Chapter.08[ガルバディア]
第8章
デリングシティにある大きな大統領官邸。その奥には、広い庭が広がっていた。
あの後、庭は大急ぎで修復され、元の美しい姿に戻っていた。
エスタ大統領ラグナ・レウァールとの会見をウィンヒルで行って以来、このガルバディアの大統領であるボルドは前にも増して庭を眺める時間が多くなっていた。
ガルバディア領は確かに広大だったが、その土地のほとんどは砂漠である。
それゆえ、資源の採れるティンバーはどうしても押えておきたい地区であった。
独立を願うティンバーに対し、資源の貴重さから強攻策を取ってでも制圧し続けてきた。
結果、ティンバー市民のガルバディア政府への不信感は拡大する一方だ。
ティンバーの独立を許してしまえば、政府の力は急速に弱まることに繋がり、大統領は失脚、更迭も有り得た。
ボルドは深い溜息をついた。
ノックもなしに開かれた扉に、ボルドは目を向けた。
「どうしたの父さん?溜息なんかついちゃって」
「・・・ガルムか。お前こそどうしたんだ?」
「魔女が見つかったって聞いてさ。…で?どうするの?ウチのガーデンから兵士を出そうか?
どうせレジスタンスなんだろ?街ごと吹き飛ばせば簡単なのに!」
「バカなことを言うな!一般市民に危害を加えるようなことはできん!立場というものがある。
…それに、奴らには強みがあるからな」
ティンバーの、ガルバディアに対する唯一の強み。それは他ならぬ豊富な資源だ。
自らが治める国の、小さな1つの町に過ぎない。それでも、その反発する力に手を焼かされている。
強大な軍事国家の面目が丸で立っていないのが現状で、長年の悩みどころなのだ。
息子ガルムの言うとおり、戦力で一気に潰してしまうのは確かに簡単だろう。
今の軍の実力をもってすればものの数時間で事は済むだろう。
しかし、そんなことをすればここまで築き上げてきた自分への世論は大きく崩れることに繋がる。それだけは避けたい。
自分の今の地位を守ること、ボルドは己の身のことだけしか考えられないでいた。
テーブルに用意されていたコーヒーはすっかりその温度を無くし、さながら今の自分を反映しているようで侘しく思えた。
やりきれない気持ちを無理に抑え込もうとする時、ボルドは1人で静かに音楽に耳を傾ける。
もう何度聴いたかわからない、古い音楽ディスク。
かつて、まだ若かりし頃を思い出す。ガルバディア軍に所属し、何度も足を運んだ小さなパブ。
そこで出会った美しい女性と音楽。傷ついた自分の心を癒してくれるかのような心地よい空間が、何より大切な時間だった。
今も忘れることはできない。
あの時の気持ちを思い出そうとしているのか、心休まる空気をなんとか作り出そうとしているのか。
この美しい音楽を耳にしている間だけは、自分の立場も世間の目も、煩わしい公務も全て忘れることができる。
「ジュリア・ハーティリー、か…。まだ生きてたらもうおばさんだよね~」
何気なく呟いたガルムの声に突然現実に引き戻される。
“ハーティリー”
閉じていた瞼を音が聞こえるのではないかと思えるほど力一杯開いた。
革張りの椅子から立ち上がって書類の詰まれたデスクに腕を突っ張った。
身を乗り出すようにして、ソファーで紅茶を口に運んでいる息子に叫んだ。
「おい、今なんと言った!?」
「…えっ、いいおばさんだね…」
「違うっ!!その前だ」
「…? ジュリア・ハーティリー…」
「それだ!」
突然上げた大声と、何気なく口にした名前に敏感に反応する父親。そんな姿を息子は驚きつつじっと見つめてしまった。
一体どうしたというのか、自分にはさっぱりわからない。
自分も決して嫌いではないこの美しい音楽を遮った父親の言葉と言動の後、次は何が起こるのかという少々の不安がガルムを襲う。
漂っていた安らかな雰囲気は一変し、今だ流れ続ける音楽とは不釣合いな無愛想に考え込むボルドの顔は音楽をかける前のものに戻ってしまっていた。
声を掛けるべきか、自分も迷ってしまう。
しかし、先に声を発したのはボルドのほうだった。
「カーウェイを呼べ」
「軍事担当教官?なんで…?」
「いいから、今すぐ連れて来い!」
眉間に皴を寄せて真剣な眼差しで命令するボルドに、意見などできるはずもなく、ガルムはすぐにガーデンに連絡を入れる。
幸いなことにボルドが指名した人物はすぐにつかまり、緊急の呼び出しをかけることができた。
向こうも突然の呼び出しに慌てていることだろう。
電話を切ったあと、じっと何かを考え続けている父の背中からは、目に見えない何かが漂っているかのようだった。
声をかけることもできずに、また元の位置に戻って静かに残った紅茶を口に運んだ。
今まで、何度か足を運んだことはあった。
しかし、今回ほどこの扉の向こうの空気を重く感じたことは今まで無かった。
この不安に苛まれる様な気分は何なのだろう?
とてつもなく悪い予感が頭をよぎる。
この扉の向こうにいる人物が、自分に何を言ってもどんな態度で接してきたとしても、結果としてそれは悪いことに違いないと確信できてしまう。
電話を取った瞬間に走った背中の冷たさが、今は手足の指の先にまで行き渡ってしまっているようだ。
だが、いつまでもここでこうして立っているわけにも行かない。
意を決して、扉をノックした。
「失礼します」
扉を開け、中を覗いた瞬間に出た言葉が思いのほかスムーズだったことに安堵した。
「お呼びでしょうか?大統領」
よく見知った、自分の新しい仕事先のトップでもある若僧が目の前のデスクの端に立ってこちらを見つめていた。
そのデスクの奥の大きなガラス窓の外を眺める背中の持ち主がゆっくりとこちらを振り返る。
通常なら、腰掛けるよう促されたり、足労を労う言葉が掛けられるのだが、今回はそんな余裕は全く無さそうな切羽詰った表情の大統領が重そうに口を開いた。
「率直に言おう」
何を言われるのか、酷く緊張してしまう。
口の中が乾いていく感覚に捕らわれ、出もしない生唾を無理やりのどの奥へ飲み込んでみる。
「…軍に、戻る気はないかね?」
「!!」
かつて、ガルバディア軍の将校として軍事務を務めてきた人間。しかし今は既に退役軍人であり、ガーデンの一教官として天下りを受けている身分。
そんな自分にまた大勢の兵士達の指揮をとれと言うのか…
まさかそんな言葉が出てくるとは思いもしなかった。
何も反応できないでいる自分の言葉をじっと待つように、ボルドが見つめ続けている。
なぜ急にそんなことを言い出したのだろうか?
「…わ、私は、軍を辞めた人間です。何か、任務があると仰られるのでありましたら、自分よりも適任者は大勢…」
「君に、言っているんだ」
「!」
カーウェイの言葉を遮るようにボルドが声を重ねた。
「君の望む地位を用意しよう。左官、将官、何なら将軍でも」
困惑した。いや、その困惑は大きくなる一方だ。一体何が望みなのだ。この大統領は何を考えている…?
考えれば考えるほど頭の中は混乱していく。
「お聞きしても宜しいですか?…なぜ私を…?」
こちらからの質問など一蹴されて終わりだとは思いながらも、聞かずにはいられない。
「そこまでして私を引き戻そうとするからには、私に関する何かがある、と自分は考えます。ぜひその理由をお教え願います」
「カーウェイさ、軍にいたころ、どんな任務に就いてた?」
自分よりも歳若い、しかし明らかに身分の高い若僧が偉そうに質問してくる。今質問しているのはこちらだというのに。
「…それは、魔女の…」
魔女…。
自分が発した言葉にはっとする。
「まさか、魔女が再び…?」
先ほどよりも険しさを増した大統領の顔がその色を暗くしていく。
先の魔女戦争時の終身大統領だったデリング氏と今の自分を照らし合わせているのか?
「ティンバーの…、レジスタンスの中に、魔女が紛れ込んでいるという情報が入った」
「なんですって!?」
…本当に?
魔女が復活している。今、この時代に…!
しかもよりによって自分の娘が参加しているティンバーのレジスタンスに!
ボルドは1枚の写真を見つめながら呟く。
「…長い黒髪に黒い服…まさに“魔女”そのものじゃないか…」
デスクの上にその写真を投げ捨てるように置き、カーウェイの顔を見つめながらその写真を押しやるようにスライドさせた。
カーウェイに見ろと催促しているのだ。
1歩足を進め、デスクの上の写真に目をやる。
「!!!」
「君のところから派遣してもらった潜入者が撮ったものだ」
「…命がけでね」
人をバカにしたように付け加えるガルムの言葉にイラついた。
「また君に、このガルバディア軍の指揮を執ってもらいたいのだよ。いつまでも抵抗を続けるティンバーのレジスタンス共ともし魔女が手を結ぶようなことがあれば…
ガルバディアは一気に形勢が崩れることになるだろう」
「……少し、考えるお時間を頂きたいと思います…」
「構わん。…が、そう長くは待てん。いい返事を期待している」
部屋を出たカーウェイの足取りは重かった。
この扉を開く前に感じた嫌な予感が的中してしまったことに焦燥感を覚えた。もしかしたらもっと悪い方向に向かうかもしれない。
まさかレジスタンスに参加しているだけの家出娘がその渦中の人物となっていたとは…!
大統領の反応からは、その魔女が自分の娘だということはまだ知られていないとカーウェイは思っていた。
「…なぜ、カーウェイを呼び戻そうとするんだ?父さん。もっと優秀な将校はたくさんいるじゃないか?」
「魔女の名はリノア・ハーティリー。あのカーウェイの亡き妻ジュリア・ハーティリーの娘だ」
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デリングシティにある大きな大統領官邸。その奥には、広い庭が広がっていた。
あの後、庭は大急ぎで修復され、元の美しい姿に戻っていた。
エスタ大統領ラグナ・レウァールとの会見をウィンヒルで行って以来、このガルバディアの大統領であるボルドは前にも増して庭を眺める時間が多くなっていた。
ガルバディア領は確かに広大だったが、その土地のほとんどは砂漠である。
それゆえ、資源の採れるティンバーはどうしても押えておきたい地区であった。
独立を願うティンバーに対し、資源の貴重さから強攻策を取ってでも制圧し続けてきた。
結果、ティンバー市民のガルバディア政府への不信感は拡大する一方だ。
ティンバーの独立を許してしまえば、政府の力は急速に弱まることに繋がり、大統領は失脚、更迭も有り得た。
ボルドは深い溜息をついた。
ノックもなしに開かれた扉に、ボルドは目を向けた。
「どうしたの父さん?溜息なんかついちゃって」
「・・・ガルムか。お前こそどうしたんだ?」
「魔女が見つかったって聞いてさ。…で?どうするの?ウチのガーデンから兵士を出そうか?
どうせレジスタンスなんだろ?街ごと吹き飛ばせば簡単なのに!」
「バカなことを言うな!一般市民に危害を加えるようなことはできん!立場というものがある。
…それに、奴らには強みがあるからな」
ティンバーの、ガルバディアに対する唯一の強み。それは他ならぬ豊富な資源だ。
自らが治める国の、小さな1つの町に過ぎない。それでも、その反発する力に手を焼かされている。
強大な軍事国家の面目が丸で立っていないのが現状で、長年の悩みどころなのだ。
息子ガルムの言うとおり、戦力で一気に潰してしまうのは確かに簡単だろう。
今の軍の実力をもってすればものの数時間で事は済むだろう。
しかし、そんなことをすればここまで築き上げてきた自分への世論は大きく崩れることに繋がる。それだけは避けたい。
自分の今の地位を守ること、ボルドは己の身のことだけしか考えられないでいた。
テーブルに用意されていたコーヒーはすっかりその温度を無くし、さながら今の自分を反映しているようで侘しく思えた。
やりきれない気持ちを無理に抑え込もうとする時、ボルドは1人で静かに音楽に耳を傾ける。
もう何度聴いたかわからない、古い音楽ディスク。
かつて、まだ若かりし頃を思い出す。ガルバディア軍に所属し、何度も足を運んだ小さなパブ。
そこで出会った美しい女性と音楽。傷ついた自分の心を癒してくれるかのような心地よい空間が、何より大切な時間だった。
今も忘れることはできない。
あの時の気持ちを思い出そうとしているのか、心休まる空気をなんとか作り出そうとしているのか。
この美しい音楽を耳にしている間だけは、自分の立場も世間の目も、煩わしい公務も全て忘れることができる。
「ジュリア・ハーティリー、か…。まだ生きてたらもうおばさんだよね~」
何気なく呟いたガルムの声に突然現実に引き戻される。
“ハーティリー”
閉じていた瞼を音が聞こえるのではないかと思えるほど力一杯開いた。
革張りの椅子から立ち上がって書類の詰まれたデスクに腕を突っ張った。
身を乗り出すようにして、ソファーで紅茶を口に運んでいる息子に叫んだ。
「おい、今なんと言った!?」
「…えっ、いいおばさんだね…」
「違うっ!!その前だ」
「…? ジュリア・ハーティリー…」
「それだ!」
突然上げた大声と、何気なく口にした名前に敏感に反応する父親。そんな姿を息子は驚きつつじっと見つめてしまった。
一体どうしたというのか、自分にはさっぱりわからない。
自分も決して嫌いではないこの美しい音楽を遮った父親の言葉と言動の後、次は何が起こるのかという少々の不安がガルムを襲う。
漂っていた安らかな雰囲気は一変し、今だ流れ続ける音楽とは不釣合いな無愛想に考え込むボルドの顔は音楽をかける前のものに戻ってしまっていた。
声を掛けるべきか、自分も迷ってしまう。
しかし、先に声を発したのはボルドのほうだった。
「カーウェイを呼べ」
「軍事担当教官?なんで…?」
「いいから、今すぐ連れて来い!」
眉間に皴を寄せて真剣な眼差しで命令するボルドに、意見などできるはずもなく、ガルムはすぐにガーデンに連絡を入れる。
幸いなことにボルドが指名した人物はすぐにつかまり、緊急の呼び出しをかけることができた。
向こうも突然の呼び出しに慌てていることだろう。
電話を切ったあと、じっと何かを考え続けている父の背中からは、目に見えない何かが漂っているかのようだった。
声をかけることもできずに、また元の位置に戻って静かに残った紅茶を口に運んだ。
今まで、何度か足を運んだことはあった。
しかし、今回ほどこの扉の向こうの空気を重く感じたことは今まで無かった。
この不安に苛まれる様な気分は何なのだろう?
とてつもなく悪い予感が頭をよぎる。
この扉の向こうにいる人物が、自分に何を言ってもどんな態度で接してきたとしても、結果としてそれは悪いことに違いないと確信できてしまう。
電話を取った瞬間に走った背中の冷たさが、今は手足の指の先にまで行き渡ってしまっているようだ。
だが、いつまでもここでこうして立っているわけにも行かない。
意を決して、扉をノックした。
「失礼します」
扉を開け、中を覗いた瞬間に出た言葉が思いのほかスムーズだったことに安堵した。
「お呼びでしょうか?大統領」
よく見知った、自分の新しい仕事先のトップでもある若僧が目の前のデスクの端に立ってこちらを見つめていた。
そのデスクの奥の大きなガラス窓の外を眺める背中の持ち主がゆっくりとこちらを振り返る。
通常なら、腰掛けるよう促されたり、足労を労う言葉が掛けられるのだが、今回はそんな余裕は全く無さそうな切羽詰った表情の大統領が重そうに口を開いた。
「率直に言おう」
何を言われるのか、酷く緊張してしまう。
口の中が乾いていく感覚に捕らわれ、出もしない生唾を無理やりのどの奥へ飲み込んでみる。
「…軍に、戻る気はないかね?」
「!!」
かつて、ガルバディア軍の将校として軍事務を務めてきた人間。しかし今は既に退役軍人であり、ガーデンの一教官として天下りを受けている身分。
そんな自分にまた大勢の兵士達の指揮をとれと言うのか…
まさかそんな言葉が出てくるとは思いもしなかった。
何も反応できないでいる自分の言葉をじっと待つように、ボルドが見つめ続けている。
なぜ急にそんなことを言い出したのだろうか?
「…わ、私は、軍を辞めた人間です。何か、任務があると仰られるのでありましたら、自分よりも適任者は大勢…」
「君に、言っているんだ」
「!」
カーウェイの言葉を遮るようにボルドが声を重ねた。
「君の望む地位を用意しよう。左官、将官、何なら将軍でも」
困惑した。いや、その困惑は大きくなる一方だ。一体何が望みなのだ。この大統領は何を考えている…?
考えれば考えるほど頭の中は混乱していく。
「お聞きしても宜しいですか?…なぜ私を…?」
こちらからの質問など一蹴されて終わりだとは思いながらも、聞かずにはいられない。
「そこまでして私を引き戻そうとするからには、私に関する何かがある、と自分は考えます。ぜひその理由をお教え願います」
「カーウェイさ、軍にいたころ、どんな任務に就いてた?」
自分よりも歳若い、しかし明らかに身分の高い若僧が偉そうに質問してくる。今質問しているのはこちらだというのに。
「…それは、魔女の…」
魔女…。
自分が発した言葉にはっとする。
「まさか、魔女が再び…?」
先ほどよりも険しさを増した大統領の顔がその色を暗くしていく。
先の魔女戦争時の終身大統領だったデリング氏と今の自分を照らし合わせているのか?
「ティンバーの…、レジスタンスの中に、魔女が紛れ込んでいるという情報が入った」
「なんですって!?」
…本当に?
魔女が復活している。今、この時代に…!
しかもよりによって自分の娘が参加しているティンバーのレジスタンスに!
ボルドは1枚の写真を見つめながら呟く。
「…長い黒髪に黒い服…まさに“魔女”そのものじゃないか…」
デスクの上にその写真を投げ捨てるように置き、カーウェイの顔を見つめながらその写真を押しやるようにスライドさせた。
カーウェイに見ろと催促しているのだ。
1歩足を進め、デスクの上の写真に目をやる。
「!!!」
「君のところから派遣してもらった潜入者が撮ったものだ」
「…命がけでね」
人をバカにしたように付け加えるガルムの言葉にイラついた。
「また君に、このガルバディア軍の指揮を執ってもらいたいのだよ。いつまでも抵抗を続けるティンバーのレジスタンス共ともし魔女が手を結ぶようなことがあれば…
ガルバディアは一気に形勢が崩れることになるだろう」
「……少し、考えるお時間を頂きたいと思います…」
「構わん。…が、そう長くは待てん。いい返事を期待している」
部屋を出たカーウェイの足取りは重かった。
この扉を開く前に感じた嫌な予感が的中してしまったことに焦燥感を覚えた。もしかしたらもっと悪い方向に向かうかもしれない。
まさかレジスタンスに参加しているだけの家出娘がその渦中の人物となっていたとは…!
大統領の反応からは、その魔女が自分の娘だということはまだ知られていないとカーウェイは思っていた。
「…なぜ、カーウェイを呼び戻そうとするんだ?父さん。もっと優秀な将校はたくさんいるじゃないか?」
「魔女の名はリノア・ハーティリー。あのカーウェイの亡き妻ジュリア・ハーティリーの娘だ」
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