Chapter.45[バラム]
~第45章 part.5~
「彼に言われたんです。白いSeeDの船を捜せ、と…」
「…白い、SeeD…」
「…あの野郎…」
「サイファー、あなた、何か知っているのね…」
「さぁな」
サイファーはソファーに腰を下ろすと、テーブルの上で足を組み、TVのスイッチを入れた。
真剣な顔をしたリポーターが騒然としている町を背後にしてなにやら伝えている。
「ほう、賑やかじゃねーか」
その様子を、どこか楽し気に眺めるサイファーが呟いた。
『ここで番組をご覧の皆様にお知らせがあります』
スタジオ内のキャスターが1枚の紙を掲げて見せた。
『えー、先程お伝えしました官僚連続殺害事件の犯人と思われる人物の似顔絵が、つい先程出来上がりました。こちらです。
えー、身長が6ft2in前後、かなり大柄ですね。白いコートを着て、ガンブレードを所持しているとの情報が入っています。
もしこの人物を発見したり、また似ていると思われる人物を発見した場合、そして何らかの情報を持っているという方がいらっしゃいましたら、すぐご連絡をお願いします。
えー、連絡先、出ますか…? ハイ、こちらまでお願いします。 …繰り返しお伝えします…』
思わずシュウとランスはそこに座る人物に目を向ける。
何食わぬ顔でそ知らぬ振りをしてじっとTVを見つめているこの男。たった今TVで出た容姿、そのままなのだ。
今ここに、リノアやランスがいると言う事だけでも、シュウには絶望的な感情を抱かせるのに十分なのだ。
この上、よりにもよってガルバディアの政府に楯突いた人物がこのガーデンに、ここにいる。
シュウは神に祈りを捧げたくなってきた。
そうすることしかできないように思われてしまった。
「…サイファー、あなた、まさか…」
「ああっ!? 何だその目は…」
「何をしたかわかってるの!? なんてことを!! このままじゃガーデンは…!」
「生憎、俺はSeeDじゃねぇ。ガーデンにゃ縛られねーんだよ」
「あなた、…魔女派なのね。だからリノアを助けた…!」
それまでどこか楽し気な顔をしていたサイファーの表情が一変した。
額に刻まれる皴からは音でも聞こえてきそうだ。
「…あいつらは、魔女を助ける気なんてさらさらねぇのさ。魔女と、魔女の騎士だった俺を利用してガルバディア政府をぶっ潰すことだけが狙いなんだ。
奴等にとっては、邪魔な存在なのさ、ガルバディア政府は…」
「…どういうこと? 魔女派は何をしようとしているの? …それに、あなたも、どうしてそれに協力しているの…?」
「俺のことはいいんだよ。 …奴等が何をしようとしているかなんて、俺にもわらかねぇよ。…こいつにでも聞いてみたらどうだ?」
険しい顔のまま、サイファーはTVの画面を指差した。
そこには先程再び流された電波ジャックの画面が映し出されていた。
「…ハリー・アバンシア…?」
「なつかしの古巣に戻ったんだ。ゆっくりさせてもらうぜ」
ソファーの上にゴロリと横になったサイファーは、自らの腕を枕にして瞳を閉じた。
「…行きましょ、ランス」
保健室を後にした2人はエレベータに向かって渡り廊下を静かに歩いた。
歩きながら、ランスはシュウに問いかけた。
「シュウ先輩、サイファーさんて、このガーデンの生徒だったんですよね。どうしてSeeDにならなかったんですか?」
「ならなかったんじゃないわ、なれなかったのよ」
「…?」
「彼、SeeD試験の常連だったの。力は十分にあったわ。十分すぎるほどね。
…でも、それが彼を傲慢にさせていたのね。命令違反ややりすぎた行為ばかり起こして、SeeDの資格を取ることはできなかったわ。
…でももし、SeeDになっていたとしても、命令に縛られるのを嫌がった彼ですもの、結果は同じだったでしょうね」
「…そうだったのか」
「ランス、あなた、サイファーに似たところがあるわね」
「ほ、本当ですか!?」
「…どうして嬉しそうなの?」
「えっ、そ、そんなこと…」
「あなたも、何かを感じたんでしょう?サイファーに。だから彼に付いて来たんでしょう?
サイファーがあなたを、このガーデンの生徒でしかもSeeDを助けるなんて、どう考えても有り得ない。
今回のことはあなたが自主的に起こした行動、よね?」
「・・・・・」
「まじめで、SeeDになる為にあんなに頑張ったのに、SeeDになった途端、急に変わってしまうなんて…」
「俺は、SeeD失格ってことですか…?」
「それを決めるのは、学園長よ…」
「彼に言われたんです。白いSeeDの船を捜せ、と…」
「…白い、SeeD…」
「…あの野郎…」
「サイファー、あなた、何か知っているのね…」
「さぁな」
サイファーはソファーに腰を下ろすと、テーブルの上で足を組み、TVのスイッチを入れた。
真剣な顔をしたリポーターが騒然としている町を背後にしてなにやら伝えている。
「ほう、賑やかじゃねーか」
その様子を、どこか楽し気に眺めるサイファーが呟いた。
『ここで番組をご覧の皆様にお知らせがあります』
スタジオ内のキャスターが1枚の紙を掲げて見せた。
『えー、先程お伝えしました官僚連続殺害事件の犯人と思われる人物の似顔絵が、つい先程出来上がりました。こちらです。
えー、身長が6ft2in前後、かなり大柄ですね。白いコートを着て、ガンブレードを所持しているとの情報が入っています。
もしこの人物を発見したり、また似ていると思われる人物を発見した場合、そして何らかの情報を持っているという方がいらっしゃいましたら、すぐご連絡をお願いします。
えー、連絡先、出ますか…? ハイ、こちらまでお願いします。 …繰り返しお伝えします…』
思わずシュウとランスはそこに座る人物に目を向ける。
何食わぬ顔でそ知らぬ振りをしてじっとTVを見つめているこの男。たった今TVで出た容姿、そのままなのだ。
今ここに、リノアやランスがいると言う事だけでも、シュウには絶望的な感情を抱かせるのに十分なのだ。
この上、よりにもよってガルバディアの政府に楯突いた人物がこのガーデンに、ここにいる。
シュウは神に祈りを捧げたくなってきた。
そうすることしかできないように思われてしまった。
「…サイファー、あなた、まさか…」
「ああっ!? 何だその目は…」
「何をしたかわかってるの!? なんてことを!! このままじゃガーデンは…!」
「生憎、俺はSeeDじゃねぇ。ガーデンにゃ縛られねーんだよ」
「あなた、…魔女派なのね。だからリノアを助けた…!」
それまでどこか楽し気な顔をしていたサイファーの表情が一変した。
額に刻まれる皴からは音でも聞こえてきそうだ。
「…あいつらは、魔女を助ける気なんてさらさらねぇのさ。魔女と、魔女の騎士だった俺を利用してガルバディア政府をぶっ潰すことだけが狙いなんだ。
奴等にとっては、邪魔な存在なのさ、ガルバディア政府は…」
「…どういうこと? 魔女派は何をしようとしているの? …それに、あなたも、どうしてそれに協力しているの…?」
「俺のことはいいんだよ。 …奴等が何をしようとしているかなんて、俺にもわらかねぇよ。…こいつにでも聞いてみたらどうだ?」
険しい顔のまま、サイファーはTVの画面を指差した。
そこには先程再び流された電波ジャックの画面が映し出されていた。
「…ハリー・アバンシア…?」
「なつかしの古巣に戻ったんだ。ゆっくりさせてもらうぜ」
ソファーの上にゴロリと横になったサイファーは、自らの腕を枕にして瞳を閉じた。
「…行きましょ、ランス」
保健室を後にした2人はエレベータに向かって渡り廊下を静かに歩いた。
歩きながら、ランスはシュウに問いかけた。
「シュウ先輩、サイファーさんて、このガーデンの生徒だったんですよね。どうしてSeeDにならなかったんですか?」
「ならなかったんじゃないわ、なれなかったのよ」
「…?」
「彼、SeeD試験の常連だったの。力は十分にあったわ。十分すぎるほどね。
…でも、それが彼を傲慢にさせていたのね。命令違反ややりすぎた行為ばかり起こして、SeeDの資格を取ることはできなかったわ。
…でももし、SeeDになっていたとしても、命令に縛られるのを嫌がった彼ですもの、結果は同じだったでしょうね」
「…そうだったのか」
「ランス、あなた、サイファーに似たところがあるわね」
「ほ、本当ですか!?」
「…どうして嬉しそうなの?」
「えっ、そ、そんなこと…」
「あなたも、何かを感じたんでしょう?サイファーに。だから彼に付いて来たんでしょう?
サイファーがあなたを、このガーデンの生徒でしかもSeeDを助けるなんて、どう考えても有り得ない。
今回のことはあなたが自主的に起こした行動、よね?」
「・・・・・」
「まじめで、SeeDになる為にあんなに頑張ったのに、SeeDになった途端、急に変わってしまうなんて…」
「俺は、SeeD失格ってことですか…?」
「それを決めるのは、学園長よ…」