆっくりに感じる。
一面に真っ白な靄がかかっていた。
夜通し運転し続けてきたアーヴァインの手は、冷たい空気に晒されてすっかりかじかんでしまっていた。
丘の上らしきところで、一旦車を止める。
「ゼル、そろそろ代わってくれない?」
「…ん、あぁ、おう……、……あれ、もう朝じゃねーか。どんだけ頑張ったんだよ、お前。もっと早く起こしてくれりゃいいのに」
そう言いながらも、助手席のドアを開けて車を降りたゼルは運転席に回ってきた。
アーヴァインはゼルが座っていた席に移動して、腰を深く落としながら帽子で顔を覆ってしまった。
その物音で、セルフィも目を覚ましたようだ。
「あ、寝てしもうた! ……わあ、ゼル、海が見える!きれいやな~」
奴がここまで無理をしたのは、この景色をセルフィに見せたかったからだろうとゼルは思った。
「相変わらず、キザな野郎だ」
「えっ、ゼル何か言った?」
「いや、なんでもねえ。…それより…」
言いながら、ゼルは車を走らせ始める。
窓の外を見ていたセルフィは、スコールのタオルを取り替えながらゼルの言葉を待った。
「昔はセルフィのほうがよく運転してたと思うんだが、今は違うんだな」
「…アーヴィン、寝ちゃってる?」
「おう」
「これ言うとアーヴィン怒るから、私から聞いたって言わないでね。…あの時、アーヴィン、運転資格持ってなかったんだよ」
「マジかよ!」
「私と結婚してトラビアに来てから取ったの。私、お腹に赤ちゃんがいたし、アーヴィンはりきっちゃって!」
「…へぇ、意外と知らなかったことってあるんだな」
「ふふ、そうだね」
「ところで、どこ行きゃいいんだ?」
「ここまで来てまだわからないの?」
「お前はわかってんのかよ?」
「わからないほうがおかしい! ウィンヒルよ!」
→part.2