Chapter.02[トラビア]
第2章
トントントントン…
澄み渡った冷たい空に今日も小気味の良い音が響く。
街の外れで少年が何かを待っていた。
やがて少年は山々の間にその何かを見つけると、大きな声で叫びながら大きく手を振った。
「おーい!おーい!!」
少年が見つけたものは物凄い速さであっという間に少年の元へやってきた。
「クェ~~ッ!」
一声鳴き声を上げて止まったのは、ここら辺では御馴染みのチョコボだ。
体長は2~3m。人懐こく優しい性格の大きな飛べない鳥で、山岳地方に限らず砂漠や水辺でもどこでもその強靭な脚力で走り抜ける為、移動手段の一つとして重宝されている。
少年からはその力強い足しか見えなかったが、上方の黄色い毛の更に上からポンと2人の人間が降りてきた。
「お待たせ!寒かっただろ?」
「兄ちゃん!おかえり!」
少年は兄に飛びついた。
「ずっとここで待ってたの?寒かったやろ?」
兄と一緒にやってきた人物が優しく声を掛けた。
少年は兄の後ろに隠れ、恐る恐る顔を出した。
「怖がらんでもええよ。私はセルフィ。よろしくね」
「ガーデンの先生だよ」
兄が言うと、少年はゆっくり兄の前に回りこみ、セルフィと握手を交わし3人は町の中へ向かって歩き始めた。
「それじゃ俺、こいつを置いてくるよ。先行ってて下さい。」
「うん、それじゃボコ、ありがとな」
セルフィがチョコボの嘴を撫でると、嬉しそうに一声鳴いて兄と共に歩いて行った。
2人は町に向かい再び歩き出した。
「セルフィは本当に先生なの?」
「うん、そうやで。キミたちはガーデンに入らへんの?」
「…うん、入りたいけど、母ちゃんが入院しててボクたちが仕事しないといけないんだ。だから…」
「そっかー、偉いなぁ」
「ボクたち、これから母ちゃんのお見舞いに行くんだ。セルフィも来てくれる?」
「う…ん、行きたいけど、あかんわ。これからガーデンで会議…って言うてもわからんな。大事なお仕事があるんや。せやから、ゴメンな」
「そっか、セルフィもお仕事、偉いなぁ」
少年がセルフィの真似をすると、2人は顔を見合わせて笑った。
セルフィは病院の前で少年と別れると足早にガーデンに向かった。
声を掛けてくれるたくさんの生徒達に笑顔で手を振ると、学園長室の扉を開けた。
「失礼します」
セルフィは扉を閉めると同時に思わず溜息をついた。
「人気者やね、相変わらず」
笑顔で声を掛けたのは学園長だ。
「す、すみません。教員No.20 セルフィ・ティルミット只今戻りました」
「ごくろうさん。で、どないやった?」
「はい、バッチリです!」
「そうか!そらよかったな。はよ皆にも知らせてやらんと」
「はい!じゃ、早速!」
「おう、ごくろうさん」
「失礼します」
セルフィは学園長室を出ると一目散に走り出した。彼女が向かったのは教員室。
今の時間はほとんどの教員が部屋の中にいた。アーヴァインの姿も。
「やった―――っ!!!」
大声で叫びながらセルフィはアーヴァインに飛びついた。
「おかえり、セフィ。その様子だとうまくいったみたいだね」
「うん、ばっちりや!これでみんなも喜んでくれる。ほんまによかったわ~!」
セルフィの様子に初めはびっくりしていた他の教員達も2人の元に駆け寄り声を掛け合った。
「セルフィ先生、お疲れさん。うまくいったんやな!」
「そらよかったわ。はよ生徒たちにも報告せんと!」
「あの子達も喜ぶで!」
そこへ厳格そうな顔をした男が近づいてきた。
「うおっほん!!」
セルフィは慌てて直立し、敬礼した。
「し、失礼しました。報告します。教員No.20 セルフィ・ティルミット、只今戻りました。
エスタ・ガルバディア・ティンバー・ドール・バラムの各地に赴き、この地方特産メレスイーツの取引の契約を結びました。
それから例の件ですが、やはり各地でも同様のことが起きているようです。
詳細につきましては、こちらにデータがありますので後ほど文書にして提出致します。以上!」
「わかった。ごくろう。…学園長には報告したのかね?」
「はい」
男の厳格そうな顔は急に優しい顔に変わり、くしゃっと潰したように笑顔を見せると教員室を後にした。
「セフィ、バラムにも行ったんだろ?どうだった?」
「アーヴィン、やっぱり私、寂しいな。ここにいて欲しかった…。はよあの子達に会いたいなぁ。」
→
トントントントン…
澄み渡った冷たい空に今日も小気味の良い音が響く。
街の外れで少年が何かを待っていた。
やがて少年は山々の間にその何かを見つけると、大きな声で叫びながら大きく手を振った。
「おーい!おーい!!」
少年が見つけたものは物凄い速さであっという間に少年の元へやってきた。
「クェ~~ッ!」
一声鳴き声を上げて止まったのは、ここら辺では御馴染みのチョコボだ。
体長は2~3m。人懐こく優しい性格の大きな飛べない鳥で、山岳地方に限らず砂漠や水辺でもどこでもその強靭な脚力で走り抜ける為、移動手段の一つとして重宝されている。
少年からはその力強い足しか見えなかったが、上方の黄色い毛の更に上からポンと2人の人間が降りてきた。
「お待たせ!寒かっただろ?」
「兄ちゃん!おかえり!」
少年は兄に飛びついた。
「ずっとここで待ってたの?寒かったやろ?」
兄と一緒にやってきた人物が優しく声を掛けた。
少年は兄の後ろに隠れ、恐る恐る顔を出した。
「怖がらんでもええよ。私はセルフィ。よろしくね」
「ガーデンの先生だよ」
兄が言うと、少年はゆっくり兄の前に回りこみ、セルフィと握手を交わし3人は町の中へ向かって歩き始めた。
「それじゃ俺、こいつを置いてくるよ。先行ってて下さい。」
「うん、それじゃボコ、ありがとな」
セルフィがチョコボの嘴を撫でると、嬉しそうに一声鳴いて兄と共に歩いて行った。
2人は町に向かい再び歩き出した。
「セルフィは本当に先生なの?」
「うん、そうやで。キミたちはガーデンに入らへんの?」
「…うん、入りたいけど、母ちゃんが入院しててボクたちが仕事しないといけないんだ。だから…」
「そっかー、偉いなぁ」
「ボクたち、これから母ちゃんのお見舞いに行くんだ。セルフィも来てくれる?」
「う…ん、行きたいけど、あかんわ。これからガーデンで会議…って言うてもわからんな。大事なお仕事があるんや。せやから、ゴメンな」
「そっか、セルフィもお仕事、偉いなぁ」
少年がセルフィの真似をすると、2人は顔を見合わせて笑った。
セルフィは病院の前で少年と別れると足早にガーデンに向かった。
声を掛けてくれるたくさんの生徒達に笑顔で手を振ると、学園長室の扉を開けた。
「失礼します」
セルフィは扉を閉めると同時に思わず溜息をついた。
「人気者やね、相変わらず」
笑顔で声を掛けたのは学園長だ。
「す、すみません。教員No.20 セルフィ・ティルミット只今戻りました」
「ごくろうさん。で、どないやった?」
「はい、バッチリです!」
「そうか!そらよかったな。はよ皆にも知らせてやらんと」
「はい!じゃ、早速!」
「おう、ごくろうさん」
「失礼します」
セルフィは学園長室を出ると一目散に走り出した。彼女が向かったのは教員室。
今の時間はほとんどの教員が部屋の中にいた。アーヴァインの姿も。
「やった―――っ!!!」
大声で叫びながらセルフィはアーヴァインに飛びついた。
「おかえり、セフィ。その様子だとうまくいったみたいだね」
「うん、ばっちりや!これでみんなも喜んでくれる。ほんまによかったわ~!」
セルフィの様子に初めはびっくりしていた他の教員達も2人の元に駆け寄り声を掛け合った。
「セルフィ先生、お疲れさん。うまくいったんやな!」
「そらよかったわ。はよ生徒たちにも報告せんと!」
「あの子達も喜ぶで!」
そこへ厳格そうな顔をした男が近づいてきた。
「うおっほん!!」
セルフィは慌てて直立し、敬礼した。
「し、失礼しました。報告します。教員No.20 セルフィ・ティルミット、只今戻りました。
エスタ・ガルバディア・ティンバー・ドール・バラムの各地に赴き、この地方特産メレスイーツの取引の契約を結びました。
それから例の件ですが、やはり各地でも同様のことが起きているようです。
詳細につきましては、こちらにデータがありますので後ほど文書にして提出致します。以上!」
「わかった。ごくろう。…学園長には報告したのかね?」
「はい」
男の厳格そうな顔は急に優しい顔に変わり、くしゃっと潰したように笑顔を見せると教員室を後にした。
「セフィ、バラムにも行ったんだろ?どうだった?」
「アーヴィン、やっぱり私、寂しいな。ここにいて欲しかった…。はよあの子達に会いたいなぁ。」
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