Chapter.05[バラム]
第5章
魔女が倒されても、ガーデンがなくなることは無かった。
それどころか、入校希望者が殺到して溢れそうな勢いだった。
魔女戦争が終わってから、ガーデンに残ったのはキスティス・トゥリープとゼル・ディンの2人だけだった。
2人は教官の試験を受け、ここで働いていた。
更にキスティスは教官長の座に居り、生徒は勿論、他の教官たちからも一目置かれていた。
10年経っても、スコールたちの活躍は語り継がれており、当時年少クラスだった生徒も今や立派に正SeeDとして働いている。
セルフィはトラビアガーデンに戻り、アーヴァインはガルバディアガーデンに戻った。
が、すぐにトラビアガーデンへの転校を決めたようだ。
リノアも再びティンバーのレジスタンスへ戻り、彼女に雇われていたスコールも共にティンバーへ。
スコールの任務は“ティンバーが独立するまで”という命令だった為、彼はリノアと行動を共にしている。…理由は他にもありそうだが…
キスティスが授業を終え、教官室に戻ろうと廊下を歩いていると、年少クラスの子供たちの元気な声が中庭から聞こえてきた。
「もう1回!もう1回やって下さい!ディン先生!」
「かんべんしてくれよ~!もう5回目だぜ」
子供たちに囲まれているのは、教官となったゼル。
子供たちに一番人気がある彼はいつも年少クラスの子たちが集まってくる。
「ディン先生!」
キスティスが声をかける。
「はい! …悪いな、トゥリープ先生がお呼びだ。また今度な」
「はーい」
「またね、先生!」
「ちゃんと敬礼するんだ!」
子供たちに敬礼をすると、ゼルはキスティスの元へ駆け寄ってきた。
「助かったぜキスティス。あいつら放さねぇからよ」
「フフフ、相変わらず人気者ね。今は年少クラス担当なんだっけ?」
「ああ。体力の基本を教えてるんだけど、なんかいつも俺の体操ショーみたいになっちまって」
「いいお手本ね」
「そうだ、あいつら、うまくやってんのか?」
「ええ、昨日連絡が入ったわ。ちゃんと首領のところまで行き着いたって」
「まぁ、スコールんとこに行ければ、SeeDの厳しさが体験できるからな。あそこに派遣されたSeeDはどいつも根性あるからな」
「ええ、随分しごかれてるんじゃない?」
「それからよ、例の兄弟、本当に正反対だな。兄貴のほうは体力バカ。弟のほうは頭脳バカだな」
「バカだなんて…。優秀と言って欲しいわ。でもいい子たちよ」
「親父に似なきゃいいけど…」
「あら、2人ともそっくりじゃない!」
「顔じゃなくて、せ・い・か・く」
「うーん、そうねぇ。でも母親に似ても能天気になっちゃいそうね。」
2人が笑っているところに、マスターと学園長がやってきた。
「楽しそうですね。何のお話ですか?」
2人は姿勢を正し、敬礼をした。
「来週のSeeD試験ですが、私とイデアは参加できませんが、教官長、他の教官たちとでやってくれますか?」
「どちらかへお出かけですか?」
「はい、ちょっとトラビアまで行こうかと思いまして、すごく美味しい果物が丁度旬だそうなんです。
トラビアガーデンのマスターからお手紙を頂いたんですよ」
「へぇ、そうなんですか。俺たちも今、トラビアに行った2人のこと話してたんですよ」
「セルフィとアーヴァインですね。早いわ。もう私もママ先生じゃなくてお婆ちゃん先生ね」
「ママ先生…じゃなくて、学園長、もし2人に会ったら宜しく言って下さい。息子さんたちも元気で頑張ってるって」
「フフフ、ママ先生でいいわ、キスティス。ええ、もちろん伝えるわ」
「お願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いしますね」
「はい、お気をつけて!」
2人は敬礼して遠ざかる夫婦を見送った。
「マスターも、ママ先生も生き生きしてるわね」
「ああ、本当に仲いいもんな」
「ママ先生がガーデンに戻ってから、マスター若返ったみたい。本当に良かったわ。…ね、ゼルもそう思うでしょ?」
「何年経っても恋人みたいだもんな」
「…ね?ゼルはどうなの?」
「何が?」
「例の彼女、付き合ってるんでしょ?」
「えっ!…あ…お…い…あの……。お、俺のことより、キスティスのほうこそどうなんだよ!」
「私はパス!今は仕事が恋人よ」
「へぇ~、そんなこと言ってると…」
「何が言いたいの!?」
2人の会話は教官室にたどり着くまで尽きることは無かった。
ここだけは、何も変わらない幸せな毎日が過ぎていた。
→
魔女が倒されても、ガーデンがなくなることは無かった。
それどころか、入校希望者が殺到して溢れそうな勢いだった。
魔女戦争が終わってから、ガーデンに残ったのはキスティス・トゥリープとゼル・ディンの2人だけだった。
2人は教官の試験を受け、ここで働いていた。
更にキスティスは教官長の座に居り、生徒は勿論、他の教官たちからも一目置かれていた。
10年経っても、スコールたちの活躍は語り継がれており、当時年少クラスだった生徒も今や立派に正SeeDとして働いている。
セルフィはトラビアガーデンに戻り、アーヴァインはガルバディアガーデンに戻った。
が、すぐにトラビアガーデンへの転校を決めたようだ。
リノアも再びティンバーのレジスタンスへ戻り、彼女に雇われていたスコールも共にティンバーへ。
スコールの任務は“ティンバーが独立するまで”という命令だった為、彼はリノアと行動を共にしている。…理由は他にもありそうだが…
キスティスが授業を終え、教官室に戻ろうと廊下を歩いていると、年少クラスの子供たちの元気な声が中庭から聞こえてきた。
「もう1回!もう1回やって下さい!ディン先生!」
「かんべんしてくれよ~!もう5回目だぜ」
子供たちに囲まれているのは、教官となったゼル。
子供たちに一番人気がある彼はいつも年少クラスの子たちが集まってくる。
「ディン先生!」
キスティスが声をかける。
「はい! …悪いな、トゥリープ先生がお呼びだ。また今度な」
「はーい」
「またね、先生!」
「ちゃんと敬礼するんだ!」
子供たちに敬礼をすると、ゼルはキスティスの元へ駆け寄ってきた。
「助かったぜキスティス。あいつら放さねぇからよ」
「フフフ、相変わらず人気者ね。今は年少クラス担当なんだっけ?」
「ああ。体力の基本を教えてるんだけど、なんかいつも俺の体操ショーみたいになっちまって」
「いいお手本ね」
「そうだ、あいつら、うまくやってんのか?」
「ええ、昨日連絡が入ったわ。ちゃんと首領のところまで行き着いたって」
「まぁ、スコールんとこに行ければ、SeeDの厳しさが体験できるからな。あそこに派遣されたSeeDはどいつも根性あるからな」
「ええ、随分しごかれてるんじゃない?」
「それからよ、例の兄弟、本当に正反対だな。兄貴のほうは体力バカ。弟のほうは頭脳バカだな」
「バカだなんて…。優秀と言って欲しいわ。でもいい子たちよ」
「親父に似なきゃいいけど…」
「あら、2人ともそっくりじゃない!」
「顔じゃなくて、せ・い・か・く」
「うーん、そうねぇ。でも母親に似ても能天気になっちゃいそうね。」
2人が笑っているところに、マスターと学園長がやってきた。
「楽しそうですね。何のお話ですか?」
2人は姿勢を正し、敬礼をした。
「来週のSeeD試験ですが、私とイデアは参加できませんが、教官長、他の教官たちとでやってくれますか?」
「どちらかへお出かけですか?」
「はい、ちょっとトラビアまで行こうかと思いまして、すごく美味しい果物が丁度旬だそうなんです。
トラビアガーデンのマスターからお手紙を頂いたんですよ」
「へぇ、そうなんですか。俺たちも今、トラビアに行った2人のこと話してたんですよ」
「セルフィとアーヴァインですね。早いわ。もう私もママ先生じゃなくてお婆ちゃん先生ね」
「ママ先生…じゃなくて、学園長、もし2人に会ったら宜しく言って下さい。息子さんたちも元気で頑張ってるって」
「フフフ、ママ先生でいいわ、キスティス。ええ、もちろん伝えるわ」
「お願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いしますね」
「はい、お気をつけて!」
2人は敬礼して遠ざかる夫婦を見送った。
「マスターも、ママ先生も生き生きしてるわね」
「ああ、本当に仲いいもんな」
「ママ先生がガーデンに戻ってから、マスター若返ったみたい。本当に良かったわ。…ね、ゼルもそう思うでしょ?」
「何年経っても恋人みたいだもんな」
「…ね?ゼルはどうなの?」
「何が?」
「例の彼女、付き合ってるんでしょ?」
「えっ!…あ…お…い…あの……。お、俺のことより、キスティスのほうこそどうなんだよ!」
「私はパス!今は仕事が恋人よ」
「へぇ~、そんなこと言ってると…」
「何が言いたいの!?」
2人の会話は教官室にたどり着くまで尽きることは無かった。
ここだけは、何も変わらない幸せな毎日が過ぎていた。
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