第10章【結末へ】
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「あの…」
ジェクトの隣に立つ青年がおもむろに声を掛けてきた。
彼も言いたいことが色々とあるのだろう。
じっとその言葉を待ってみるが、言い出しにくいのか、中々次の言葉が出てこない。
私は、仲間たちから少し距離を取ろうと彼の腕を取った。
「あ、あの…!」
「?」
「彼も、一緒に…」
振り返った先には、アーロン。
突然のことに少々戸惑いを感じているようだったが、何も言わずに私達の元まで歩み寄った。
仲間たちから少し距離を取ったところで、私は青年の腕を放し、言葉を促した。
「僕のこと、覚えて、ますか?」
「??」
突然、この青年は何を言い出すのだろうか。
過去に会った事があるような言い方。
青年には申し訳ないが、私にはこの青年との面識は無い。
それとも昔どこかで何かしらの因縁でもあっただろうか?
遠い昔を思い出すようにして自分の記憶の中を探ってみるが、それらしい記憶は出てこない。
私が困惑している様子を見て、青年は微かに微笑んだ。
「無理もありません。僕がラフテルさんに会ったのは、僕が13の時。…もう、10年経ちました」
「…10年前…!?」
10年前、と言えば、ブラスカ達との旅を終えて、私は一人でスピラ各地を旅して回っていた頃だ。
そんな頃に出会った人物の顔など、申し訳ないがものすごい数になるわけで、全てを覚えてなどいられない。
彼の生まれ育ったところは、キーリカの近くの小さな村。
私は確かにそこにも赴いた。
寺院があるから、大きな村があるから、人が大勢いるから。
そんなのは何も意味も無い。
そこに人が住んでいれば、私はどんな辺境にも行って皆に話をした。
ブラスカとの約束を守るために。
「あなたの話を聞いて、僕はシンと戦うことを決めたんです」
「そうだったのか」
「村の友人と共に、討伐隊に入隊することが決まった矢先でした。…突然、シンが現れ、村も、家族も友人も…」
「………」
「命が助かった村人は、別の村に移り、僕はベベルへ。そこで討伐隊に入るために必死に訓練を受けました。
命を落とした友の、家族の敵を討ちたい。それだけが僕を突き動かしていました。討伐隊に入ってシンを倒すことが僕の生きる希望だった。
…でも、僕はあの日…」
何が起きたのかなんて、知らない、わからない。
だが、あの時バハムートが言っていた“裏で行われていた作戦”というものなんだろうと密かに考えた。
彼はそこで、命を落とした。
「たとえ死人となろうと、僕は僕の夢を果たしたいと思っていた。命を落としたことを受け入れられなかった。…そして別のものを受け入れた」
「…別の、もの?」
青年はそこでアーロンを振り仰いだ。
→
07,Dec,2012
「あの…」
ジェクトの隣に立つ青年がおもむろに声を掛けてきた。
彼も言いたいことが色々とあるのだろう。
じっとその言葉を待ってみるが、言い出しにくいのか、中々次の言葉が出てこない。
私は、仲間たちから少し距離を取ろうと彼の腕を取った。
「あ、あの…!」
「?」
「彼も、一緒に…」
振り返った先には、アーロン。
突然のことに少々戸惑いを感じているようだったが、何も言わずに私達の元まで歩み寄った。
仲間たちから少し距離を取ったところで、私は青年の腕を放し、言葉を促した。
「僕のこと、覚えて、ますか?」
「??」
突然、この青年は何を言い出すのだろうか。
過去に会った事があるような言い方。
青年には申し訳ないが、私にはこの青年との面識は無い。
それとも昔どこかで何かしらの因縁でもあっただろうか?
遠い昔を思い出すようにして自分の記憶の中を探ってみるが、それらしい記憶は出てこない。
私が困惑している様子を見て、青年は微かに微笑んだ。
「無理もありません。僕がラフテルさんに会ったのは、僕が13の時。…もう、10年経ちました」
「…10年前…!?」
10年前、と言えば、ブラスカ達との旅を終えて、私は一人でスピラ各地を旅して回っていた頃だ。
そんな頃に出会った人物の顔など、申し訳ないがものすごい数になるわけで、全てを覚えてなどいられない。
彼の生まれ育ったところは、キーリカの近くの小さな村。
私は確かにそこにも赴いた。
寺院があるから、大きな村があるから、人が大勢いるから。
そんなのは何も意味も無い。
そこに人が住んでいれば、私はどんな辺境にも行って皆に話をした。
ブラスカとの約束を守るために。
「あなたの話を聞いて、僕はシンと戦うことを決めたんです」
「そうだったのか」
「村の友人と共に、討伐隊に入隊することが決まった矢先でした。…突然、シンが現れ、村も、家族も友人も…」
「………」
「命が助かった村人は、別の村に移り、僕はベベルへ。そこで討伐隊に入るために必死に訓練を受けました。
命を落とした友の、家族の敵を討ちたい。それだけが僕を突き動かしていました。討伐隊に入ってシンを倒すことが僕の生きる希望だった。
…でも、僕はあの日…」
何が起きたのかなんて、知らない、わからない。
だが、あの時バハムートが言っていた“裏で行われていた作戦”というものなんだろうと密かに考えた。
彼はそこで、命を落とした。
「たとえ死人となろうと、僕は僕の夢を果たしたいと思っていた。命を落としたことを受け入れられなかった。…そして別のものを受け入れた」
「…別の、もの?」
青年はそこでアーロンを振り仰いだ。
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07,Dec,2012